エースの6歳年上の姉。海軍本部中将で青キジの直属の部下。掲げる正義は「仁こそ正義」詳しくはネタにて。
冬来りなば春遠からじ【完結】
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クザンがレギーナと出会ったのは彼女が齢10の時。彼女が、クザンの上司であるガープに連れらて海軍本部に足を踏み入れた時。
「わしの孫のレギーナじゃ!可愛かろう?」
「はっ?孫?まじすか似てね~」
「なんじゃと!?」
「血は繋がってないです」
「これレギーナ!!」
血の繋がっていないらしい2人は対極的に見えた。ガープさんは相変わらず豪快で快活だったが、孫というレギーナは物静かで表情は全くと言っていいほど動かなかった。綺麗な顔をしているだけに人形のようでもあった。まだ10歳だというのに、子供らしくない子供だなぁ、と思ったことを覚えている。
生い立ちが相当暗いのかと思ったし、血の繋がりがないというのだからきっと孤児だろうと思っていた。
レギーナはガープさんの推薦で海軍に入隊し、その年ではあり得ないほどの戦闘センスを見せていた。海軍の爺たちは将来有望だと笑っていたが、ガープさんの目は厳しく、鍛錬においてはこちらがドン引くくらいには激しいものだった。
レギーナはそのままメキメキと頭角を現し、すぐに将校まで上り詰めた。掲げた正義は「仁こそ正義」正直、何を綺麗事を、と思った俺は海兵として失格なのかもしれない。しかしレギーナの正義は、青臭い理想ではあった。
レギーナは掲げた正義をきっちりこなしていた。犯罪者の取り締まりよりも人命救助を優先し、部下と衝突することもあったようだが彼女の真摯な姿勢に心動かされたらしい、統制が崩れことはなかった。
レギーナは、ただ真っ直ぐな海兵だった。世界の理不尽さを知っていて尚、綺麗事をと一蹴されるような正義を背負っていた。弱者に手を差し伸べる、立派な海兵であり、正しい海兵だった。
「辞表?こんなもん書いてきてどうしたのよ」
レギーナが渡してきたのは辞表、と書かれた紙。背の高い俺からはやや俯いているレギーナの表情は伺えない。
戦争が終結して数日、海軍は慌ただしく職務に追われていた。まだ落ち着いたとは言えない今日、なぜこのタイミングで辞表なのか。
レギーナが火拳のエースと幼馴染なのはガープさんから聞いている。彼女が10歳までは同じところで暮らしていたとも。弟分として可愛がっていたと聞いていた。
確かに弟分を亡くしたことはショックかもしれない。しかも海賊王の実の息子で、当初は公開処刑の予定であったのだから。最期はサカズキに体を貫かれて死んだが。
「あー、まぁ弟分が死んだのは確かにショックだろうが…」
「弟分じゃありません。弟なんです」
「……ん?」
「血の繋がった、弟なんです」
「おいおい、笑えない冗談はよせ」
思わず見聞色の覇気で部屋の周りを伺ってしまった。この会話を聞いているような人間は周りにいない。
火拳のエースが実の弟?そんな、まさか。まて、事実だとすると彼女は海賊王の実の娘にあたる。こんな危険因子が海軍に?なぜ海軍なんかに。しかし、レギーナは眩しいくらい正しい海兵だと言い切れる。命を重んじ、命に優劣をつけず、誰をも平等に扱おうとする様子は他の連中から見れば変人と取れるだろうが。
「エースのために海兵になったんです。…でももういない」
「だから辞職ってか?辞めてどうする。海賊にでもなるのか?」
「なりません。私は…人を助けたかった、エースを救いたかった…」
「じゃあ海兵やめて死ぬのか?」
「……」
レギーナは俺の質問に答えない。無言は肯定だ。こいつならやりかねない、そう思ってしまった。
