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三人は個室のある料亭に入る。
どこでもよかったのだが、ゆっくり話すには個室が丁度いいという判断だった。
「ホレさくらちゃん、お礼やから何でも頼んでええでー?」
「う、うーん……。値段がスゴすぎて気が引ける……」
「ンなもん気にせんでええ!好きなモン何でも奢るって約束やろ?」
「…………」
桐生は二人のやりとりをただ眺めていた。
まさか真島とさくらが知り合いだったなどと、誰が気づくのか……
「さて、そんじゃそろそろ困惑しとる桐生ちゃんに説明でもしたろかのぅ?」
「……あぁ」
───事の発端になったのは、一週間前のこと。
「さくらちゃーん」
「あ、真島さん!すみません遅くなっちゃって……」
この日、二人は会って飲みに行く約束になっていた。
周りから見れば、桐生以上に異様な光景だったことだろう。
明らかに話しかけるのは危険という風貌の真島に、明らかに普通の一般人にしか見えないさくらが話しかけたのだから。
「ええよ、それに遅れてへんやん。まだ約束した時間の五分前やで?」
「でも待たせちゃったから……」
「俺もついさっき着いたばかりや、待ってへんよ。さ、早う行こか」
「はい」
二人は並んで歩き出す。
二人は今日の出来事などを話しながら、楽しそうに歩いた。
───二人が出会ったきっかけは、バーでのこと。
「なんやネェチャン、一人かいな?そんなら俺と呑まんか?丁度俺も一人でなー、ちょっと付き合うてや」
真島が一人で酒をチマチマと呑むさくらに話しかけたことから始まった。
あからさまに一般人ではない真島に、さくらは恐怖を感じた。
「あ、え……と……」
断れば命ないかも……と思っていたが……
「大丈夫やて。別にネェチャン取って食うとかせんから。一人で呑むより二人の方が楽しいやん?あ、もしかして連れ待ちか?それやったら諦めるけど」
さくらを気遣うような声色に、見た目と合わないなと思った。
ここでそうです、と言えばこの人はアッサリ去っていくのだろう。
「いえ……一人なので……」
しかしさくらは、正直に一人と認めてしまう。
「ほんじゃ、ちっと付き合うてや」
思いの外優しく微笑む真島に、さくらも釣られて笑う。
後に真島が言うには「寂しそうで気になったから」という理由でさくらに声をかけたのだとか。
初対面であるはずの二人だが、真島の独特な空気にさくらは色々話してしまった。
真島は聞き上手な上、さくらが退屈しないようにと話をしてくれる。
お開きの際、わざわざタクシーを捕まえてくれた真島。その際に……
「今日から俺とさくらちゃんはお友達や!悩みあったらいつでも聞いたるから連絡してな?」
と、連絡先を渡して別れた。
それから、不思議と真島に対しての恐怖を無くしたさくらはちょくちょく連絡しては一緒に遊ぶ仲となった。
そして、一週間前に至る。
真島と楽しく飲んでいる最中、さくらの携帯が鳴った。
真島に断りを入れ、電話を取る。さくらの話し方から見て、相手は年上。……恐らく男だろう。
(……彼氏、ちゅうワケやなさそうやな)
彼女の交友関係に、いちいち口を挟む気はないが……ほんの少し気になる真島。
だが、間もなく真島は相手の男を知ることになる。
「はい、また時間合ったら是非!それじゃ桐生さん、失礼しますー」
「………っ…?!?!」
さくらちゃん、今何て……?
今確かに『桐生』て言うたよな……?
さくらが口にした名前は、確かに『桐生』だった。
この神室町において桐生と言ったらただ一人しかいない。
「ごめんなさい真島さん、ちょっと電話長引いちゃいました」
「あ、あぁ……。それよりさくらちゃん、今の電話の相手……桐生、なん?」
「え?あ、はい。つい最近知り合いまして、たまに遊んでますが……真島さんご存知なんですか?」
なんという縁だろうか。
まさかさくらが桐生と知り合っていたとは……
真島は思わず笑ってしまった。
「知っとる知っとる!何ならさくらちゃんより桐生ちゃんのこと知っとるで〜?」
「き、桐生……ちゃん?もしかして真島さん、桐生さんと仲良しなんですか?」
「おー、毎度どつき合っとるからのぅ?そぉか、さくらちゃんも桐生ちゃんと知り合いやったとは意外やな!」
その後、桐生との出会いを聞いた真島。
桐生はさくらが真島と繋がりを持っていることを知らない。
……これは使える!
