お題DEキリ番小説
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【佐伯 虎次郎】
「ねぇサエさん?」
「ん?なんだい?」
部活が終わり、二人で並んで歩く帰り道。心地良い疲れにサエさんの柔らかい声がちょうどいい。
「夏休み、まとまった休みあってよかったね。」
「そうだね。部活もいいけど、せっかくの夏休みだからね。」
今日オジイから貰った予定表によると、八月の半ばに一週間の休みがあった。例年から考えると珍しい事だが、オジイもアバンチュールの相手を見つけたのだろう。バネさんが「青学の顧問がアヤシイ」って言っていた。
「休み中、遊んでくれるよね?」
「もちろん!伝説のハジケリストの行きたい場所、全部行こう。」
「たくさんありすぎて一週間じゃ回りきれないよ。一生かかっても無理かも。」
「ははは(笑)じゃあ一生かけても回りきろうか。」
キューン(〃_〃)
もうっ!この天然王子様がっっ(≧ロ≦)vV
あたしが悶えていると、サエさんが
「でも、遠出はしたいね。せっかく一週間もあるし。」
なんて言ってきた。
「遠出ねぇ…。海は見飽きてるから山とか?」
「そうだね。電車に乗って静かな場所に行きたいなぁ。」
そんな話しをしながら歩いていると、旅行代理店に貼られている山形のポスターが目に入った。
「サエさん!さくらんぼ狩りなんてどう??」
「え…?さくらんぼ狩りかい?」
サエさんは、綺麗だけど少し濁った目をこれでもかというほどかっぴらいてあたしを見つめてきた。
なんかマズイことを言ってしまったのだろうか。
「どうしたの?さくらんぼ嫌い?」
「別に嫌いじゃないけど…。本当にさくらんぼ狩りでいいのかい?」
「うん。」
「伝説のハジケリストがそう言うなら仕方ない。でも、さくらんぼ狩りなんてこの辺でもできるよ?」
「え?!」
千葉にさくらんぼ園があるなんて聞いた事がない。サエさんは一体何を言っているのだろうか。
「それに、夏休みじゃなくてもできるんじゃないかな。」
「えー…??」
夏休みじゃなくてもできる…?日曜に日帰りでって事?でも日曜はたいてい部活だしな…。
「でも、伝説のハジケリストの頼みだからね。さっそく明日あたりバネ達にアポとっておくよ。」
「ちょっと待った!なんでそこでバネさんが出てくるの?!しかも“達”って何?!」
二人でするはずのさくらんぼ狩りに、何故他複数があがるのか。
なんかおかしい。
「なんでって…、さくらんぼ狩りだろ?」
「そうだよ?あ…!」
分かった。サエさんが何を言わんとしてるのか分かった。
「サエさん、違うの。あたしが言ってるのはフルーツのさくらんぼの事でね?童貞の方じゃないから。」
「そうなの?ごめんごめん。なんだ、俺はてっきりそっちかと思ってたよ。俺もおかしいとは思ったんだ。」
おかしいと思うならその場で確認していただきたい。オヤジ狩りのノリでさくらんぼ(童貞)狩りなんてあったらたまったもんじゃない。
「もぅ。サエさんたら!」
「でも安心したよ。俺に飽きたのかと思った。」
サエさんは少し安心したように笑った。
「飽きるわけないじゃんvVサエさんに飽きる自分なんて想像つきません!」
「ありがとう。さっき本気で童貞に戻りたいと思っちゃったよ。」
はははといって爽やかに笑うサエさん。少しズレてるけどそこがまた好きだ。
ちなみにサエさんのさくらんぼはあたしが美味しくいただいた。
「さくらんぼ狩り楽しみだね!」
「あぁ。そうだね。たくさん採ってお土産にしよう。バネ達喜ぶだろうなぁ。」
あたし達からさくらんぼをもらって
嫌がるバネさん、
焦る剣太郎、
半泣きするいっちゃん、
ダジャレを言って自爆するダビデを想像してしまった。