レギーナが中将まで上り詰めたとき不思議に思ったことがある。何故そこまで生き急ぐのか、と。確かに彼女は人を助けたいから、その一心で動いているようにも見えたが違う。打算的なものを俺は感じていた。じゃなきゃ、青臭い理想的な正義でどうやって中将まで上り詰める。
当時、どうすれば出世できるのか、そういう欲はこいつも持っているのかと感心したくらいだ。
「…火拳のためって、何が目的でお前、海兵になったんだ」
部屋のソファに座らせ俺も向かいに座る。こいつの戦力、人格、能力全てにおいて失うには惜しい。勿論可愛い部下としてやめて欲しくない気持ちもある。
「エースを守りたかった…。悪人の子供は悪人だなんて、誰が決めつけたんですか」
「火拳はまた勝手が違ってくる」
「違いません。エースも同じ人間、母親から愛を受けて生まれてきたんです」
「だが危険因子であることは間違いじゃない。現にあいつは海賊だ。違うか?」
「…だからって、鬼の子なんて罵って…私たちがどんな思いで生きてきたか…!」
初めて感情的になったレギーナの姿に驚く。いつもの淡々としていた姿とは180度違う。海賊や部下に怒鳴る姿は僅かだが見たことがあった。だが俺は肩を震わせ、拳を強く握りしめ、涙を瞳に溜めて、声を荒げる姿を俺は見たことがなかった。
「まだ親元にいる年齢なのに、独りぼっちで…会ったこともない、知らない父親の所為で生まれてきたことを否定される。自分の血筋の所為で殺される無関係で無実な人々。こんな理不尽な世界が許せなかった!」
海賊王の子供が生まれるかもしれない、そう言って南の海 で罪のない妊婦が数多く殺された、とは聞いた話だった。
知ってるよ、この世が理不尽なことは。俺もそれに嘆いていた記憶がある。だが、当事者ではない俺にはレギーナの怒りも悲しみも計り知れないものだった。
一度声を荒げたレギーナは荒かった息遣いが徐々に落ち着いてきた。震える声で呟く。
「…すみません、わかってるんです仕方のないことだって」
それっきりレギーナは黙り込んでしまった。
表情は相変わらず伺えない。
俺は長いため息を吐き出すとレギーナを語りかける。
「お前の事情はわかった。お前が弟想いなのも十分わかった。だが、それとこれとは話は別だ。まだ戦争も終わって間もない、少し頭を冷やせ」
それがレギーナとの最後の会話だった。レギーナは海賊王の血を継いでる。ガープさんもきっとそれを知っている。レギーナ程の実力で、しかも地位は中将。レギーナの血筋が世間に流れれば海軍の面目はまた丸潰れだ。もしレギーナの血筋を知った人間がいて、それが海軍全体に広まれば内々に処分される。どちらも避けたい。
それから暫く、レギーナの部隊とサカズキの部隊の遠征が決まった。まだ復旧も終わりきってないのに何故、と思わなくもなかった。レギーナの血筋がバレたか、とも思ったがあの時あの場にいたのは俺とレギーナだけ。ガープさんが話すわけもない。杞憂に終わればいいが…。
残念ながら俺の願いは叶わず、レギーナとレギーナの部下数名は死亡した。白ひげ傘下の生き残りと遭遇し、戦闘になった際に激しい戦闘と悪化した天候により負傷したまま海に投げ出され行方不明になったらしい。
報告を聞いた俺はガープさんの顔がみられなかった。
「お前に元帥は向いとらん!危険因子を育ておって、部下を見る目も腐っちょる!!」
「!?……っ、サカズキ!!テメェ!!」
パンクハザード、元々サカズキが元帥になることだけは反対だった。別に自分が元帥になりたいわけではない。だが、この男が元帥の座につくのだけは許せなかった。
やはりそうだ、睨んだ通りだった。この男がやったのだ。
あいつは、レギーナは確かに海兵だった。血筋が絶対的に罪とは俺には言い切れない。いい部下だった、可愛い部下だった。あいつの正義は本物だった。
