現代パロディ。女子中学生で厚くんとクラスメイト。審神者や刀剣男士は一切関係ない。ほぼ無いかもしれない名前変換機能です。
白昼夢なのかもしれない
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粟田口厚くん、新学年になって初めての席替えで隣、右隣の席になった男の子。机を移動した時、『よろしく』『うん、よろしく』と一言交わしたっきりのクラスメイトだった。
社会の授業、先生が只管板書することをノートに書き写す。
正直つまんない部類の授業だった。先生のうんちくも、駄洒落も面白くない。うまく隠してはいるが、寝ている生徒もチラホラ見られる。例に違わず、私もよく隠れて寝ているこの授業。今日はたまたま起きて只管板書に徹していた。
そんな折、ノートの上の消しカスを払うため手の甲をノートの上で滑らせると、机の端に邪魔にならないように置いていた消しゴムに意図せず当たってしまった。あっ、と思った時にはもう教室の床に転がる私の消しゴム。手を伸ばせば届きそうで届かない距離、いや、多分届かない微妙な位置。面倒臭いが消しゴムがないとこの授業は不便なため椅子を引いた時、私の消しゴムを私の代わりに、誰かの手が消しゴムを攫った。
手の主は粟田口厚くん、消しゴムは私と席と彼の席の真ん中あたりに落ちていた。私より少しだけ背の大きい厚くんは腕も長いのだろうか、椅子に座ったまま届いたらしかった。
私に向けて消しゴムを握った拳を差し出してくれた厚くんに私も手を差し出す。私より少し肌の色が黒くて、骨でゴツゴツして血管が浮いた手は物珍しかった。
「ありがとう」
授業に支障が出ない程度の小声で感謝を伝える。消しゴムから視線を外し、右隣の厚くんに目を向ける。
声が聞こえるように、と右に体を寄せていた私と、私に消しゴムを差し出すために左に体を寄せていた厚くん。思ったよりも近かった顔に私は小さく肩を揺らす。
「どういたしまして」
私と同じように小さな声で返答をくれた。控えめに微笑んだ表情はまるで美術品みたいで、キラキラしていて、こういうのなんて言うんだっけ…嗚呼、そうだ、『顔が良い』だ。
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