「どうかした?」
「なんでもない!」
「楽しみだなぁ。伝説のハジケリストとさくらんぼ狩りか。なんか興奮してきたよ。」
「Σ興奮?!」
「終わったら伝説のハジケリストのかわいいさくらんぼも狩らせてもらうから。(爽笑)」
「……ι」
何はともあれ、サエさんとのさくらんぼ狩り旅行が決まったのだった。
そして、行く頃にはさくらんぼの収穫時期がとっくに過ぎているということが、この時のあたし達の頭には無かった。
終
【千石 清純】
今日はキヨちゃんが、どうしてもと言うのでカラオケに来ている。
「伝説のハジケリストちゃん、アレ歌って!」
「また~?」
「頼むよ~wね?」
「しょうがないなぁ。」
「ラッキ~♪そうこなくっちゃ☆」
キヨちゃんとカラオケに来ると必ず歌わされる歌がある。
大塚愛の《さくらんぼ》。
キヨちゃんは嬉しそうに曲を送信した。少しして画面が切り替わると、壊れたチンパンジーのおもちゃみたいに手を叩き始めた。
『愛し合う2人 幸せの空 隣どおし あなたとあたし さくらんぼ』
「うん☆いいね~vV」
『手帳開くと もう 2年たつなぁって やっぱ実感するね なんだか照れたりするね
そういやヒドイコトもされたし ヒドイコトも言ったし』
「うんうん。」
『中実がいっぱいつまった 甘い甘いものです』
「イェイ♪(≧▽≦)」
『泣き泣きの1日や 自転車の旅や 書きあらわせれない だって 多いんだもん!!』
「ハイ♪」
『笑顔咲ク 君とつながってたい もしあの向こうにッ見えるものがあるなら
愛し合う2人 幸せの空 隣どおし あ「キヨちゃんと!」あたし さくらんぼ』
今日もキヨちゃんの合いの手は絶好調みたいだ。
『もらったものは そう愛を感じ あげたものは もちろん 全力の愛です』
「照れちゃうなぁ~w」
『やっぱいいもんだよね 共同作業 罰ゲーム
思いがけなく歴史は さらに深いけれど』
「イェイ☆」
『1つでも 欠けてたら とんでもなく 足りない 足りない! 「足りない!!」 2人の絆』
「ひゅう♪(≧▽≦)」
『笑顔咲ク 君と 抱き合ってたい もし遠い未来を 予想するのなら
愛し合う2人 いつの時も 隣どおし 「キヨちゃんと!」 あたし さくらんぼ』
間奏に入ると、キヨちゃんは椅子の上に立ちだした。
『笑顔咲ク 君とつながってたい もしあの向こうにッ見えるものがあるなら
愛し合う2人 幸せの空隣どおし「キヨちゃんと!」あたし さくらんぼ』
「もういっかーい!!!」
『笑顔咲ク 君と 抱き合ってたい もし遠い未来を 予想するのなら
愛し合う2人 いつの時も 隣どおし 「キヨちゃんと!!」 あたし さくらんぼ』
「イェイイェイ☆」
『笑顔咲ク 君とつながってたい』
「いやぁ~照れちゃうなぁ♪」
『愛し合う 二人 いつの時も 隣どおし あなたとあたし さくらんぼ』
歌が終わると、キヨちゃんはスタンディングオベーションをしながらとても満足そうに満面の笑みを浮かべていた。
「伝説のハジケリストちゃん最高だよ!もう骨抜きvV」
「ありがとう…///」
「いやぁ~、今日もホント良かったよ~wねぇ、まさに俺達のためにある歌だと思わない?」
「うん!そうかもね(笑)」
こんなに異常なまでに喜んでくれるなら、恥ずかしいけど何回でも歌ってあげようと思った。
「次は《黄色いさくらんぼ》いってみようか♪」
「はいはい…。」
終
【宍戸 亮】
「宍戸ー!お昼一緒に食べない?」
「あぁ!今行く。」
「じゃあ先行ってるね!」
隣のクラスの宍戸に声をかけ、いつもの場所に向かった。
「待たせたな。」
「ホントだよ!早く食べよう?」
「おう。」
いつもの場所といってもただの屋上なんだけど、あたし達とは反対側の校舎の屋上だから人が少ない。
