隣の席の白石くん
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◎5日目◎
昨日の謙也の助けもあって、白石との距離が近付き、ただのクラスメイトから仲の良い友達になりつつあることを実感していたあたしは、学校に行く足取りも軽かった。
白石も、もう頑張って慣れないボケをしなくても大丈夫と感じたのか、今朝は普通だった。
今日は一時間目に体育の授業があるから、雑談する余裕が無かったっていうのもあるけれど。
着替えを終えてグラウンドに出ると、係の子がだるそうにハンドボールをカゴに用意したり、ラインを引いたりしていた。
他は座り込んでしゃべったり、ボールで遊んだりしていて、あたしも誰かとおしゃべりでもしようと足を進めると、肩をツンツンとつつかれた。
振り返るとそこには白石がいて、ジャージのお腹部分が不自然に膨らんでいた。
「ちょお相談あるんやけど。」
どうせ「妊娠してもうてん」とかベタなこと言うんだろうなと思ったので
「産めばいいと思う。」
先手を打つと
「ちゃうねん、俺やなくて謙也のことやねん。」
憂いを帯びた瞳に、少し困ったような声で言われたので、真剣な話をしたいんだと分かった。
なんだか申し訳なくなり、
「どうしたの?」
あたしも声のトーンを落とした。
「実はな…」
白石が目を伏せて語り始めようとしたその時。
「なんやお前ら、こんなとこにおったんか。」
ジャージの胸部分をパンパンにさせた謙也が、その胸を押さえながら走り寄ってきた。
「ほれ見てみい!うらやましいやろ!」
そう言って嬉しそうに胸部を自慢してきたが、ハンドボールが狭いジャージに収まりきるのは難しく、左が少々下にずれている。
「なんなら触ってもええで!」
誰かこのバカを止めて下さい。
そう思って白石を見ると
「謙也、でかければええっちゅーもんやないで?」
そう言いつつも両手で触っていた。白石に触られている謙也はというと
「まぁ実際こんなんおったら胸部だけに恐怖やろな。」
「つまんねぇよ!何上手いこと言った、みたいなオーラ出してんの?!残念ながら上手くねぇよ!」
サムい発言をしてきたので、つい全力で突っ込んでしまった。
「なんや、俺の爆乳に嫉妬か?」
「大丈夫や、ここまではさすがに無理やけど、俺が近付けさしたる。任せとき!」
「白石の手は魔法の手やで。包帯取ったら力解放されるねん。ちゅーかお前腹どないしてん。何ヶ月や。」
「8ヶ月や。もうボコボコ動くで。」
そして腹をボコボコ動かして見せた。
「おう、そういやお前も腹どないしてん。もうすぐ産まれそうやん。」
今度はあたしの腹を見てきた。しかしあたしはジャージにボールを入れていない。
「貴様らさっきから好き勝手いいやがって…SATSUGAIするぞ!」
「お、クラウザーさんや!」
「クラウザーさんが地獄から来よったで!」
そして謙也の自慢のバストと白石の8ヶ月目の腹を、手をグーにして上から叩き落としてやった。
すると謙也が
「俺のバストが!」
胸から落ちて転がっていくボールを追い掛けて行った。
「謙也!俺のも頼むわ!」
「なんでや!自分でやれ!」
「スピードスターが拾った方が早いやろ!」
「よっしゃ!任せとき!」
謙也を乗せて球を拾わせる白石を見て、さすがあのテニス部の部長をやっているだけはあると思った。
「で、相談てなんだったの?」
「や、もうええねん。」
「なにそれ、超気になる。」
「その調子でもっと俺のこと気にしてくれてええで。」
「意味分かんない。」
しかめっ面するあたしの頭に、白石がポンと手を乗せてから
「そろそろ整列や。」
グラウンドの中央へ歩いて行った。
その時あたしの胸が、きゅんと音を立てた気がして
今まで白石に対して思うようにいかなかったのは
白石の反応を気にしすぎていたのは
白石を知りたいと、興味を持ったのは
あたしが白石を、意識していたからで
でもそれがどういうものか、分かってなかった。
「謙也ごめん。」
「いきなりなんや気持ち悪い。」
この瞬間から、それは決定的なものになった。
目指す場所が、仲の良い友達から違う場所へ
「とにかくごめん!」
「意味わからん。」
となりの席の白石を、あたしは好きになってしまったから。
終わり
【後書き】
ほら微妙。
ちなみに白石の相談とは、謙也が胸にボールを入れてるところを見ていたので、「謙也が女になってもうてん。好きになってもうたらどないしよ。」みたいなことを言おうとしていたのでした。
が、謙也が早いタイミングで来てしまったので言えず。
ですが、彼女の気を引けたということで、とっさに機転を利かせたのでした。
白石蔵ノ介、お前は一体どんな男なんだ…
やっぱりダブルスのテニ様やるしかないかな。
最後まで微妙でしたが、お付き合い頂きましてありがとうございました。
2009/03/13.15.17.19.21.23の日記より