泡沫星夜
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考えてみればそんなに難しいことじゃなかった。
どうしてここに来てしまったのか、ではなく
どうやってここに来たのか、
それを考えればよくある話ではあった。
と言ってもドラマとかそういうものだと思っていたけど。
大丈夫。きっと上手くいく。
根拠はないけど自信があった。
準備だってすぐできる。
後はタイミングだけ。
みんなに一言言った方がいいのかな?
……きっと忘れちゃうよね。
だったら何も言わないほうが、いいかな?
「苗字ー?何してるんだ?部活終わったぞ?」
「へっ!?あ、そうなの? ごめん。ぼーっとしてた…」
「なんか最近ぼーっとしてること多いよな、お前…何かあったのか?」
いけない。部活中だった…。
白鳥君が心配そうに私を見つめる。
「ありがとう。大丈夫だよ」
と嘘ついて、更衣室に向かった。
更衣室では月子ちゃんが心配そうな顔で待っていた。
大丈夫だよ。そんな顔しないで?
そう言うように笑って一緒に寮に帰った。
「名前ちゃん…」
寮に着くまで何も話さなかったけど、部屋の前まで来て…月子ちゃんに名前を呼ばれた。
「ん?」
振り返ると月子ちゃんは泣きそうな顔をしていた。
「………」
「月子、ちゃん…?どうしたの?」
無言で抱き締められ、少し戸惑う。
「なんか…名前ちゃんが居なくなっちゃうような気がしたから…」
「そんなことあるわけないじゃん!私はここにいるでしょ?」
居なくなるんじゃないんだよ。
元々私はここに居ないんだもん。
本来の形に戻るんだよ。
大丈夫。きっと私が居たことも忘れるはずだよ。
だから…寂しそうな顔をしないで?
「………そう、だけど…」
「月子ちゃん疲れてるんじゃない?
早めに休んだほうがいいよ」
そう言って彼女の頭を撫でて部屋に入った。
最近ぼーっとしていたからみんなに不思議に思われてるよね…
しっかりしなきゃ。
「なぁ、苗字。お前宮地と何かあったのか?」
「え、どうして?」
翌日。教室で白鳥君に聞かれた。
「最近お前らが話してるのを見たことがないからさー
何かあったのかと思ってな」
あぁ、そんなにあからさまだったんだ。
自分ではそういうの気付かないものなんだね。
「うん、まぁ…私が宮地君を怒らせちゃっただけなんだけどね…」
「はっ!?」
どういうことだよ?
と聞かれるがままに白鳥君に説明した。
「そりゃ…お前……」
「うん。解ってる。私酷いよね…」
彼の気持ちに気付いていながら…傷つけたんだから。
でもね、もう大丈夫だよ。
私がいることで壊してしまった歯車。
もうすぐで元通りになるんだから。
「……………」
白鳥君と話しているのを宮地君が見ていることに気付いていたけど…
わたしはそれに気付かないふりをした。
その日の夜。
宮地君からメールが来た。
屋上庭園に来てほしいとのこと。
何の話かなんとなく予想はついた。
断ることも出来た。
でも私は屋上庭園に向かった。
「……来てくれるとは、思わなかった…」
「どうして?」
屋上庭園に現れた私に宮地君は驚いて、フェンスにもたれかかる。
「俺が勝手に勘違いをして…苗字を傷つけた、のに…」
「傷つけたのは…私だと思うけど?」
部活の時の威厳は何処にいってしまったのか。
弱々しい宮地君。
そんな彼をじっと見つめて私は言う。
「宮地君の気持ちに…なんとなく気付いていたはずなのに…
傷つけることをしたんだもん」
「……苗字…」
本当は渡したくなかったけどね、なんて言えないけど…
ごめんね、と付け足して笑うと宮地君が少しだけ優しい笑みを浮かべたあと真面目な顔で私を見つめた。
「苗字。インターハイが終わったら、言おうと思っていたことがある」
「うん…」
ああ、やっぱりそうなってしまうの?
「俺は苗字が好きだ。
ずっと隣で笑っていて欲しい。
だから…俺と付き合ってくれないか」
「………」
嬉しい。嬉しい。
嬉しいはずなのに苦しい。
心臓が締め付けられるみたい。
こんな苦しみ…覚悟していたはずなのに。
宮地君を見ると顔を真っ赤にして私の答えを待っているようだった。
そんな期待した目で見ないで。
応えたくなってしまうから。
でも、ダメ。
私は……帰らなきゃ…
「……ごめん…今は、まだ……気持ちの整理、ついてなくて…」
なんて嘘だけど。
本当は応えたい。貴方が好きだと伝えたい。
でも今はダメなの。
苦しませてごめんね。
もう少しだけ、待ってて…
『名前…!』
お母さん、お兄ちゃん…
大丈夫。私はもうすぐ帰るよ。
どうしてここに来てしまったのか、ではなく
どうやってここに来たのか、
それを考えればよくある話ではあった。
と言ってもドラマとかそういうものだと思っていたけど。
大丈夫。きっと上手くいく。
根拠はないけど自信があった。
準備だってすぐできる。
後はタイミングだけ。
みんなに一言言った方がいいのかな?