「さっきさ、忍足からアメリカンチェリーもらったんだ。一緒に食べようよ。」
「なんであいつが?」
「近所の人から大量に貰ったらしいよ。」
「へぇー。」
あたし達はお弁当を広げて食べ始めた。
宍戸のお弁当箱はあたしのよりも大きく、見るたびやっぱり男の子なんだなと思う。
いつもの様にくだらない話しをしながら食べていると、早くも宍戸が食べ終わった。
宍戸のモットーは、きっと《素早さ第一》
に違いない。
「宍戸って食べ終わるの早いよね。」
「そうか?待っててやるからゆっくり食えよ。」
そう言われても、時間がもったいないのでピッチを上げた。
ようやくあたしも食べ終わり、先ほど貰ってきたアメリカンチェリーを出した。
「そうそう、忍足がこれくれる時ね、
『アメリカンチェリーて知ってる…?言うとくけど、アメリカの童貞って意味とちゃうで…?』
とか言ってきてさ。」
「本当にアホだな。」
「うん。」
宍戸はアメリカンチェリーを口に入れ、しばらくもぐもぐした後種を出した。
「でもね…
『せや…どうせ宍戸と昼飯食うんやろ…?ほしたら一緒に食ったらええやん…』
って言ってたよ。」
「ふーん。いいとこあるじゃねーか。しかしうまいな。お前も食えよ!」
「ありがとう。」
宍戸からアメリカンチェリーを受け取ると、口に含んでへたを取った。
「だからね、忍足優しいじゃん、って言ったわけ。」
あたしは話しながらティッシュを出して、そこに種を置くよう宍戸に促した。
「そしたら…
『フッ…。ジャパニーズチェリーにアメリカンチェリー食わしたって…。』
…って。」
「Σなっ…?!」
アメリカンチェリーを取ろうとしていたジャパニ…宍戸の手が止まった。
「あいつ…!!」
そして、今にも忍足を殺す勢いで立ち上がった。
「どこ行くの?」
「決まってんだろ!あの伊達眼鏡叩き割ってやる!」
「そんなの後でいいから、今はあたしといてよ。ね?」
「分かったよ…///」
忍足の伊達眼鏡殺害を未然に防いだものの、宍戸は機嫌悪そうにしている。
せっかくの昼休みなんだから、楽しくしたい。
そこで、
「ねぇ、さくらんぼのへた口の中で結べる?」
「あ?どーゆー意味だよ。」
「だから、口の中で舌使ってこんな風に結べるかって聞いてんの!」
へたを手で結んで宍戸に渡した。
「何キレてんだよιこんなの簡単じゃねーか。」
そう言うと、へたを口にほうり込んでもごもごさせた。
「ほらよ。」
「あ…」
宍戸は手の平に結んだへたを出した。ほんの数十秒で見事にへたを結んだのだ。
「宍戸スゴイ!!」
「そうか?///つーかこんな事できて何かの役に立つのか?」
「これができるとね、キスが上手いらしい。」
「Σキッ…?!///」
顔を真っ赤にして驚きまくっている宍戸。
「そう。キス。してみる??」
「おまっ、なっ!何言ってんだよ!!///」
そしてきょどりまくる宍戸。
「やだなぁ宍戸さん。冗談デスヨ。」
と、長太郎の真似してみた。
「なんだよ、冗談かよ…。」
「え!したかったの?!」
「ちげぇよ!Σ(〃□〃)んなワケねーだろ!びっくりしただけだ!」
「ふぅ~ん。」
「くっ…!もういい!先に行く!」
宍戸は弁当箱を乱暴に掴むと行ってしまった。
彼女であるあたしに対してもこんなんだから、忍足にチェリー扱いされるんだ。これを言ったらあたしも殺られかねないので言わないでおこう。
終
【菊丸 英二】
「英二と不二ってさくらんぼみたい。」
「「え…?」」
放課後、目の前で楽しそうに話す二人にそう言ったら、一瞬にして空気が変わった。
「そうかな…。どこらへんが?」
普段と変わらない不二の仏のような顔が若干引き攣って見えるのは気のせいだろうか。
