＿＿勇者姫の意地悪＿＿



アンルシア視点



ルジェンダ様達と話し終わった後､
ファルシオン様に跨り別行動をする前に
私はふとアヤに話しに向かった｡

「アヤ…アナタ､さっき私から落とされたけれども大丈夫なの？」
「…？アンルシア様…私は平気です……外傷も見受けられないので至って平気ですよ？」


目をくりくりとさせて､笑顔を作るアナタ｡
私はアヤの腕を掴んだ｡

私を心配そう見るアヤ､
小さい犬の様で可愛らしいけれども


「私は貴女が心配なのよ…」

私はそう言い､アヤの身体を触る｡
怪我はなさそうで安心はする｡

でも､万が一に怪我があっても大変よね…
私はアヤにベホイムを使った｡


「あ､アンルシアさま…
その､ありがとうございます｡」

照れてる姿も可愛らしく､微笑ましい｡
今はそんな事思っている場合では無いのは
わかっているけれども｡

どうしても今､こうやって話しておかないと
いけないような気がして仕方がなかった｡


「ねぇ､アヤ｡」
「？…どうされました？」
「アナタは偽物の私になんて言ったの？」

「私は…ですね…」


アナタはそっと私から目を逸らす｡
耳や顔が少し赤くなっている様な気がした｡

先程までアヤのハッキリとした声が
かなり小さくなっていった｡

私はアヤと目線を合わせ
優しく手をとり､聞いてみた｡

それでも､アナタは恥ずかしそうに
モジモジとしながら
顔を横にして､顔を見せないようにしている｡


その姿も可愛らしくて､その好意も嬉しくて
私は意地悪をしてしまっている｡

きっと､アナタは私の事を
盟友と勇者の関係以上に"特別な人"と
思っているのだと……

私は知っていて…
私もアナタとは盟友よりも親友として
ではなく､恋愛対象として見ている｡


私たちは似たもの同士だということを…
その一言が伝えたい…


「ねぇ､アヤ…私は」
「……ｯはい」
「私はね…貴女の事が……好きよ｡」


＿END＿＿＿