泡沫星夜
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人に話してどうにかなるものじゃなかった。
普通に考えてありえないから。
私の中で考えるしかなかった。
私が…決めるしかなかった。
だから手を差し伸べてくれた宮地君を…傷付けることしか出来なかった。
「ごめんね、宮地君…」
本当は頼りたかったけど…きっと困らせてしまうから…
パンッ
「よし。明日から部活に行くぞ」
泣きそうになるのを抑え込んで頬を叩いて顔をあげた。
「元気があればなんでも出来る!そうだ気合いだー!!」
部活に行くようになるとみんなが心配そうに声をかけてくれた。
私は大丈夫だよ、と言って弓を引いた。
そして強化合宿が始まった。
何も考えず無心になって弓を引く。
ここでの生活は好きだけど私には此処以外に帰る場所があるから。
私は…どんな時に母と兄の声が聞こえるのか…もう気付いていた。
「苗字さん」
「え?あ…部長…」
休憩に入ってすぐ、部長に声をかけられた。
「ふふっ、さっきの僕の話聞いてた?」
「えっ?」
どうしよう…聞いてなかった…
「すみません…聞いてませんでした…」
「やっぱり。今日の練習が終わったらみんなで花火をしようって話をしたんだよ」
「花火…?」
「うん。陽日先生が息抜きにって買ってきてくれたんだよ」
「いいですね!私、花火大好きです!」
正直に謝ると部長はくすっと笑いながらそう教えてくれた。
花火…いい気分転換になるかもしれない…。
そう思って笑うけど…私は上手く笑えていたのかな?
「名前先輩!一緒にやりましょう!」
「うん、ありがとう」
梓君に誘われて一緒に花火に火をつける。
勢いよく火花を散らす手持ち花火。
その光は色鮮やかで綺麗なのに…
時間が経てば消えてしまう。
私は花火に今の自分を重ねてしまい、少し寂しくなった。
でもそれを悟られないようにみんなと騒いでいると
「苗字さん、ちょっといい?」
「はい?」
部長に声をかけられた。
「苗字さんは…今、何かに悩んでいるよね?」
少しみんなから離れたところで突然部長にそう言われ
「え…?」
私はドキッとした。
誰にも気づかれていないとは思っていなかったけど、
単刀直入に聞かれるとも思っていなかったから。
「ごめんね、身近な人を占うのは基本しないんだけど…苗字さんは少し気になったから…」
「占い…」
「うん。僕は西洋占星術科だからね。簡単な占いなら出来るんだ」
「部長の占いで私はどう出ました?」
もしかして部長にはバレているのかな?
「君は今、重要な選択を迫られている。選び直しの利かない…辛い選択を。僕にはそれが何かがわからないから…よかったら話してくれないかな?」
「………」
「話しにくいことなら無理に言わなくていいよ。話を聞いて少しでも役に立てないかなって思っただけだから」
どうしてこんなにも優しくしてくれるんだろう?
出会って半年にも満たない謎の多い私に。
「…例えば、の話ですけど…
好きな人と家族と…どちらかを選ばないといけない時…
部長ならどちらを選びますか?」
「うーん……難しいね…
両方、という選択肢はないの?」
「どちらか片方だけです。
好きな人を選べば家族と、家族を選べば好きな人とは一生会えないとしたら…
部長はどちらを選びますか?」
本当のことは言えない。
この世界か現実の世界か、選ばないといけないだなんて。
「そっか…苗字さんはこんな大変な選択を迫られていたんだね」
「………」
「……でも、本当はもう決まっているんじゃないかな?」
「えっ……?」
「そのどちらかを迫られて、苗字さんの答えはもう出ているんじゃない?