「いつも一緒にいて仲いいじゃん。二人とも席隣だしさ。」
「あぁ、そういうことか。」
「えぇ~!俺どうせなら伝説のハジケリストとさくらんぼになりたいにゃー♪にゃーんてにゃ☆」
英二はポケモンに出てくるロケット団のアレのような口調で、屈託の無い笑顔で言う。
あたしはこの笑顔を見ると幸せな気分になるんだ。
「さくらんぼは英二一人で充分だよ。僕ちょっと手塚のところに行ってくるね。」
不二があたしに目で合図を送った。気を利かせて二人きりにしてくれたのだ。
最初の一言が気になるところだが、まぁ良しとしよう。
「でもさぁ、最近パックで売ってるさくらんぼってバラバラなんだよにゃー。」
「確かに。二つ一緒のやつが少ないくらいだよね。」
「なんか淋しいにゃー。くっついてても、いつかはバラバラになっちゃうんだぞーって言われてるみたいでさ。」
さっきまで明るかった英二の顔が、今度は悲しそうだ。
英二は表情がコロコロ変わるので、それをいつまでも見ていたいと、そう思う。
「あたしはずっと隣にいるよ?」
「へ…?」
「英二が嫌だって言っても、絶対離れてあげない。」
悲しそうだった英二の顔が、こんどはキョトンとしている。
「離されても、またくっつくから。」
「あ…えっと……え?!」
やっと理解できたのか、真っ赤して驚いている。
「ちょっとたんま!伝説のハジケリスト、自分が何言ってるのか分かってんの?!///」
「分かってるよ?」
「そ、そっか。じゃなくってぇ!」
「なに?」
「伝説のハジケリストは…その、俺の事友達としてじゃなくって…つまり…男として好きってコト…?///」
「はい。」
「うっ…///」
英二の顔は、こっちが心配になるほど、さっきより赤い。
「あはは。英二の顔、さくらんぼみたいに赤いよ?」
「笑うなよぉ!そうさせてんのは伝説のハジケリストなんだかんな!!」
「ごめんごめん。」
「……。」
「……。」
「あの…さ、」
「ん?」
「その…なんてゆーか…うまくいえないんだけど…楽しい時も、苦しい時も、辛い時も、どんな時でもずーっと俺のそばに…「だだいま。」
「あ、不二。」
不二がタイミング良く(ん?悪いのか?)帰ってきた。それを見て英二はあからさまに溜息をついた。
「取り込み中だった?あれ?英二、顔赤いけど熱でもあるの?」
「Σにゃ!!///だいじょぶだいじょぶ♪ヨユーのブイだって☆」
「それならいいんだけど…。今日の部活はミーティングらしいよ。」
「へ、へ~ぇ!」
面白いくらいにテンパる英二を見て、不二はすでに察しているに違いない。
「じゃあそろそろ行こうか。伝説のハジケリスト、また明日ね。」
「うん。また明日ね!」
不二は苦笑すると教室から出て行った。
「不二ぃ!置いてくなよぉ!!」
英二も慌てて教室から出て行った。
あたしも帰ろうと鞄を持つと、英二が戻ってきた。
「どうしたの?」
「さ、さくらんぼの続きはまた明日、ちゃんと言うからにゃ!///そんじゃ!」
そしてまた走って行ってしまった。
「気まぐれな彼が、明日ちゃんと続きを聞かせてくれますように。」
英二の机に呟いてから家路についた。
終
[後書き]
この四人のうちの二人を出して欲しいとの事だったのですが、全員バラバラで書いてしまいました(>_<)
しかも、“キャラのことが大好き~vV”という設定にしたはずが、とても分かりにくくなってしまいました…!
すみません!すみません!!m(__)m
そして、『さくらんぼ』と聞いて童貞ネタしか思いつかなかった私をどうにかして下さい(しくしく)
紗宮羅ちゃん、これに懲りずにまたリクして下さいね(>_<)
伝説のハジケリスト様、ここまでお付き合い下さってありがとうございマントヒヒ!
