泡沫星夜
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インターハイ。
みんなの今までの努力が形となり男子団体、女子個人で優勝を果たした。
「やった!小熊君!優勝だよ!」
「はい!すごいです!」
その瞬間に隣に居た小熊君と私は手を取り合って喜んだ。
荷物を取りに戻ってきたみんなにおめでとうと言いながら私は誰かの視線を感じて、振り返ってみると別の高校の女の子と目が合った。
「……?」
「苗字、どうかしたのか?」
「あ、ううん!なんでもないよ」
気のせいだろうか?
彼女の顔が少しだけ赤くなったように見えたのは。
表彰式も終わりバスに乗り込む前にトイレに行った私は
「あの……星月学園の方ですよね?」
「はい?」
知らない女の子に声をかけられた。
あ、この子は……
「こ、これを宮地君に渡してもらえませんか!」
「へっ?あ、ちょっと!!」
いいよ、とも
嫌だ、とも言う前に彼女は顔を真っ赤にして去っていった。
「渡してもらえませんか、じゃ……ないじゃん…」
私に突き付けたコレはどう考えてもラブレターで。
「渡してください、が正しいよね。
……まぁ、渡してあげますか」
少しだけ笑ってそう言うと自分の胸がちくんと痛んだような気がした。
「宮地君!」
学園に戻って、寮帰ろうとする宮地君を引き留める。
「どうかしたのか、苗字」
「うん。あのね……」
渡シタクナイ。
「っ……」
「苗字?」
だめだよ。
頼まれたんだから。
「あのね、コレを受け取って欲しいの」
「……っ!」
すっ、と手紙を差し出すとそれが何なのか理解した彼の顔は一気に赤くなった。
ズキッ...
待ってよ。その反応に私が傷付く権利はないじゃない。
「なっ、お前……コレ、はっ」
「あ……うん。手紙、なんだけど…」
今から伝えるこの手紙の真実は…彼を傷付けるのだから。
「ま、待て。俺は……その…」
「コレ、他の学園の子から頼まれたの。宮地君に渡してくれって」
「俺はっ………えっ?」
ほら、ね。
「私から、じゃなくて…他の学校の子からなの。
ちゃんと渡したからね?」
「待て!!」
「っ…」
やっぱり怒ってきた。
…普通怒るよね。
「なんで他校のやつの手紙を…お前が……
どうしてお前が持ってくるんだ!!」
掴まれた腕が痛い。
でもこれは本気で怒っているからなんだろう。
「私がそこに居たからだと思う、けど…」
「これは受け取れない。俺はもう帰る」
「ちょっと待ってよ!私は頼まれたんだからちゃんと受け取ってよ!」
あぁ、もう。
「これを書いた子がどんな気持ちだったのかを考えてよ!
宮地君を思って書いたんだよ!?それすら見ないで返事もしないなんて酷いよ!」
狡いよ宮地君。
「うるさい!!
だったら、お前からそれを差し出された俺の気持ちがわかるか?
酷いのはどっちだ!」
そんな反応は狡い…
諦めなきゃいけないのに…
「それは……」
「…本当にわからないのか?」
ううん、わかるよ。
私からだと思った手紙で君はそんなに取り乱したんでしょう?
「………」
「苗字は狡いな…」
「えっ?………っ!!」
呟くように言った宮地君を見ようと顔をあげた私に
宮地君は触れるだけの口付けをした。
「俺はもう帰る」
「………」
そう言って…へたり込む私をそこに残し、宮地君は去っていった。
「……っ、ひっく……」
知らず知らずに涙が溢れる。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
私に泣く資格はないのに。
傷付けた私に泣く資格はないのに…
涙が溢れて止まらない。
どうしてこんなことになったんだろう。
どうして私は彼を好きになってしまったんだろう。
膨れ上がってしまったこの気持ちを…
今更どうすることも出来ないのに。
みんなの今までの努力が形となり男子団体、女子個人で優勝を果たした。
「やった!小熊君!優勝だよ!」
「はい!すごいです!」
その瞬間に隣に居た小熊君と私は手を取り合って喜んだ。
荷物を取りに戻ってきたみんなにおめでとうと言いながら私は誰かの視線を感じて、振り返ってみると別の高校の女の子と目が合った。
「……?」
「苗字、どうかしたのか?」
「あ、ううん!なんでもないよ」
気のせいだろうか?
彼女の顔が少しだけ赤くなったように見えたのは。
表彰式も終わりバスに乗り込む前にトイレに行った私は
「あの……星月学園の方ですよね?」
「はい?」
知らない女の子に声をかけられた。
あ、この子は……
「こ、これを宮地君に渡してもらえませんか!」
「へっ?あ、ちょっと!!」
いいよ、とも
嫌だ、とも言う前に彼女は顔を真っ赤にして去っていった。
「渡してもらえませんか、じゃ……ないじゃん…」
私に突き付けたコレはどう考えてもラブレターで。
「渡してください、が正しいよね。
……まぁ、渡してあげますか」
少しだけ笑ってそう言うと自分の胸がちくんと痛んだような気がした。
「宮地君!」
学園に戻って、寮帰ろうとする宮地君を引き留める。
「どうかしたのか、苗字」
「うん。あのね……」
渡シタクナイ。
「っ……」
「苗字?」
だめだよ。
頼まれたんだから。
「あのね、コレを受け取って欲しいの」
「……っ!」
すっ、と手紙を差し出すとそれが何なのか理解した彼の顔は一気に赤くなった。
ズキッ...
待ってよ。その反応に私が傷付く権利はないじゃない。
「なっ、お前……コレ、はっ」
「あ……うん。手紙、なんだけど…」
今から伝えるこの手紙の真実は…彼を傷付けるのだから。
「ま、待て。俺は……その…」
「コレ、他の学園の子から頼まれたの。宮地君に渡してくれって」
「俺はっ………えっ?」
ほら、ね。
「私から、じゃなくて…他の学校の子からなの。
ちゃんと渡したからね?」
「待て!!」
「っ…」
やっぱり怒ってきた。
…普通怒るよね。
「なんで他校のやつの手紙を…お前が……
どうしてお前が持ってくるんだ!!」
掴まれた腕が痛い。
でもこれは本気で怒っているからなんだろう。
「私がそこに居たからだと思う、けど…」
「これは受け取れない。俺はもう帰る」
「ちょっと待ってよ!私は頼まれたんだからちゃんと受け取ってよ!」
あぁ、もう。
「これを書いた子がどんな気持ちだったのかを考えてよ!
宮地君を思って書いたんだよ!?それすら見ないで返事もしないなんて酷いよ!」
狡いよ宮地君。
「うるさい!!
だったら、お前からそれを差し出された俺の気持ちがわかるか?
酷いのはどっちだ!」
そんな反応は狡い…
諦めなきゃいけないのに…
「それは……」
「…本当にわからないのか?」
ううん、わかるよ。
私からだと思った手紙で君はそんなに取り乱したんでしょう?
「………」
「苗字は狡いな…」
「えっ?………っ!!」
呟くように言った宮地君を見ようと顔をあげた私に
宮地君は触れるだけの口付けをした。
「俺はもう帰る」
「………」
そう言って…へたり込む私をそこに残し、宮地君は去っていった。
「……っ、ひっく……」
知らず知らずに涙が溢れる。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
私に泣く資格はないのに。
傷付けた私に泣く資格はないのに…
涙が溢れて止まらない。
どうしてこんなことになったんだろう。
どうして私は彼を好きになってしまったんだろう。
膨れ上がってしまったこの気持ちを…
今更どうすることも出来ないのに。