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ココロの傷跡
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どうせ懲りずに現れるやろ、そう思うとったワシが甘かった。
いつも、二日にいっぺんは顔を見せていたさくらは…あの日以来見なくなった。
兄弟と会っとるんやろか?
けどアイツも最近忙しい言うてさくらとは会えてへんみたいや。
……本来ならこれでよかったハズ、なのに……
最後に見た、さくらの絶望の顔が頭から離れてくれん。
目から光が消えていったような…哀しみに満ちたあの顔が。
(…………はぁ)
アイツ、何しとるんやろ?
あんだけワシを好き好き言うとったクセに、ホンマ諦めたんか?……って、諦めさす為にやったワシが言えることやないけど。
その後待ってみるも、やはりさくらは現れず。
目の前にある、小包を見ては溜息しか出んかった。
「なんや覇気がないのぅ?真島の兄弟」
「んぁ?……別にワシはフツーやで」
「さくらが来んから、つまらんとちゃうか?」
「……兄弟、それが当たり前なんやって。カタギの女がホイホイ会いに来るんがおかしいねん」
確かにな、と兄弟はワシの前に座る。
「……兄弟、お前最近さくらに会うてへんか?」
「最近コッチもゴタゴタしとったのは、お前も知っとるやろが。電話は昨日したけどな」
兄弟も会ってへんか……、っちゅうか電話はしとったんやな。
兄弟の話では、声に全く覇気がなく沈んどったらしい。
ただ、ワシについてあまり口には出さなかったようや。一言「ダメでした」とだけ……
「いつものさくらやなかったから、ちぃと気になってな。真島の兄弟、お前さくらに何したんや?」
「……何て、いつも通り付き纏われたからあしらっただけや」
「……ほぉか。なら、さくらはもうココには来んやろな」
「……は?なんで言い切れんねん。突き放しても、いっつも来よったヤツやで?」
「もう耐えれへんかったんやろ、お前に女としても、人としても振り向いてもらえへんのがな」
……何したってへこたれへんかったやん、なんで今更…
「さくらなりに、お前に迷惑かけとるっちゅうのは申し訳ないて思てたんやろ。俺に言う時はいつも気にしとったわ」
「ならなんで毎回来んねん…」
「……それだけ、お前に惚れ込んでもうたんやろ。お前に少しでも見て欲しゅうて、アホみたいに明るい女になりきっとったくらいや」
……なんで……なんでそこまで……
見て欲しいが為に、あんな明るい女演じとった言うんか?
「俺も最初は、諦めさすつもりやった。けど…アイツ自身『極道』のお前を好きになったことに悩んどった。悩んで悩んで、好きを貫く覚悟決めたんや」
そこまで、惚れてしまった…と兄弟は言う。
けど、その心が……あの日砕けた。やから現れへんのか…
「……兄弟、お前もアイツに惚れとったんちゃうんか?」
「あ?……別に……」
「惚れとったから、アイツを遠ざけたんやろ?そら惚れた女危険に晒したないわな」
……はぁ、兄弟にはバレバレかいな。
「……………」
「お前の行動は否定せん。けど俺はさくらを応援しとった。いつかお前が、アイツを受け入れる覚悟をすれば…と思うとったからな」
「…… さくらに対しても、ワシに対しても口挟まんかったのはそれか?」
「当事者同士の問題やしな。そもそも俺はそない恋愛経験あらへんからよぉ分からん」
「あぁ……そういうことかいな」
兄弟は「これ以上さくらを泣かしてやるなや」とだけ言い残して出ていった。
……覚悟、か。
ワシはいつからこんな腑抜けになってもうたんやろ?
覚悟の上で、振り向いて貰おうと一生懸命やったさくら。そんなさくらを……ワシは一番最低な形で諦めさせた。
……やっぱ、ウソつくんはしんどい。
ウソが大嫌いな自分にとっては尚更しんどい。
「……ワシの覚悟が足らんかっただけやな」
さくらに会いたい。
身勝手なのは承知やけど、この贈り物の意味を知りたい。
……腹くくったろ。もう止めや。
アイツに全部詫びよう。
そんでもし許してもらえんなら…スッパリ終わろう。
許してくれたその時は────
自分と、さくらの気持ちに向き合おう。
