37℃,catharsis
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ジョセフから例のメールが届いた翌日。
下駄箱にて靴を履き替えていた承太郎の姿を見つけ、一人の女子生徒が小さく声を上げた。普段から彼の周りを彷徨いている女子達とは違い、どうやらあまり積極的ではないようで、遠くからチラチラとこちらを伺っては顔を赤く染め、俯く。そんな子だ。普段の騒ぎっぷりよりはマシものの、無論そんな女子生徒になどこれっぽっちも興味などはない承太郎は早く帰りたい一心だったので、特に気にもとめず校舎に背を向けた。
この時間帯は部活動に行っている者が殆どな為、遠くから微かに聞こえる生徒の声やボールの弾む音等を聞きながら自然の香りを感じ、滑らかな風に揺れる緑色の中に潜む鮮やかな色に視線を走らせる事は、意外にも好きだったりする。
特に大した意味もなく、何となく_といったように視線を走らせ、所々薄汚れた鼠色のアスファルトを歩いていると、ジャリ_と砂を踏む音に混じり背後からタッタッ__と規則的な軽い音が聞こえた。
「やぁ、承太郎。偶然だね。これから君の家に行こうと思ってたんだけど、一緒に行かないかい?」
花京院のそんな言葉を聞いて、承太郎は彼の元へ同じメールが届いたこと、そして、こいつも俺と同じ考えか__と一人納得した。
「あぁ。どっちにしろ目的地は同じなんだ。」
特に断る理由もなく、了承した。理由はたった今述べた言葉の通りである。【目的地が同じなら、わざわざ別行動する必要等ないだろう】という訳だ。
それから二人は横に並び、歩く度に砂のジャリジャリとした音がする冷たいアスファルトの上を進んでいたが、花京院の一方的な会話(疑問)は止まらず、時々額や顎に手を当て唸りながらもただひたすら承太郎に疑問を語りかけていた。
最も、承太郎は無口な為相槌はまだしも質問に対しての推測、意見等はハナから期待していない。傍から見るとなかなかに薄情だと思えてしまうかもしれないが、彼はこういう性格なのだ。仕方ないの一言に尽きる。元より花京院はそれを理解した上でしている行為なので、なんら問題はない。
「なぁ、承太郎。何故ジョースターさんはメールで理由を説明しなかったんだ?」
「まさか新手のスタンド使いか__!?」
「いや、ジョースターさんの事だ。案外どうでもいい理由なのかもしれん。」
「なぁ、どう思う?」
最終的には意見を求めてきた。承太郎は彼の話を一応聞いてはいたものの、よく喋るな、コイツ。ぐらいにしか思っていなかったので、「__さぁな。」と返した(はぐらかした)。
彼にも案外こういう所もあるのだ。相手がいないだけであって。(悪口ではない。決して)
それと、一つ目の質問に関してはただメールを打つのが面倒くさいだけだろうと思っていた。
「まぁ、実際に会って話した方がいいだろう。」
「それもそうだね。」
承太郎の一言で花京院の疑問符にもしっかりとピリオドが打たれたようで、ふぅ__と息を吐くと少し空いた承太郎との距離を早歩きで縮めた。
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他愛もない話を交えながら暫く歩いていると、目先に立派な日本家屋が見えた。表札には達筆な字で【空条】と書かれている。言わずもがな、承太郎の家である。
__相変わらず立派な家だな。
その豪邸さに圧倒されながらも、少し圧を感じるほどに大きな黒く金色の装飾が施された瓦の門を潜る。硝子張り引き戸を引く承太郎に続くと、奥からスリッパのパタパタというリズミカルな音とともに、小走りに近づいて来る人物がいた。
「おかえり承太郎。あら?花京院君も!」
「お邪魔します、ホリィさん。」
空条承太郎の母親、空条ホリィである。