きっと弟と同じようにサカズキの能力にやられたに違いなかった。こいつの能力で簡単に人は死ぬ。
*
キャメルと共にたまたま立ち寄った島に海を見渡せる良い高台があった。ここからの景色をツマミに飲む酒もいいもんだ、と穏やかな気分でいた。
「瓶ごと酒を煽るなんて、行儀悪くないですか?」
聞き覚えのある声だった。2年ぶりに聞く声だった。まさか、いやそんなまさか、幽霊か?なんて馬鹿な考えを抱いて恐る恐る後ろを振り返る。思わず足元から確認してしまった。
「何ですかその顔。幽霊でも見たみたいな」
眉を下げて笑う女に見覚えがありすぎた。こんな風に笑うこいつを見たことがなかったが。
左頬の火傷痕は痛々しい。だが、表情は海軍にいた時よりもずっと晴れやかだった。
「お、前…」
「まさか貴方とこんな形で再会するとは思ってもみませんでしたよ」
よっこいしょ、とレギーナは無遠慮に俺の隣に腰を下ろす。寝ていたキャメルは片目だけ開けてこちらを一瞥したが、すぐにまた寝入ったようだ。
「……生きてたのか」
「お陰様で、死に損ないました」
「みたいだな、酷え火傷」
「それ普通女性に対して言います?ていうか、お互い様ですよね」
ふん、と鼻を鳴らして俺をバカにするレギーナ。こいつの生意気な姿を久しぶりに見て安心する自分がいた。
「どうやら犯罪者に手を貸してるとか何とか?」
「おま、どこ情報だよ…お前こそ、今は一体何してんのよ」
「まあ似たようなもんですよ。犯罪に手を染めない程度に犯罪者に加担?」
何で疑問形なのか。お互い様似たような境遇で思わず笑えてきた。
何だかんだずっと俺の心のしこりの1つであったレギーナの存在。生きていて、まさか会えるとは思わなかったが。きっと再会はあの世だと勝手に思っていた。
その後レギーナの左手が義手であることに気がつき、我慢できずに吹き出し、笑ってしまうと睨まれた。自分も片足を失ったというとレギーナは眉を下げて笑う。さっきと同じ、見たことのない笑い方だった。
「無様ですね」
あぁ、本当に無様だよ、俺たち。
「わしの孫のレギーナじゃ!可愛かろう?」
「はっ?孫?まじすか似てね~」
「なんじゃと!?」
「血は繋がってないです」
「これレギーナ!!」
血の繋がっていないらしい2人は対極的に見えた。ガープさんは相変わらず豪快で快活だったが、孫というレギーナは物静かで表情は全くと言っていいほど動かなかった。綺麗な顔をしているだけに人形のようでもあった。まだ10歳だというのに、子供らしくない子供だなぁ、と思ったことを覚えている。
生い立ちが相当暗いのかと思ったし、血の繋がりがないというのだからきっと孤児だろうと思っていた。
レギーナはガープさんの推薦で海軍に入隊し、その年ではあり得ないほどの戦闘センスを見せていた。海軍の爺たちは将来有望だと笑っていたが、ガープさんの目は厳しく、鍛錬においてはこちらがドン引くくらいには激しいものだった。
レギーナはそのままメキメキと頭角を現し、すぐに将校まで上り詰めた。掲げた正義は「仁こそ正義」正直、何を綺麗事を、と思った俺は海兵として失格なのかもしれない。しかしレギーナの正義は、青臭い理想ではあった。
レギーナは掲げた正義をきっちりこなしていた。犯罪者の取り締まりよりも人命救助を優先し、部下と衝突することもあったようだが彼女の真摯な姿勢に心動かされたらしい、統制が崩れことはなかった。
レギーナは、ただ真っ直ぐな海兵だった。世界の理不尽さを知っていて尚、綺麗事をと一蹴されるような正義を背負っていた。弱者に手を差し伸べる、立派な海兵であり、正しい海兵だった。
「辞表?こんなもん書いてきてどうしたのよ」
