あれから6年…
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あたしは不二の番号を出し、通話ボタンを押した。
どうしてあの時想いを告げなかったんだろう。
どうして気付かなかったんだろう。
あの頃の不二は、いつもどこか本気じゃなかった気がする。彼の本気は、あたしじゃ引き出せない。
そう、思っていた。
だから
諦めた。
『伝説のハジケリスト?』
「うん。」
『僕に電話をくれたって事は、自惚れてもいいのかな。』
「いいと…思う。」
『今、どこにいるの?』
あたしが自分のいる場所を言うと、数分もしないうちに不二が迎えに来た。
ガラにもなく、息を切らせていた。
「よかった…。なんとなく、伝説のハジケリストは僕を選ばない気がしてたから。」
そう言った不二は、切ないような、嬉しいような、見たことのない表情だった。
「あたしは不二を好きだった。けど、見ないようにしてた。」
「……。」
「不二の本気になれないと思ってたから。」
ただ横顔を見ては、苦しくなっていた。不二が見てるものは、あたしには理解できないだろうと。
「僕は、君が羨ましかった。まっすぐで、いつも笑ってる君が。」
不二はあたしに近づくと、走って温かくなったその手で、あたしの頬を包んだ。
「欲しいと思った。」
不二の手は、6年前のあの頃よりも大きくて、綺麗だけど、男の人の手をしていた。
「でも、僕には眩しすぎて、奪うことなんてできなかった。だから、周囲を警戒する事しかできなかったんだ。」
「不二…。」
幼かったあたし達。それでもそれなりに一生懸命だった。
それ故に、すれ違った。
「もう逃げないよ。言い訳もしない。」
不二の瞳にあたしがハッキリ映っている。
今は、今の不二は、まっすぐあたしを見ている。
だからあたしも、不二をまっすぐ見る。
「伝説のハジケリストが好きなんだ。」
「うん。」
これ以上、言葉はいらなかった。
あたし達は、会えなかった6年間分、お互いの存在を確かめ合った。
さぐるように、たどるように。
終わり
どうしてあの時想いを告げなかったんだろう。
どうして気付かなかったんだろう。
あの頃の不二は、いつもどこか本気じゃなかった気がする。彼の本気は、あたしじゃ引き出せない。
そう、思っていた。
だから
諦めた。
『伝説のハジケリスト?』
「うん。」
『僕に電話をくれたって事は、自惚れてもいいのかな。』
「いいと…思う。」
『今、どこにいるの?』
あたしが自分のいる場所を言うと、数分もしないうちに不二が迎えに来た。
ガラにもなく、息を切らせていた。
「よかった…。なんとなく、伝説のハジケリストは僕を選ばない気がしてたから。」
そう言った不二は、切ないような、嬉しいような、見たことのない表情だった。
「あたしは不二を好きだった。けど、見ないようにしてた。」
「……。」
「不二の本気になれないと思ってたから。」
ただ横顔を見ては、苦しくなっていた。不二が見てるものは、あたしには理解できないだろうと。
「僕は、君が羨ましかった。まっすぐで、いつも笑ってる君が。」
不二はあたしに近づくと、走って温かくなったその手で、あたしの頬を包んだ。
「欲しいと思った。」
不二の手は、6年前のあの頃よりも大きくて、綺麗だけど、男の人の手をしていた。
「でも、僕には眩しすぎて、奪うことなんてできなかった。だから、周囲を警戒する事しかできなかったんだ。」
「不二…。」
幼かったあたし達。それでもそれなりに一生懸命だった。
それ故に、すれ違った。
「もう逃げないよ。言い訳もしない。」
不二の瞳にあたしがハッキリ映っている。
今は、今の不二は、まっすぐあたしを見ている。
だからあたしも、不二をまっすぐ見る。
「伝説のハジケリストが好きなんだ。」
「うん。」
これ以上、言葉はいらなかった。
あたし達は、会えなかった6年間分、お互いの存在を確かめ合った。
さぐるように、たどるように。
終わり