「ねぇサエさん?」
「ん?なんだい?」
部活が終わり、二人で並んで歩く帰り道。心地良い疲れにサエさんの柔らかい声がちょうどいい。
「夏休み、まとまった休みあってよかったね。」
「そうだね。部活もいいけど、せっかくの夏休みだからね。」
今日オジイから貰った予定表によると、八月の半ばに一週間の休みがあった。例年から考えると珍しい事だが、オジイもアバンチュールの相手を見つけたのだろう。バネさんが「青学の顧問がアヤシイ」って言っていた。
「休み中、遊んでくれるよね?」
「もちろん!伝説のハジケリストの行きたい場所、全部行こう。」
「たくさんありすぎて一週間じゃ回りきれないよ。一生かかっても無理かも。」
「ははは(笑)じゃあ一生かけても回りきろうか。」
キューン(〃_〃)
もうっ!この天然王子様がっっ(≧ロ≦)vV
あたしが悶えていると、サエさんが
「でも、遠出はしたいね。せっかく一週間もあるし。」
なんて言ってきた。
「遠出ねぇ…。海は見飽きてるから山とか?」
「そうだね。電車に乗って静かな場所に行きたいなぁ。」
そんな話しをしながら歩いていると、旅行代理店に貼られている山形のポスターが目に入った。
「サエさん!さくらんぼ狩りなんてどう??」
「え…?さくらんぼ狩りかい?」
サエさんは、綺麗だけど少し濁った目をこれでもかというほどかっぴらいてあたしを見つめてきた。
なんかマズイことを言ってしまったのだろうか。
「どうしたの?さくらんぼ嫌い?」
「別に嫌いじゃないけど…。本当にさくらんぼ狩りでいいのかい?」
「うん。」
「伝説のハジケリストがそう言うなら仕方ない。でも、さくらんぼ狩りなんてこの辺でもできるよ?」
「え?!」
千葉にさくらんぼ園があるなんて聞いた事がない。サエさんは一体何を言っているのだろうか。
「それに、夏休みじゃなくてもできるんじゃないかな。」
「えー…??」
夏休みじゃなくてもできる…?日曜に日帰りでって事?でも日曜はたいてい部活だしな…。
「でも、伝説のハジケリストの頼みだからね。さっそく明日あたりバネ達にアポとっておくよ。」
「ちょっと待った!なんでそこでバネさんが出てくるの?!しかも“達”って何?!」
二人でするはずのさくらんぼ狩りに、何故他複数があがるのか。
なんかおかしい。
「なんでって…、さくらんぼ狩りだろ?」
「そうだよ?あ…!」
分かった。サエさんが何を言わんとしてるのか分かった。
「サエさん、違うの。あたしが言ってるのはフルーツのさくらんぼの事でね?童貞の方じゃないから。」
「そうなの?ごめんごめん。なんだ、俺はてっきりそっちかと思ってたよ。俺もおかしいとは思ったんだ。」
おかしいと思うならその場で確認していただきたい。オヤジ狩りのノリでさくらんぼ(童貞)狩りなんてあったらたまったもんじゃない。
「もぅ。サエさんたら!」
「でも安心したよ。俺に飽きたのかと思った。」
サエさんは少し安心したように笑った。
「飽きるわけないじゃんvVサエさんに飽きる自分なんて想像つきません!」
「ありがとう。さっき本気で童貞に戻りたいと思っちゃったよ。」
はははといって爽やかに笑うサエさん。少しズレてるけどそこがまた好きだ。
ちなみにサエさんのさくらんぼはあたしが美味しくいただいた。
「さくらんぼ狩り楽しみだね!」
「あぁ。そうだね。たくさん採ってお土産にしよう。バネ達喜ぶだろうなぁ。」
あたし達からさくらんぼをもらって
嫌がるバネさん、
焦る剣太郎、
半泣きするいっちゃん、
ダジャレを言って自爆するダビデを想像してしまった。
「どうかした?」
「なんでもない!」
「楽しみだなぁ。伝説のハジケリストとさくらんぼ狩りか。なんか興奮してきたよ。」
「Σ興奮?!」
「終わったら伝説のハジケリストのかわいいさくらんぼも狩らせてもらうから。(爽笑)」
「……ι」
何はともあれ、サエさんとのさくらんぼ狩り旅行が決まったのだった。
そして、行く頃にはさくらんぼの収穫時期がとっくに過ぎているということが、この時のあたし達の頭には無かった。
終
【千石 清純】
今日はキヨちゃんが、どうしてもと言うのでカラオケに来ている。
「伝説のハジケリストちゃん、アレ歌って!」
「また~?」
「頼むよ~wね?」