でも、それが正しいのかが…わからない。だから悩んでいる。……違う?」
どうして…
「部長、本当は何もかもお見通しなんじゃないですか?」
「ふふっ、そんなことないよ。僕にもわからないことはたくさんあるよ」
「本当ですかー?」
そう言って笑いながらも私の心は晴れることはなかった。
どうしてこんなにも優しい人達と…家族とを比べて選ばないといけないんだろう。
「……苗字と部長…?」
遠くで宮地君が私を見ていたなんて気付かないまま…
合宿の夜は更けていった。
普通に考えてありえないから。
私の中で考えるしかなかった。
私が…決めるしかなかった。
だから手を差し伸べてくれた宮地君を…傷付けることしか出来なかった。
「ごめんね、宮地君…」
本当は頼りたかったけど…きっと困らせてしまうから…
パンッ
「よし。明日から部活に行くぞ」
泣きそうになるのを抑え込んで頬を叩いて顔をあげた。
「元気があればなんでも出来る!そうだ気合いだー!!」
部活に行くようになるとみんなが心配そうに声をかけてくれた。
私は大丈夫だよ、と言って弓を引いた。
そして強化合宿が始まった。
何も考えず無心になって弓を引く。
ここでの生活は好きだけど私には此処以外に帰る場所があるから。
私は…どんな時に母と兄の声が聞こえるのか…もう気付いていた。
「苗字さん」
「え?あ…部長…」
休憩に入ってすぐ、部長に声をかけられた。
「ふふっ、さっきの僕の話聞いてた?」
「えっ?」
どうしよう…聞いてなかった…
「すみません…聞いてませんでした…」
「やっぱり。今日の練習が終わったらみんなで花火をしようって話をしたんだよ」
「花火…?」
「うん。陽日先生が息抜きにって買ってきてくれたんだよ」
「いいですね!私、花火大好きです!」
正直に謝ると部長はくすっと笑いながらそう教えてくれた。
花火…いい気分転換になるかもしれない…。
そう思って笑うけど…私は上手く笑えていたのかな?
「名前先輩!一緒にやりましょう!」
「うん、ありがとう」
梓君に誘われて一緒に花火に火をつける。
勢いよく火花を散らす手持ち花火。
その光は色鮮やかで綺麗なのに…
時間が経てば消えてしまう。
私は花火に今の自分を重ねてしまい、少し寂しくなった。
でもそれを悟られないようにみんなと騒いでいると
「苗字さん、ちょっといい?」
「はい?」
部長に声をかけられた。
「苗字さんは…今、何かに悩んでいるよね?」
少しみんなから離れたところで突然部長にそう言われ
「え…?」
私はドキッとした。
誰にも気づかれていないとは思っていなかったけど、
単刀直入に聞かれるとも思っていなかったから。
「ごめんね、身近な人を占うのは基本しないんだけど…苗字さんは少し気になったから…」
「占い…」
「うん。僕は西洋占星術科だからね。簡単な占いなら出来るんだ」
「部長の占いで私はどう出ました?」
もしかして部長にはバレているのかな?
「君は今、重要な選択を迫られている。選び直しの利かない…辛い選択を。僕にはそれが何かがわからないから…よかったら話してくれないかな?」
「………」
「話しにくいことなら無理に言わなくていいよ。話を聞いて少しでも役に立てないかなって思っただけだから」
どうしてこんなにも優しくしてくれるんだろう?
出会って半年にも満たない謎の多い私に。
「…例えば、の話ですけど…
好きな人と家族と…どちらかを選ばないといけない時…
部長ならどちらを選びますか?」
「うーん……難しいね…
両方、という選択肢はないの?」
「どちらか片方だけです。
好きな人を選べば家族と、家族を選べば好きな人とは一生会えないとしたら…
部長はどちらを選びますか?」
本当のことは言えない。
この世界か現実の世界か、選ばないといけないだなんて。
「そっか…苗字さんはこんな大変な選択を迫られていたんだね」
「………」
「……でも、本当はもう決まっているんじゃないかな?」
「えっ……?」
「そのどちらかを迫られて、苗字さんの答えはもう出ているんじゃない?
でも、それが正しいのかが…わからない。だから悩んでいる。……違う?」
どうして…
「部長、本当は何もかもお見通しなんじゃないですか?」
「ふふっ、そんなことないよ。僕にもわからないことはたくさんあるよ」
「本当ですかー?」
そう言って笑いながらも私の心は晴れることはなかった。
どうしてこんなにも優しい人達と…家族とを比べて選ばないといけないんだろう。
「……苗字と部長…?」
遠くで宮地君が私を見ていたなんて気付かないまま…
合宿の夜は更けていった。