……きっと忘れちゃうよね。
だったら何も言わないほうが、いいかな?
「苗字ー?何してるんだ?部活終わったぞ?」
「へっ!?あ、そうなの? ごめん。ぼーっとしてた…」
「なんか最近ぼーっとしてること多いよな、お前…何かあったのか?」
いけない。部活中だった…。
白鳥君が心配そうに私を見つめる。
「ありがとう。大丈夫だよ」
と嘘ついて、更衣室に向かった。
更衣室では月子ちゃんが心配そうな顔で待っていた。
大丈夫だよ。そんな顔しないで?
そう言うように笑って一緒に寮に帰った。
「名前ちゃん…」
寮に着くまで何も話さなかったけど、部屋の前まで来て…月子ちゃんに名前を呼ばれた。
「ん?」
振り返ると月子ちゃんは泣きそうな顔をしていた。
「………」
「月子、ちゃん…?どうしたの?」
無言で抱き締められ、少し戸惑う。
「なんか…名前ちゃんが居なくなっちゃうような気がしたから…」
「そんなことあるわけないじゃん!私はここにいるでしょ?」
居なくなるんじゃないんだよ。
元々私はここに居ないんだもん。
本来の形に戻るんだよ。
大丈夫。きっと私が居たことも忘れるはずだよ。
だから…寂しそうな顔をしないで?
「………そう、だけど…」
「月子ちゃん疲れてるんじゃない?
早めに休んだほうがいいよ」
そう言って彼女の頭を撫でて部屋に入った。
最近ぼーっとしていたからみんなに不思議に思われてるよね…
しっかりしなきゃ。
「なぁ、苗字。お前宮地と何かあったのか?」
「え、どうして?」
翌日。教室で白鳥君に聞かれた。
「最近お前らが話してるのを見たことがないからさー
何かあったのかと思ってな」
あぁ、そんなにあからさまだったんだ。
自分ではそういうの気付かないものなんだね。
「うん、まぁ…私が宮地君を怒らせちゃっただけなんだけどね…」
「はっ!?」
どういうことだよ?
と聞かれるがままに白鳥君に説明した。
「そりゃ…お前……」
「うん。解ってる。私酷いよね…」
彼の気持ちに気付いていながら…傷つけたんだから。
でもね、もう大丈夫だよ。
私がいることで壊してしまった歯車。
もうすぐで元通りになるんだから。
「……………」
白鳥君と話しているのを宮地君が見ていることに気付いていたけど…
わたしはそれに気付かないふりをした。
その日の夜。
宮地君からメールが来た。
屋上庭園に来てほしいとのこと。
何の話かなんとなく予想はついた。
断ることも出来た。
でも私は屋上庭園に向かった。
「……来てくれるとは、思わなかった…」
「どうして?」
屋上庭園に現れた私に宮地君は驚いて、フェンスにもたれかかる。
「俺が勝手に勘違いをして…苗字を傷つけた、のに…」
「傷つけたのは…私だと思うけど?」
部活の時の威厳は何処にいってしまったのか。
弱々しい宮地君。
そんな彼をじっと見つめて私は言う。
「宮地君の気持ちに…なんとなく気付いていたはずなのに…
傷つけることをしたんだもん」
「……苗字…」
本当は渡したくなかったけどね、なんて言えないけど…
ごめんね、と付け足して笑うと宮地君が少しだけ優しい笑みを浮かべたあと真面目な顔で私を見つめた。
「苗字。インターハイが終わったら、言おうと思っていたことがある」
「うん…」
ああ、やっぱりそうなってしまうの?
「俺は苗字が好きだ。
ずっと隣で笑っていて欲しい。
だから…俺と付き合ってくれないか」
「………」
嬉しい。嬉しい。
嬉しいはずなのに苦しい。
心臓が締め付けられるみたい。
こんな苦しみ…覚悟していたはずなのに。
宮地君を見ると顔を真っ赤にして私の答えを待っているようだった。
そんな期待した目で見ないで。
応えたくなってしまうから。
でも、ダメ。
私は……帰らなきゃ…
「……ごめん…今は、まだ……気持ちの整理、ついてなくて…」
なんて嘘だけど。
本当は応えたい。貴方が好きだと伝えたい。
でも今はダメなの。
苦しませてごめんね。
もう少しだけ、待ってて…
『名前…!』
お母さん、お兄ちゃん…
大丈夫。私はもうすぐ帰るよ。