「……なぁさくらちゃん、お願いあるんやけど……ええかな?」
「お願い、ですか?私に出来ることなら…」
「人質になって欲しいんやけど」
真島の意味不明な提案に、絶句するさくら。
とりあえず理由を聞くと、真島と桐生(ほぼ真島)は喧嘩をしているらしい。
しかし桐生は筋が通らなければ喧嘩はしないと宣言していて、中々喧嘩に持ち込めないとか(当たり前だが)
そこで、真島はあの手この手で桐生に絡んでは喧嘩をしているらしいが……
「最近ネタ切れになってもうてなぁ、次どないして喧嘩しよかて悩んどったんや」
「はぁ……、で?なんでそこで人質云々が出てくるんですか?」
「そらさくらちゃんと桐生ちゃんが知り合いやから。そこそこ遊んどるようやし?さくらちゃんが攫われたって知ったら桐生ちゃんゼーッタイ助けに来るやろ」
「……でもそれ、桐生さん騙すってことですよね?気が引けるなぁ……」
真島は勢いよく立ち上がったかと思えば、さくらに思い切り土下座をした。
「この通りやさくらちゃん!俺のお願いきいてや!その代わり礼ならなんぼでもしたる!な?頼む!」
「わ、分かりましたからそこまでしなくても……」
真島の必死な懇願に、承諾せざるを得なくなったさくら。
仮にも名のある極道の組長が、小娘相手に土下座して懇願してるのは相当なものだ。
それだけ桐生と喧嘩したいのか、と呆れもするが…真島にとってはそこまでの程なのだろう。承諾した瞬間真島の表情がパァ、と明るくなる。
「恩に着るでさくらちゃん!なら早速作戦会議や!」
イキイキする真島に、さくらはただ苦笑いするしかなかった……
どこでもよかったのだが、ゆっくり話すには個室が丁度いいという判断だった。
「ホレさくらちゃん、お礼やから何でも頼んでええでー?」
「う、うーん……。値段がスゴすぎて気が引ける……」
「ンなもん気にせんでええ!好きなモン何でも奢るって約束やろ?」
「…………」
桐生は二人のやりとりをただ眺めていた。
まさか真島とさくらが知り合いだったなどと、誰が気づくのか……
「さて、そんじゃそろそろ困惑しとる桐生ちゃんに説明でもしたろかのぅ?」
「……あぁ」
───事の発端になったのは、一週間前のこと。
「さくらちゃーん」
「あ、真島さん!すみません遅くなっちゃって……」
この日、二人は会って飲みに行く約束になっていた。
周りから見れば、桐生以上に異様な光景だったことだろう。
明らかに話しかけるのは危険という風貌の真島に、明らかに普通の一般人にしか見えないさくらが話しかけたのだから。
「ええよ、それに遅れてへんやん。まだ約束した時間の五分前やで?」
「でも待たせちゃったから……」
「俺もついさっき着いたばかりや、待ってへんよ。さ、早う行こか」
「はい」
二人は並んで歩き出す。
二人は今日の出来事などを話しながら、楽しそうに歩いた。
───二人が出会ったきっかけは、バーでのこと。
「なんやネェチャン、一人かいな?そんなら俺と呑まんか?丁度俺も一人でなー、ちょっと付き合うてや」
真島が一人で酒をチマチマと呑むさくらに話しかけたことから始まった。
あからさまに一般人ではない真島に、さくらは恐怖を感じた。
「あ、え……と……」
断れば命ないかも……と思っていたが……
「大丈夫やて。別にネェチャン取って食うとかせんから。一人で呑むより二人の方が楽しいやん?あ、もしかして連れ待ちか?それやったら諦めるけど」
さくらを気遣うような声色に、見た目と合わないなと思った。
ここでそうです、と言えばこの人はアッサリ去っていくのだろう。
「いえ……一人なので……」
しかしさくらは、正直に一人と認めてしまう。
「ほんじゃ、ちっと付き合うてや」
思いの外優しく微笑む真島に、さくらも釣られて笑う。
