現代パロディ。女子中学生で厚くんとクラスメイト。審神者や刀剣男士は一切関係ない。ほぼ無いかもしれない名前変換機能です。
白昼夢なのかもしれない
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放課後、図書室のカウンターに私はひとりでいた。図書委員の私は、今日が図書当番で、利用者が少ないにもかかわらず、委員として拘束されて憂鬱だった。部活にも行けず、委員としての仕事もなく、暇を持て余していた。
図書室のカウンターは窓と垂直に作られており、私は窓側に椅子を置いてカウンターに肘をついて利用者の少ない図書室の空を見上げていた。本を読む気にもなれず、窓の向こうで部活動に励む生徒を何となしに見る。二階の図書室からグラウンドの様子はよく見えた。そこには練習着を黒土で汚したクラスメイト、粟田口厚くんが。
そういえば野球部だっけか。少し前に消しゴムを拾ってもらったことを思い出す。近い距離で見た厚くんの顔は本当に綺麗だった。クラスメイトの男子たちはニギビで顔に赤みがあったり、凹凸があったりしている。だけど厚くんにはそんなものは無く、雀斑すら無く、兎に角綺麗な肌をしていた。短い前髪のため、おでこがよく見えるが間違いなくツルツルだった。白ニキビすら存在しなかった。
瞳の色も私達とは違い、外国の血が入っているのか分からないが、灰色っぽく見えた。茶色の私とは全然違っていて、見たことのない色だったから、宝石みたいだと漠然と思っていた。
あの時の見た綺麗な顔が、どうしても頭から離れず、今でも鮮明に思い出せた。テレビで見るイケメン俳優なんかより、もっとずっと綺麗な顔で、キラキラしていた。スパンコールとか、ラメとか、そんな安っぽいキラキラじゃなくて、もっともっと高価なキラキラだ。私の少ない引き出しでは、彼を表現する言葉はうまく見つからない。
なんて、ぼんやりと厚くんを眺めていると、休憩時間なのか校舎近くの水道で頭から水をかぶっていた。
うわぁ、ワイルド…と特に意味もなく見続けていると練習着の汚れていない袖で顔を拭う厚くん。大雑把だなぁ、とちょっと可笑しかった。
口許に手を当ててひとり少し笑っていると、不意に動きを止めた厚くん。不思議に思っていると、彼は校舎上を見上げて、そして図書室の窓側にいる私を見た。
えっ、え?なんで?目、合ってるよね…?と、勝手に混乱していると、またあの綺麗な顔で厚くんが笑った。左手を胸元に持ってきて、小さく手も降っている。何が何やらわからない状態で、私も反射で小さく手を振った。私から反応があると厚くんはすぐに踵を返し、グラウンドに走っていった。
何だったんだ今の、何だが恋人みたいなやり取り、で…そこまで考えて体が熱くなるのを感じだ。
笑いかけてくれたのよね、今。なんで?どうして?そもそも私に気がついたのは何だったの?
今度は両手で口元を押さえ、深く椅子に腰掛けて俯く。あの時の笑顔と、さっきの笑顔が重なった。窓を隔てて、図書室とグラウンド、距離もあったのにやっぱり厚くんはキラキラして見えた。