彼女もあれから体調は良好らしい。その証拠に毎日笑顔が耐えないんだとか。僕の目には寧ろ以前よりも明るさに磨きがかかって清々しく見える。全くもって良い事だ。
キャピキャピという効果音がつきそうなホリィさんに釣られ思わず口角が上がってしまうが、ふと玄関に並べられた靴に視線を向けた。
並んでいるのは僕と承太郎の靴、二足だけだ。
「ジジイはまだ来てねぇのか?」
僕の視線に気づいたのだろうか(それとも同じ事を思っていたのか)、承太郎が尋ねる。それに一瞬首を傾げたホリィさんだったが、すぐに理解したようで、靴を見たあと、承太郎へと視線を移した。
「あぁ、パパ?それがね、まだ来てないのよ。」
「何時に来るとは聞いてねぇのか。」
「それが聞いてないのよ〜!」
「それに理由の一言もないんだから、困っちゃうわ!」と頬に手を当て、はぁ__とホリィさんが溜め息をついた時、少しガサツ気味に戸が開かれた。三人の視線が音の方へと集中する。
「おぉ、三人とも揃っとるな。」
戸を引いた音が木霊する中、聞こえた声の主は案の定ジョセフ・ジョースターだった。手には廃れた緑青色の大きなキャリーバッグを引いている。
「久しぶりじゃのう。」と片手を上げ陽気に笑うジョースターさんだが、何やら様子が可笑しいような。何故ならその場に留まるばかりで家内に立ち入ろうとしないのだ。
いや、僕の考えすぎか__?
しかし、「どうしたの?早く上がって上がって!」と急かすホリィさんとは反対に、冷静沈着な様子で承太郎が言った。
「テメェ、後ろに誰を隠してやがる。」
「え?後ろ?」
「_誰かいるんですか?」
首を傾げる僕らの言葉に、ジョースターさんはあぁ、と頷いた。
「わしが日本に滞在すると言った理由になるんじゃが__」
そこまで言うと小股で左へと一歩ずれた為、ジョースターさんの元いた場所へ自然と目が行く。
そこには、女の子がいた。
「この子はわしの新しい家族じゃ!」
そう淡々と笑顔で告げたジョースターさんに、思わず呆気に取られる僕らだった。
下駄箱にて靴を履き替えていた承太郎の姿を見つけ、一人の女子生徒が小さく声を上げた。普段から彼の周りを彷徨いている女子達とは違い、どうやらあまり積極的ではないようで、遠くからチラチラとこちらを伺っては顔を赤く染め、俯く。そんな子だ。普段の騒ぎっぷりよりはマシものの、無論そんな女子生徒になどこれっぽっちも興味などはない承太郎は早く帰りたい一心だったので、特に気にもとめず校舎に背を向けた。
この時間帯は部活動に行っている者が殆どな為、遠くから微かに聞こえる生徒の声やボールの弾む音等を聞きながら自然の香りを感じ、滑らかな風に揺れる緑色の中に潜む鮮やかな色に視線を走らせる事は、意外にも好きだったりする。
特に大した意味もなく、何となく_といったように視線を走らせ、所々薄汚れた鼠色のアスファルトを歩いていると、ジャリ_と砂を踏む音に混じり背後からタッタッ__と規則的な軽い音が聞こえた。
「やぁ、承太郎。偶然だね。これから君の家に行こうと思ってたんだけど、一緒に行かないかい?」
花京院のそんな言葉を聞いて、承太郎は彼の元へ同じメールが届いたこと、そして、こいつも俺と同じ考えか__と一人納得した。
「あぁ。どっちにしろ目的地は同じなんだ。」
特に断る理由もなく、了承した。理由はたった今述べた言葉の通りである。【目的地が同じなら、わざわざ別行動する必要等ないだろう】という訳だ。
それから二人は横に並び、歩く度に砂のジャリジャリとした音がする冷たいアスファルトの上を進んでいたが、花京院の一方的な会話(疑問)は止まらず、時々額や顎に手を当て唸りながらもただひたすら承太郎に疑問を語りかけていた。
