都内某所。
ゴゴゴゴゴゴ…
複数の巨大な戦車が、土煙を上げて進んでいく。
その戦車の進行方向には、赤みがかった茶髪の少女が立っていた。
「へッ!!」
迫りくる戦車を見て、少女は笑った。
そして、
キイイィイィン
少女はその場で、手の中に莫大なエネルギーを集約させた。
そのエネルギーを容赦なく戦車へぶつければ、すべての戦車が一瞬で大破した。
少女の名前は明石薫。
年齢、10歳。
“
超度7”の
念動能力者である。
ちなみに薫が破壊した戦車は、リモコンで遠隔操作されており、搭乗者―――つまり死傷者はゼロである。
* * *
別の場所では、水で満たされた密閉タンクの中に、黒髪の少女が閉じ込められていた。
しかし、少女に慌てた様子はいっさい見られない。
そして、
「あ…」
ヒュパッ
「ほいっと!!」
少女の姿がタンクの中から完全に消失したかと思えば、次の瞬間、少女はタンクの外に現れた。
少女の名前は野上葵。
年齢、10歳。
“
超度7”の
瞬間移動能力者である。
* * *
さらに別の場所では、
キュン…ッ
「上」
薄紫色の髪をした少女が、冷たいコンクリートの壁に触れ、そう呟いた。
壁の向こう―――肉眼では見えない位置に貼られた視力検査表のランドル環の向きを正確に言い当てたのだ。
「下上左下右左、右右下上上左、右右下右上左上、下下左上右下左、上右右―――…それと、左上のテープがはがれそうよ」
厚さ1メートルほどもあるコンクリートの壁、それをさらに15枚以上連ねた壁の向こうを、少女は正確に見通すことができるのだ。
少女の名前は三宮紫穂。
年齢、10歳。
“
超度7”の
接触感応能力者である。
* * *
さらに別の場所では、広さ数十畳という和室に黒髪の少女が立っていた。
『すぅ…はぁ…』
少女が目を閉じ、大きく深呼吸をする。
そして、ゆっくりと目を開けると、金色の双眼が部屋の照明を浴びて美しく輝いた。
次の瞬間、少女の足もとの畳が跳ね上がり、中から迷彩服を着た男性が現れ、少女に向かって手を伸ばした。
『………』
少女は驚きもせず、1歩下がった。
男性の手は空を切り、その勢いでそのまま床へ倒れこむ。
しかし、少女が動いた先の畳もまた跳ね上がり、中から別の男性が現れ―――という流れを繰り返すこと5回。
いつの間にか少女は屈強な男性5人に取り囲まれ、じりじりと距離を詰められていた。
ギュウ…ン
『…―――これで全員だな』
少女は、男性たちではなく、なぜか部屋の床をじっと見ていた。
そこへ、男性たちが一斉に飛びかかる。
『………』
パチ…ッ
少女の頭頂部に、一瞬、青い閃光が走った。
次の瞬間、
バチバチバチッ
少女の身体から高圧電流が放たれ、男性たちを一斉に貫いた。
「ぎゃっ!?」
「ぐっ!?」
「うがっ!?」
さすがの屈強な男性たちもこれにはたまらず、身体からプスプスと煙を上げ、その場に倒れこむ。
『さてと』
キュウゥン
少女は一言つぶやくと、倒れている男性たちに手をかざした。
すると、気絶していたはずの男性たちが次々に意識を取り戻す。
『じゃ、お疲れさん』
少女は男性たち全員が起き上がるをの待たず、ひらりと手を振りながら部屋をあとにした。
透視能力で敵の位置と人数を把握し、
雷電発電能力で制圧、さらに
治癒能力による治療―――と多種多様な能力を器用に使い分ける少女の名前は、
長城桜凛。
年齢、13歳。
“
超度7”の複合能力者である。