幼い頃から、私は霊感が強かったらしい。
強すぎる霊感は良くないモノを引き寄せるらしく、私は何度も死にかけたり、攫われたりしていた。
両親もできる限りのことをたくさんしてくれていたけど…そんな両親に迷惑をもう掛けたくなくて、困っているところに彼女は声をかけてくれた。


「名前。朝だよ。起きな」
「ん……？あ、おばあちゃん…おはよー」

優しい声と共に目を開けると、そこには困っていた私を助けてくれた人で…おばあちゃんと慕う幻海がいた。

「名前。ぼーっとしてないで早く支度しな。掃除を終わらせてご飯にしよう」
「あ、はい！すぐやりまーす！」

人里離れた山の中にある、幻海おばあちゃんの屋敷。
おばあちゃんの結界もあって、私が悩まされることはほぼなくなった。

だから、そんな日々がずっと続くと思っていた。

平穏な日は…突然終わるって知っていたけど。


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「え、おばあちゃん…なんて？」
「だから、あたしもそろそろ歳だから弟子を取ろうと思ってね」

掃除を終え、朝ご飯を食べている時に幻海が突然そう言った。

「それは……」
「変に勘繰るんじゃないよ。あたしはそう簡単に死なないさ。ただ、あたしの奥義を残す為にね。残念ながら名前には素質が足りなかったからな」
「う…」

幻海の所にお世話になる、と言うことで私も一度彼女の奥義を継承出来ないかテストを受けた。
何度か基礎を学んだりはしたものの、私には素質が足りず、継承者にはなれなかった。

「まぁ、人には向き不向きがあるから気にする事はない。名前は補助向きだからね」
「補助かぁ…おばあちゃんの役に立ててるならいいかな」
「助かってるよ。さ、今日も手伝ってもらうよ」
「はーい！」




「うわぁ……すごい人数…」

幻海が弟子をとると言った日から数日後。
何処から話が伝わり、どう拡がって行ったのか…目の前には人が溢れかえっていた。

「ふん。数だけありゃいいってもんじゃないよ。さ、名前。お前さんはあたしが呼ぶまで隠れてサポートをしておくれ」
「隠れて？わかった。あっちの部屋の準備しておくね！」

溢れかえった人達。この中で継承者に選ばれるのは1人だけ。一体どんな人なんだろう…
少し気にしながらも私はその場を後にした。




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「……あれ？」

いくつかの試験を終えて、残ったメンバーが数えられるくらいになった頃。
その中に見知った顔を見つけた。

「そんなに霊感ある、って話聞いたかなぁ？」

私はそんな風に思いながら、戦いの始まった部屋に背を向けて座った。