レギーナが渡してきたのは辞表、と書かれた紙。背の高い俺からはやや俯いているレギーナの表情は伺えない。
戦争が終結して数日、海軍は慌ただしく職務に追われていた。まだ落ち着いたとは言えない今日、なぜこのタイミングで辞表なのか。
レギーナが火拳のエースと幼馴染なのはガープさんから聞いている。彼女が10歳までは同じところで暮らしていたとも。弟分として可愛がっていたと聞いていた。
確かに弟分を亡くしたことはショックかもしれない。しかも海賊王の実の息子で、当初は公開処刑の予定であったのだから。最期はサカズキに体を貫かれて死んだが。
「あー、まぁ弟分が死んだのは確かにショックだろうが…」
「弟分じゃありません。弟なんです」
「……ん?」
「血の繋がった、弟なんです」
「おいおい、笑えない冗談はよせ」
思わず見聞色の覇気で部屋の周りを伺ってしまった。この会話を聞いているような人間は周りにいない。
火拳のエースが実の弟?そんな、まさか。まて、事実だとすると彼女は海賊王の実の娘にあたる。こんな危険因子が海軍に?なぜ海軍なんかに。しかし、レギーナは眩しいくらい正しい海兵だと言い切れる。命を重んじ、命に優劣をつけず、誰をも平等に扱おうとする様子は他の連中から見れば変人と取れるだろうが。
「エースのために海兵になったんです。…でももういない」
「だから辞職ってか?辞めてどうする。海賊にでもなるのか?」
「なりません。私は…人を助けたかった、エースを救いたかった…」
「じゃあ海兵やめて死ぬのか?」
「……」
レギーナは俺の質問に答えない。無言は肯定だ。こいつならやりかねない、そう思ってしまった。
レギーナが中将まで上り詰めたとき不思議に思ったことがある。何故そこまで生き急ぐのか、と。確かに彼女は人を助けたいから、その一心で動いているようにも見えたが違う。打算的なものを俺は感じていた。じゃなきゃ、青臭い理想的な正義でどうやって中将まで上り詰める。
当時、どうすれば出世できるのか、そういう欲はこいつも持っているのかと感心したくらいだ。
「…火拳のためって、何が目的でお前、海兵になったんだ」
部屋のソファに座らせ俺も向かいに座る。こいつの戦力、人格、能力全てにおいて失うには惜しい。勿論可愛い部下としてやめて欲しくない気持ちもある。
「エースを守りたかった…。悪人の子供は悪人だなんて、誰が決めつけたんですか」
「火拳はまた勝手が違ってくる」
「違いません。エースも同じ人間、母親から愛を受けて生まれてきたんです」
「だが危険因子であることは間違いじゃない。現にあいつは海賊だ。違うか?」
「…だからって、鬼の子なんて罵って…私たちがどんな思いで生きてきたか…!」
初めて感情的になったレギーナの姿に驚く。いつもの淡々としていた姿とは180度違う。海賊や部下に怒鳴る姿は僅かだが見たことがあった。だが俺は肩を震わせ、拳を強く握りしめ、涙を瞳に溜めて、声を荒げる姿を俺は見たことがなかった。
「まだ親元にいる年齢なのに、独りぼっちで…会ったこともない、知らない父親の所為で生まれてきたことを否定される。自分の血筋の所為で殺される無関係で無実な人々。こんな理不尽な世界が許せなかった!」
海賊王の子供が生まれるかもしれない、そう言って
知ってるよ、この世が理不尽なことは。俺もそれに嘆いていた記憶がある。だが、当事者ではない俺にはレギーナの怒りも悲しみも計り知れないものだった。
一度声を荒げたレギーナは荒かった息遣いが徐々に落ち着いてきた。震える声で呟く。
「…すみません、わかってるんです仕方のないことだって」
それっきりレギーナは黙り込んでしまった。
表情は相変わらず伺えない。
俺は長いため息を吐き出すとレギーナを語りかける。
