泡沫星夜
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寮に戻った私はベッドに倒れ込んだ。
……夢なら、早く醒めてほしくて。
「こんなの私のキャラじゃないのにな…」
いつもの私は辛いことでも笑顔で誤魔化して、こんな風に悩んだりしないのに…。
「………あ…そっか…」
頭の中でぐるぐると思考を巡らせて、一つの答えが出た。
「お母さんと…お兄ちゃんが居ないから、か…」
どんな時でも側に居てくれる存在が…此処には居ない。
吐き出す相手が居ないからだと気付いた。
「はぁ……」
溜息しか出ない。
スマホの連絡先にはある「母」と「兄」の番号。
かけてもかけても……繋がらない。
泣きたくて泣きたくて、泣こうと思ったけど、
泣いたって何も変わらないから泣かなかった。
「はぁ……」
帰りたい。
帰りたい。
帰りたい。
部活は楽しい。
授業も楽しい。
学校が楽しい。
でもやっぱり…
寂しい。
『無理するな』
頭に響く宮地君の言葉。
もしかして彼は私が不安定だと気付いているのかな?
『せーんぱいっ!』
私を呼ぶ梓君の声。
梓君も…気付いているのかな?
わざわざ教室まで来てくれたんだし…
そう思うと胸が少し温かくなる。
ここは嫌だと
こんな所には居たくないと
そう思えるような場所ならよかったのに。
こんなに悩まないのに。
「私は…どうしたらいいんだろう…?」
ぽつりと呟いて見上げた空には蠍座が見えた。
次の日も、私は体調不良ということで部活を休んだ。
大会が間近に迫っているのに。
ガチャ...
「わ、すごい…」
この日、私は初めて屋上庭園に行った。
初めて見る屋上からの景色は新鮮だった。
少し暑いけど、たまに吹く風が気持ちよくて。
フェンスに寄り掛かって、溜め息をつく。
「はぁ……ダメだなぁ…
やっぱり、考え込んでばっかりだ…」
お母さんとお兄ちゃんのことを考えると寂しくて悲しくて
でもどうしたらいいのかわからなくて。
「声が聞きたいよ…」
お母さんの明るい声で私の名前を呼んで。
仕事のどんな愚痴だって聞くから。
お母さんの好きなご飯を用意して待ってるから。
お兄ちゃんの優しい声で私を呼んで。
ゲームとか、アニメとか、いろんな話を聞かせて。
お兄ちゃんが食べたいって言ってたお菓子作るから。
「……苗字」
後ろから控えめに聞こえてきたのは私が聞きたい声じゃなかったけど…私を安心させる声だった。
「宮地、君……」
ほら、やっぱり宮地君はズルい。
私を見てそんな優しい顔をするなんて。
「大丈夫か?」
「……うん、大丈夫」
嘘。
本当は涙が出そうなの。
「無理はするな……」
「……無理、なんて…っ」
だから頭を撫でるのは卑怯だよ。
涙が堪えられないじゃない。
「俺には苗字が何に悩んでいるのか、
苦しんでいるのかはわからないが…
話を聞くくらいは出来る」
「……あり、がとう。
気持ちだけで、嬉しいよ」
話をしても…きっと困っちゃうから。
「そうか…」
そう言って微笑んだ宮地君はどこか寂しそうだった。
……夢なら、早く醒めてほしくて。
「こんなの私のキャラじゃないのにな…」
いつもの私は辛いことでも笑顔で誤魔化して、こんな風に悩んだりしないのに…。
「………あ…そっか…」
頭の中でぐるぐると思考を巡らせて、一つの答えが出た。
「お母さんと…お兄ちゃんが居ないから、か…」
どんな時でも側に居てくれる存在が…此処には居ない。
吐き出す相手が居ないからだと気付いた。
「はぁ……」
溜息しか出ない。
スマホの連絡先にはある「母」と「兄」の番号。
かけてもかけても……繋がらない。
泣きたくて泣きたくて、泣こうと思ったけど、
泣いたって何も変わらないから泣かなかった。
「はぁ……」
帰りたい。
帰りたい。
帰りたい。
部活は楽しい。
授業も楽しい。
学校が楽しい。
でもやっぱり…
寂しい。
『無理するな』
頭に響く宮地君の言葉。
もしかして彼は私が不安定だと気付いているのかな?
『せーんぱいっ!』
私を呼ぶ梓君の声。
梓君も…気付いているのかな?
わざわざ教室まで来てくれたんだし…
そう思うと胸が少し温かくなる。
ここは嫌だと
こんな所には居たくないと
そう思えるような場所ならよかったのに。
こんなに悩まないのに。
「私は…どうしたらいいんだろう…?」
ぽつりと呟いて見上げた空には蠍座が見えた。
次の日も、私は体調不良ということで部活を休んだ。
大会が間近に迫っているのに。
ガチャ...
「わ、すごい…」
この日、私は初めて屋上庭園に行った。
初めて見る屋上からの景色は新鮮だった。
少し暑いけど、たまに吹く風が気持ちよくて。
フェンスに寄り掛かって、溜め息をつく。
「はぁ……ダメだなぁ…
やっぱり、考え込んでばっかりだ…」
お母さんとお兄ちゃんのことを考えると寂しくて悲しくて
でもどうしたらいいのかわからなくて。
「声が聞きたいよ…」
お母さんの明るい声で私の名前を呼んで。
仕事のどんな愚痴だって聞くから。
お母さんの好きなご飯を用意して待ってるから。
お兄ちゃんの優しい声で私を呼んで。
ゲームとか、アニメとか、いろんな話を聞かせて。
お兄ちゃんが食べたいって言ってたお菓子作るから。
「……苗字」
後ろから控えめに聞こえてきたのは私が聞きたい声じゃなかったけど…私を安心させる声だった。
「宮地、君……」
ほら、やっぱり宮地君はズルい。
私を見てそんな優しい顔をするなんて。
「大丈夫か?」
「……うん、大丈夫」
嘘。
本当は涙が出そうなの。
「無理はするな……」
「……無理、なんて…っ」
だから頭を撫でるのは卑怯だよ。
涙が堪えられないじゃない。
「俺には苗字が何に悩んでいるのか、
苦しんでいるのかはわからないが…
話を聞くくらいは出来る」
「……あり、がとう。
気持ちだけで、嬉しいよ」
話をしても…きっと困っちゃうから。
「そうか…」
そう言って微笑んだ宮地君はどこか寂しそうだった。