♪アルバム♪
作品一覧
『ぬくもり』(志水)
「これ…先輩が、掛けてくれたんですか?いい色ですね。」 心地よい眠りから目覚めた彼は、とろんとした目でにっこり笑う。 それはまるで、天使の微笑み。 だからあたしは言えなかった そのドテラ、宿直室にいた金澤先生から借りてきて、 カレーやコーヒーのシミが付いてること そして 金澤先生が、 『どうせ志水に掛けてやるんだろ?多少シミ付いてても構わないだろ!シミズなだけに』 とか言ってたなんて。 とてもじゃないけど、言えなかった。
『浴衣と君と、綿飴と』(月森)
夏のお祭り。待ち合わせ場所である、神社の鳥居に着いたら 「君にと思って、綿飴を買ってみたんだが…綿飴が小さくなっているのは気のせいだろうか。」 月森くんが着いたのは、約束の15分前。 あたしは約束の5分後。 綿飴はしぼんでしまったけど、月森くんの気持ちが嬉しくて でも、それ以上に 浴衣姿の、月森くんのうなじ それに対し、あたしの心は膨らんでいた。
『君のために』(加地)
「傘、持ってないの?もしよかったら僕の使って?…あ、僕のことなら大丈夫、一本余分に持ってるから。」 けど、あたしにそれは使えない。 加地君はいつだって優しいのに、自分はなんて嫌なヤツなんだろうと思う。 そんなつもりじゃないって分かってるのに 心なしかイヤミにも取れるその行為。 差し出されたのは、ポールスミスの傘だった。
『気持ちの花束』(土浦)
「ほら、これ…やるよ。さっきたまたま見付けてな。…別に、深い意味はねぇよ。」 真っ赤になって差し出された花束は 土浦くんの気持ちがいっぱいつまってた なぜなら 「ちなみにそれ、食えるから。」 飴でできた花束 土浦くんは、あたしのことをよく分かってるなって思った。
『夜空に響くメロディー』(月森)
夜、寝間着のままでのコンビニの帰り道。寒くなると町内会の人達で行われる、よく見るあの行列に遭遇した。 「ひのーよーうじーん」 じじいとこどもの行列に まさか、彼がいるなんて 嫌々ながらも、誰よりも良い音を奏でていた。
『ある日の帰り』(月森)
「お互い練習もあるし、早く帰ろう。」 そう言って、歩き出した彼に続いた。 優しく、甘い微笑みをくれた、愛しい彼の後ろ姿 静電気で髪の毛が立っていた。
『お見舞い』(L.R)
月「何故カツ丼を?こういう場合、お粥とかじゃないのか。」 土「うるせぇな、アイツはカツ丼が好きなんだよ。捻挫でお粥の必要はねぇだろ。つーかお前こそメロンはやりすぎだ。」
『特別な演奏』(月森)
「君に対する気持ちが、伝わっただろうか。」 演奏の後、照れながら言った。 でも、 コンタクトを忘れた彼は、あたしの横にあったメトロノームを見ていた。
『愛しい横顔』(志水)
「どうしてでしょう…ここに来ると、先輩を思い出すんです。」 そう言って、志水君が足を止めた場所 それは 中華街で一番大きな肉まんが売っている店だった。
『キャンディー』(柚木)
「頑張ってるご褒美だよ。さ、口を開けて。」 そう言った柚木先輩が見ていたのは、 目でもなく、唇でもなく… そう、 鼻だった。