後に真島が言うには「寂しそうで気になったから」という理由でさくらに声をかけたのだとか。
初対面であるはずの二人だが、真島の独特な空気にさくらは色々話してしまった。
真島は聞き上手な上、さくらが退屈しないようにと話をしてくれる。
お開きの際、わざわざタクシーを捕まえてくれた真島。その際に……
「今日から俺とさくらちゃんはお友達や!悩みあったらいつでも聞いたるから連絡してな?」
と、連絡先を渡して別れた。
それから、不思議と真島に対しての恐怖を無くしたさくらはちょくちょく連絡しては一緒に遊ぶ仲となった。
そして、一週間前に至る。
真島と楽しく飲んでいる最中、さくらの携帯が鳴った。
真島に断りを入れ、電話を取る。さくらの話し方から見て、相手は年上。……恐らく男だろう。
(……彼氏、ちゅうワケやなさそうやな)
彼女の交友関係に、いちいち口を挟む気はないが……ほんの少し気になる真島。
だが、間もなく真島は相手の男を知ることになる。
「はい、また時間合ったら是非!それじゃ桐生さん、失礼しますー」
「………っ…?!?!」
さくらちゃん、今何て……?
今確かに『桐生』て言うたよな……?
さくらが口にした名前は、確かに『桐生』だった。
この神室町において桐生と言ったらただ一人しかいない。
「ごめんなさい真島さん、ちょっと電話長引いちゃいました」
「あ、あぁ……。それよりさくらちゃん、今の電話の相手……桐生、なん?」
「え?あ、はい。つい最近知り合いまして、たまに遊んでますが……真島さんご存知なんですか?」
なんという縁だろうか。
まさかさくらが桐生と知り合っていたとは……
真島は思わず笑ってしまった。
「知っとる知っとる!何ならさくらちゃんより桐生ちゃんのこと知っとるで〜?」
「き、桐生……ちゃん?もしかして真島さん、桐生さんと仲良しなんですか?」
「おー、毎度どつき合っとるからのぅ?そぉか、さくらちゃんも桐生ちゃんと知り合いやったとは意外やな!」
その後、桐生との出会いを聞いた真島。
桐生はさくらが真島と繋がりを持っていることを知らない。
……これは使える!
「……なぁさくらちゃん、お願いあるんやけど……ええかな?」
「お願い、ですか?私に出来ることなら…」
「人質になって欲しいんやけど」
真島の意味不明な提案に、絶句するさくら。
とりあえず理由を聞くと、真島と桐生(ほぼ真島)は喧嘩をしているらしい。
しかし桐生は筋が通らなければ喧嘩はしないと宣言していて、中々喧嘩に持ち込めないとか(当たり前だが)
そこで、真島はあの手この手で桐生に絡んでは喧嘩をしているらしいが……
「最近ネタ切れになってもうてなぁ、次どないして喧嘩しよかて悩んどったんや」
「はぁ……、で?なんでそこで人質云々が出てくるんですか?」
「そらさくらちゃんと桐生ちゃんが知り合いやから。そこそこ遊んどるようやし?さくらちゃんが攫われたって知ったら桐生ちゃんゼーッタイ助けに来るやろ」
「……でもそれ、桐生さん騙すってことですよね?気が引けるなぁ……」
真島は勢いよく立ち上がったかと思えば、さくらに思い切り土下座をした。
「この通りやさくらちゃん!俺のお願いきいてや!その代わり礼ならなんぼでもしたる!な?頼む!」
「わ、分かりましたからそこまでしなくても……」
真島の必死な懇願に、承諾せざるを得なくなったさくら。
仮にも名のある極道の組長が、小娘相手に土下座して懇願してるのは相当なものだ。
それだけ桐生と喧嘩したいのか、と呆れもするが…真島にとってはそこまでの程なのだろう。承諾した瞬間真島の表情がパァ、と明るくなる。
「恩に着るでさくらちゃん!なら早速作戦会議や!」
イキイキする真島に、さくらはただ苦笑いするしかなかった……