「しょうがないなぁ。」
「ラッキ~♪そうこなくっちゃ☆」
キヨちゃんとカラオケに来ると必ず歌わされる歌がある。
大塚愛の《さくらんぼ》。
キヨちゃんは嬉しそうに曲を送信した。少しして画面が切り替わると、壊れたチンパンジーのおもちゃみたいに手を叩き始めた。
『愛し合う2人 幸せの空 隣どおし あなたとあたし さくらんぼ』
「うん☆いいね~vV」
『手帳開くと もう 2年たつなぁって やっぱ実感するね なんだか照れたりするね
そういやヒドイコトもされたし ヒドイコトも言ったし』
「うんうん。」
『中実がいっぱいつまった 甘い甘いものです』
「イェイ♪(≧▽≦)」
『泣き泣きの1日や 自転車の旅や 書きあらわせれない だって 多いんだもん!!』
「ハイ♪」
『笑顔咲ク 君とつながってたい もしあの向こうにッ見えるものがあるなら
愛し合う2人 幸せの空 隣どおし あ「キヨちゃんと!」あたし さくらんぼ』
今日もキヨちゃんの合いの手は絶好調みたいだ。
『もらったものは そう愛を感じ あげたものは もちろん 全力の愛です』
「照れちゃうなぁ~w」
『やっぱいいもんだよね 共同作業 罰ゲーム
思いがけなく歴史は さらに深いけれど』
「イェイ☆」
『1つでも 欠けてたら とんでもなく 足りない 足りない! 「足りない!!」 2人の絆』
「ひゅう♪(≧▽≦)」
『笑顔咲ク 君と 抱き合ってたい もし遠い未来を 予想するのなら
愛し合う2人 いつの時も 隣どおし 「キヨちゃんと!」 あたし さくらんぼ』
間奏に入ると、キヨちゃんは椅子の上に立ちだした。
『笑顔咲ク 君とつながってたい もしあの向こうにッ見えるものがあるなら
愛し合う2人 幸せの空隣どおし「キヨちゃんと!」あたし さくらんぼ』
「もういっかーい!!!」
『笑顔咲ク 君と 抱き合ってたい もし遠い未来を 予想するのなら
愛し合う2人 いつの時も 隣どおし 「キヨちゃんと!!」 あたし さくらんぼ』
「イェイイェイ☆」
『笑顔咲ク 君とつながってたい』
「いやぁ~照れちゃうなぁ♪」
『愛し合う 二人 いつの時も 隣どおし あなたとあたし さくらんぼ』
歌が終わると、キヨちゃんはスタンディングオベーションをしながらとても満足そうに満面の笑みを浮かべていた。
「伝説のハジケリストちゃん最高だよ!もう骨抜きvV」
「ありがとう…///」
「いやぁ~、今日もホント良かったよ~wねぇ、まさに俺達のためにある歌だと思わない?」
「うん!そうかもね(笑)」
こんなに異常なまでに喜んでくれるなら、恥ずかしいけど何回でも歌ってあげようと思った。
「次は《黄色いさくらんぼ》いってみようか♪」
「はいはい…。」
終
【宍戸 亮】
「宍戸ー!お昼一緒に食べない?」
「あぁ!今行く。」
「じゃあ先行ってるね!」
隣のクラスの宍戸に声をかけ、いつもの場所に向かった。
「待たせたな。」
「ホントだよ!早く食べよう?」
「おう。」
いつもの場所といってもただの屋上なんだけど、あたし達とは反対側の校舎の屋上だから人が少ない。
「さっきさ、忍足からアメリカンチェリーもらったんだ。一緒に食べようよ。」
「なんであいつが?」
「近所の人から大量に貰ったらしいよ。」
「へぇー。」
あたし達はお弁当を広げて食べ始めた。
宍戸のお弁当箱はあたしのよりも大きく、見るたびやっぱり男の子なんだなと思う。
いつもの様にくだらない話しをしながら食べていると、早くも宍戸が食べ終わった。
宍戸のモットーは、きっと《素早さ第一》
に違いない。
「宍戸って食べ終わるの早いよね。」
「そうか?待っててやるからゆっくり食えよ。」
そう言われても、時間がもったいないのでピッチを上げた。
ようやくあたしも食べ終わり、先ほど貰ってきたアメリカンチェリーを出した。
「そうそう、忍足がこれくれる時ね、
『アメリカンチェリーて知ってる…?言うとくけど、アメリカの童貞って意味とちゃうで…?』
とか言ってきてさ。」
「本当にアホだな。」
「うん。」
宍戸はアメリカンチェリーを口に入れ、しばらくもぐもぐした後種を出した。
「でもね…
『せや…どうせ宍戸と昼飯食うんやろ…?ほしたら一緒に食ったらええやん…』
って言ってたよ。」
