Heroes
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––––数時間後。
ベッドの上で目が覚めた。
最後にある記憶が最悪で、
全て夢であれと願ったが、隣で母親が泣いているのを見て、全てを悟った。
「ママ…」
「あ…クリスタ。起きた?」
「ん……。」
「……。」
言葉など出てくるわけもない。
無差別に、気の狂った男が父親を殺した。
「……アバランチ……。」
記憶にこびりついてしまった単語。
口にした途端に吐き気をもよおした。
母が優しく背中をさすってくれるその温もり。
ずっとこの温かさに包まれていたい。
「ママ…どうしてこんなことに…」
「……。」
温い優しさに負けて、答えられるはずもない質問を向けた自分が情けなかった。
母親は、大きく背中をさすり続けて、
思いの外明るい声色で唱えた。
「タークス。」
「え?」
「あの、撃たれたスーツのお客さん。
それにあなたを守ってくれた二人組。
タークスって言うんですって。」
言いながら、表情を曇らせてゆく。
「全部片付けてくれてね、
本社があるからって、
ミッドガルへ行ったわ。」
まるで彼らの身を案じるかのように、
母はゆっくりと教えてくれた。
娘は、自分の髪に、
血の臭いと共に、赤毛の男の匂いが残っていることに気づいた。
髪を撫で、肩を抱き、戦下にも関わらず、優しさというシールドで護られたように感じた。
現れたスキンヘッドの男の背中も、
それは凛として勇ましく、目に焼き付いている。
父親のことは残念としか言いようがないし、
あのような惨劇は許されざるものだけれど、
彼は、そんな中にひとつだけ、
この先を生き抜いて行く輝きを残してくれたような気がする。
「タークス…」
その名は、この日から彼女の道しるべとなった。
「ママ…私いつか、ミッドガルに行く。」
「え…?」
「ママ。」
私
タークスになる。