最も、承太郎は無口な為相槌はまだしも質問に対しての推測、意見等はハナから期待していない。傍から見るとなかなかに薄情だと思えてしまうかもしれないが、彼はこういう性格なのだ。仕方ないの一言に尽きる。元より花京院はそれを理解した上でしている行為なので、なんら問題はない。
「なぁ、承太郎。何故ジョースターさんはメールで理由を説明しなかったんだ?」
「まさか新手のスタンド使いか__!?」
「いや、ジョースターさんの事だ。案外どうでもいい理由なのかもしれん。」
「なぁ、どう思う?」
最終的には意見を求めてきた。承太郎は彼の話を一応聞いてはいたものの、よく喋るな、コイツ。ぐらいにしか思っていなかったので、「__さぁな。」と返した(はぐらかした)。
彼にも案外こういう所もあるのだ。相手がいないだけであって。(悪口ではない。決して)
それと、一つ目の質問に関してはただメールを打つのが面倒くさいだけだろうと思っていた。
「まぁ、実際に会って話した方がいいだろう。」
「それもそうだね。」
承太郎の一言で花京院の疑問符にもしっかりとピリオドが打たれたようで、ふぅ__と息を吐くと少し空いた承太郎との距離を早歩きで縮めた。
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他愛もない話を交えながら暫く歩いていると、目先に立派な日本家屋が見えた。表札には達筆な字で【空条】と書かれている。言わずもがな、承太郎の家である。
__相変わらず立派な家だな。
その豪邸さに圧倒されながらも、少し圧を感じるほどに大きな黒く金色の装飾が施された瓦の門を潜る。硝子張り引き戸を引く承太郎に続くと、奥からスリッパのパタパタというリズミカルな音とともに、小走りに近づいて来る人物がいた。
「おかえり承太郎。あら?花京院君も!」
「お邪魔します、ホリィさん。」
空条承太郎の母親、空条ホリィである。
彼女もあれから体調は良好らしい。その証拠に毎日笑顔が耐えないんだとか。僕の目には寧ろ以前よりも明るさに磨きがかかって清々しく見える。全くもって良い事だ。
キャピキャピという効果音がつきそうなホリィさんに釣られ思わず口角が上がってしまうが、ふと玄関に並べられた靴に視線を向けた。
並んでいるのは僕と承太郎の靴、二足だけだ。
「ジジイはまだ来てねぇのか?」
僕の視線に気づいたのだろうか(それとも同じ事を思っていたのか)、承太郎が尋ねる。それに一瞬首を傾げたホリィさんだったが、すぐに理解したようで、靴を見たあと、承太郎へと視線を移した。
「あぁ、パパ?それがね、まだ来てないのよ。」
「何時に来るとは聞いてねぇのか。」
「それが聞いてないのよ〜!」
「それに理由の一言もないんだから、困っちゃうわ!」と頬に手を当て、はぁ__とホリィさんが溜め息をついた時、少しガサツ気味に戸が開かれた。三人の視線が音の方へと集中する。
「おぉ、三人とも揃っとるな。」
戸を引いた音が木霊する中、聞こえた声の主は案の定ジョセフ・ジョースターだった。手には廃れた緑青色の大きなキャリーバッグを引いている。
「久しぶりじゃのう。」と片手を上げ陽気に笑うジョースターさんだが、何やら様子が可笑しいような。何故ならその場に留まるばかりで家内に立ち入ろうとしないのだ。
いや、僕の考えすぎか__?
しかし、「どうしたの?早く上がって上がって!」と急かすホリィさんとは反対に、冷静沈着な様子で承太郎が言った。
「テメェ、後ろに誰を隠してやがる。」
「え?後ろ?」
「_誰かいるんですか?」
首を傾げる僕らの言葉に、ジョースターさんはあぁ、と頷いた。
「わしが日本に滞在すると言った理由になるんじゃが__」
そこまで言うと小股で左へと一歩ずれた為、ジョースターさんの元いた場所へ自然と目が行く。
そこには、女の子がいた。
「この子はわしの新しい家族じゃ!」
そう淡々と笑顔で告げたジョースターさんに、思わず呆気に取られる僕らだった。
