「…素晴らしいのひと言だネ!」
そんな少女4人の様子を見守る影が2つ。
「まだ10歳と13歳だというのに、あのパワー!! しかも超能力測定のたびにその力は成長している。あの4人が将来―――…我が国の超能力政策の要になるのはまちがいないナ」
「はい、局長!」
プロレスラー並みの大柄な体躯の男性の言葉に、後ろでひかえていた黒いスーツの美しい女性がうなずいた。
男性は“内務省特務機関・超能力支援研究局(通称・バベル)”の局長である桐壺帝三、女性は局長秘書官である柏木朧だ。
しかし、
「ただ…少し問題が―――…」
「ン?」
柏木がおずおずと、手に持っていた1冊のファイルを差し出した。
* * *
21世紀、エスパーは増え続けていた。
彼らは軍事・外交・経済と、あらゆる場で活躍し、国際競争のカギを握っていた。
ESPを制する国が世界を制す!
だが、その才能は貴重で、
超度4以上の者は全体の3%以下…。
政府と契約している“
超度7”はわずかに4名のみである。
そして、その4名こそが―――…。
「“ザ・チルドレン”!! “ザ・ガーディアン”!! 応答しろ、“チルドレン”!! “ガーディアン”!!」
スーツ姿に眼鏡の青年が、手に持っていた携帯電話に向かって必死に叫ぶ。
その時、
ドンッ
青年の目の前にあった5階建てのビルの、3階一帯が爆発し、瓦礫やガラスの破片が飛散した。
そして、それらはビルの周囲に待機していたパトカーや警察官たちに向かって容赦なく降り注ぐ。
しかし、
『ったく、あのおっさん、仕事増やしやがって』
キイィン
「!」
いつの間にか青年の隣に立っていた
桜凛が、警察官たちに向かって手をかざした。
すると、念力で作られたドーム状の巨大なバリアが警察官たちを包み込み、瓦礫をすべて防いだ。
「
桜凛! 無事だったんだな。よくやった」
青年がほっと安堵のため息をつく。
「ところで、薫たちは…?」
『それなら犯人確保に向かいましたよ』
笑顔で答える
桜凛に、なぜか顔色が悪くなる青年。
「あ、あいつらだけで行ったのか?」
『はい』
「実はここにいるキミは
催眠能力による幻覚で、本当は薫たちと一緒にいるってことは…?」
『この状況下で、なんで
私がそんな手のこんだことしなきゃいけないんです?』
心の底からあきれた表情を浮かべる
桜凛に、真っ青で冷や汗ダラダラな青年は慌ててその場から走り出した。
* * *
爆発したビルから少し離れた路地裏。
ヒュ…
パッ
「へ…へへ!!」
空間がゆがんだかと思うと、目出し帽の男性が虚空から姿を現した。
「立てこもり犯は自爆…!! 死体がないことに警察が気づく頃には俺はもう―――…」
目出し帽を脱ぎ捨て、男性はつぶやく。
その時、
キュンッ
「“南米にでもドロン”…“超能力犯罪ほどオイシイ商売はねえな”…」
「!!」
己の心の中の声を一言一句正確に言い当てられ、立てこもり事件の犯人は思わず、びくっとしながら後ろを振り返った。
「テレポーター、
超度は5! 強盗に見せかけていたけど、計画的な企業テロよ。依頼人は暴力団“鬼畜会”―――…」
そこにいたのは紫穂だった。
犯人の背中に触れ、サイコメトリーで犯人の心の中や経歴、能力の種類や
超度などを透視しているのだ。
「!! コイツは…!?」
犯人が慌てて紫穂から離れる。
しかし、
ヒュパッ
「おっと!
超度5じゃウチらからは逃げられへんで!!」
葵が犯人の目の前にテレポートし、行く手をふさいだ。
「と…特務エスパーかッ…!!」
犯人がいまいまし気につぶやく。
すると、
「ピンポーン!! 正解のごほーびにぃ―――…高級外車、プレゼントおぉーっ!!」
薫が、近くに停めてあった車に念力をまとわせ、犯人に向かって突進させた。