「お前の事情はわかった。お前が弟想いなのも十分わかった。だが、それとこれとは話は別だ。まだ戦争も終わって間もない、少し頭を冷やせ」
それがレギーナとの最後の会話だった。レギーナは海賊王の血を継いでる。ガープさんもきっとそれを知っている。レギーナ程の実力で、しかも地位は中将。レギーナの血筋が世間に流れれば海軍の面目はまた丸潰れだ。もしレギーナの血筋を知った人間がいて、それが海軍全体に広まれば内々に処分される。どちらも避けたい。
それから暫く、レギーナの部隊とサカズキの部隊の遠征が決まった。まだ復旧も終わりきってないのに何故、と思わなくもなかった。レギーナの血筋がバレたか、とも思ったがあの時あの場にいたのは俺とレギーナだけ。ガープさんが話すわけもない。杞憂に終わればいいが…。
残念ながら俺の願いは叶わず、レギーナとレギーナの部下数名は死亡した。白ひげ傘下の生き残りと遭遇し、戦闘になった際に激しい戦闘と悪化した天候により負傷したまま海に投げ出され行方不明になったらしい。
報告を聞いた俺はガープさんの顔がみられなかった。
「お前に元帥は向いとらん!危険因子を育ておって、部下を見る目も腐っちょる!!」
「!?……っ、サカズキ!!テメェ!!」
パンクハザード、元々サカズキが元帥になることだけは反対だった。別に自分が元帥になりたいわけではない。だが、この男が元帥の座につくのだけは許せなかった。
やはりそうだ、睨んだ通りだった。この男がやったのだ。
あいつは、レギーナは確かに海兵だった。血筋が絶対的に罪とは俺には言い切れない。いい部下だった、可愛い部下だった。あいつの正義は本物だった。
きっと弟と同じようにサカズキの能力にやられたに違いなかった。こいつの能力で簡単に人は死ぬ。
*
キャメルと共にたまたま立ち寄った島に海を見渡せる良い高台があった。ここからの景色をツマミに飲む酒もいいもんだ、と穏やかな気分でいた。
「瓶ごと酒を煽るなんて、行儀悪くないですか?」
聞き覚えのある声だった。2年ぶりに聞く声だった。まさか、いやそんなまさか、幽霊か?なんて馬鹿な考えを抱いて恐る恐る後ろを振り返る。思わず足元から確認してしまった。
「何ですかその顔。幽霊でも見たみたいな」
眉を下げて笑う女に見覚えがありすぎた。こんな風に笑うこいつを見たことがなかったが。
左頬の火傷痕は痛々しい。だが、表情は海軍にいた時よりもずっと晴れやかだった。
「お、前…」
「まさか貴方とこんな形で再会するとは思ってもみませんでしたよ」
よっこいしょ、とレギーナは無遠慮に俺の隣に腰を下ろす。寝ていたキャメルは片目だけ開けてこちらを一瞥したが、すぐにまた寝入ったようだ。
「……生きてたのか」
「お陰様で、死に損ないました」
「みたいだな、酷え火傷」
「それ普通女性に対して言います?ていうか、お互い様ですよね」
ふん、と鼻を鳴らして俺をバカにするレギーナ。こいつの生意気な姿を久しぶりに見て安心する自分がいた。
「どうやら犯罪者に手を貸してるとか何とか?」
「おま、どこ情報だよ…お前こそ、今は一体何してんのよ」
「まあ似たようなもんですよ。犯罪に手を染めない程度に犯罪者に加担?」
何で疑問形なのか。お互い様似たような境遇で思わず笑えてきた。
何だかんだずっと俺の心のしこりの1つであったレギーナの存在。生きていて、まさか会えるとは思わなかったが。きっと再会はあの世だと勝手に思っていた。
その後レギーナの左手が義手であることに気がつき、我慢できずに吹き出し、笑ってしまうと睨まれた。自分も片足を失ったというとレギーナは眉を下げて笑う。さっきと同じ、見たことのない笑い方だった。
「無様ですね」
あぁ、本当に無様だよ、俺たち。