あれから6年…
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あたしは手塚の番号を出し、通話ボタンを押した。
冷たい空の下、アルコールはもう抜けている。
まさか、手塚があたしを好きだったなんて、これっぽっちも思わなかった。あたしはただ、手塚の背中ばかり見てた。
肩の治療中で遠く離れてしまった時も、あたしには待つ事しかできなかった。
これ以上、手塚の負担を増やしたくなかった。
だから、黙ってたのに。
「手塚?」
『あぁ。』
「ズルイよ…。あんなの。」
『すまない。』
「あたし、手塚に電話したよ。意味…分かる?」
『話は聞いている。』
「今、どこにいるの?」
と聞いた時、後ろに人の気配がした。
「手塚…。」
振り向いたら、携帯を耳に当てた手塚がこちらに歩いてきた。
「あたし、あの頃手塚が好きだった。」
『あぁ。』
お互い姿は見えているが、携帯は通話になったまま話を続ける。
「今も、やっぱり好きみたい。」
『あぁ。』
距離がぐっと近くなった。
手塚は携帯を切って、直にあたしに言った。
「俺は伝説のハジケリストが好きだった。」
「うん。」
「勿論今も、これからもだ。」
「うん。」
「ずっと、そばにいてくれないか。」
「……喜んで。」
「そうか。」
「うん。手塚、あたし…」
言いかけて、視界が急に狭くなった。そして、急に体があったかくなった。
あぁ、あたしは手塚の腕の中にいるんだ。
「手塚がこんな事するなんて、珍しいね。」
「そうだな。酒に酔ったのかもしれないな。」
そう言って、手塚はあたしを抱き締める力を強めた。
6年間の隙間を埋めるように、強く優しく。
それからしばらく、あたしは手塚に抱かれていた。
終わり
冷たい空の下、アルコールはもう抜けている。
まさか、手塚があたしを好きだったなんて、これっぽっちも思わなかった。あたしはただ、手塚の背中ばかり見てた。
肩の治療中で遠く離れてしまった時も、あたしには待つ事しかできなかった。
これ以上、手塚の負担を増やしたくなかった。
だから、黙ってたのに。
「手塚?」
『あぁ。』
「ズルイよ…。あんなの。」
『すまない。』
「あたし、手塚に電話したよ。意味…分かる?」
『話は聞いている。』
「今、どこにいるの?」
と聞いた時、後ろに人の気配がした。
「手塚…。」
振り向いたら、携帯を耳に当てた手塚がこちらに歩いてきた。
「あたし、あの頃手塚が好きだった。」
『あぁ。』
お互い姿は見えているが、携帯は通話になったまま話を続ける。
「今も、やっぱり好きみたい。」
『あぁ。』
距離がぐっと近くなった。
手塚は携帯を切って、直にあたしに言った。
「俺は伝説のハジケリストが好きだった。」
「うん。」
「勿論今も、これからもだ。」
「うん。」
「ずっと、そばにいてくれないか。」
「……喜んで。」
「そうか。」
「うん。手塚、あたし…」
言いかけて、視界が急に狭くなった。そして、急に体があったかくなった。
あぁ、あたしは手塚の腕の中にいるんだ。
「手塚がこんな事するなんて、珍しいね。」
「そうだな。酒に酔ったのかもしれないな。」
そう言って、手塚はあたしを抱き締める力を強めた。
6年間の隙間を埋めるように、強く優しく。
それからしばらく、あたしは手塚に抱かれていた。
終わり
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