「ふーん。いいとこあるじゃねーか。しかしうまいな。お前も食えよ!」
「ありがとう。」
宍戸からアメリカンチェリーを受け取ると、口に含んでへたを取った。
「だからね、忍足優しいじゃん、って言ったわけ。」
あたしは話しながらティッシュを出して、そこに種を置くよう宍戸に促した。
「そしたら…
『フッ…。ジャパニーズチェリーにアメリカンチェリー食わしたって…。』
…って。」
「Σなっ…?!」
アメリカンチェリーを取ろうとしていたジャパニ…宍戸の手が止まった。
「あいつ…!!」
そして、今にも忍足を殺す勢いで立ち上がった。
「どこ行くの?」
「決まってんだろ!あの伊達眼鏡叩き割ってやる!」
「そんなの後でいいから、今はあたしといてよ。ね?」
「分かったよ…///」
忍足の伊達眼鏡殺害を未然に防いだものの、宍戸は機嫌悪そうにしている。
せっかくの昼休みなんだから、楽しくしたい。
そこで、
「ねぇ、さくらんぼのへた口の中で結べる?」
「あ?どーゆー意味だよ。」
「だから、口の中で舌使ってこんな風に結べるかって聞いてんの!」
へたを手で結んで宍戸に渡した。
「何キレてんだよιこんなの簡単じゃねーか。」
そう言うと、へたを口にほうり込んでもごもごさせた。
「ほらよ。」
「あ…」
宍戸は手の平に結んだへたを出した。ほんの数十秒で見事にへたを結んだのだ。
「宍戸スゴイ!!」
「そうか?///つーかこんな事できて何かの役に立つのか?」
「これができるとね、キスが上手いらしい。」
「Σキッ…?!///」
顔を真っ赤にして驚きまくっている宍戸。
「そう。キス。してみる??」
「おまっ、なっ!何言ってんだよ!!///」
そしてきょどりまくる宍戸。
「やだなぁ宍戸さん。冗談デスヨ。」
と、長太郎の真似してみた。
「なんだよ、冗談かよ…。」
「え!したかったの?!」
「ちげぇよ!Σ(〃□〃)んなワケねーだろ!びっくりしただけだ!」
「ふぅ~ん。」
「くっ…!もういい!先に行く!」
宍戸は弁当箱を乱暴に掴むと行ってしまった。
彼女であるあたしに対してもこんなんだから、忍足にチェリー扱いされるんだ。これを言ったらあたしも殺られかねないので言わないでおこう。
終
【菊丸 英二】
「英二と不二ってさくらんぼみたい。」
「「え…?」」
放課後、目の前で楽しそうに話す二人にそう言ったら、一瞬にして空気が変わった。
「そうかな…。どこらへんが?」
普段と変わらない不二の仏のような顔が若干引き攣って見えるのは気のせいだろうか。
「いつも一緒にいて仲いいじゃん。二人とも席隣だしさ。」
「あぁ、そういうことか。」
「えぇ~!俺どうせなら伝説のハジケリストとさくらんぼになりたいにゃー♪にゃーんてにゃ☆」
英二はポケモンに出てくるロケット団のアレのような口調で、屈託の無い笑顔で言う。
あたしはこの笑顔を見ると幸せな気分になるんだ。
「さくらんぼは英二一人で充分だよ。僕ちょっと手塚のところに行ってくるね。」
不二があたしに目で合図を送った。気を利かせて二人きりにしてくれたのだ。
最初の一言が気になるところだが、まぁ良しとしよう。
「でもさぁ、最近パックで売ってるさくらんぼってバラバラなんだよにゃー。」
「確かに。二つ一緒のやつが少ないくらいだよね。」
「なんか淋しいにゃー。くっついてても、いつかはバラバラになっちゃうんだぞーって言われてるみたいでさ。」
さっきまで明るかった英二の顔が、今度は悲しそうだ。
英二は表情がコロコロ変わるので、それをいつまでも見ていたいと、そう思う。
「あたしはずっと隣にいるよ?」
「へ…?」
「英二が嫌だって言っても、絶対離れてあげない。」
悲しそうだった英二の顔が、こんどはキョトンとしている。
「離されても、またくっつくから。」
「あ…えっと……え?!」
やっと理解できたのか、真っ赤して驚いている。
「ちょっとたんま!伝説のハジケリスト、自分が何言ってるのか分かってんの?!///」
「分かってるよ?」
「そ、そっか。じゃなくってぇ!」
「なに?」
「伝説のハジケリストは…その、俺の事友達としてじゃなくって…つまり…男として好きってコト…?///」
「はい。」
「うっ…///」
英二の顔は、こっちが心配になるほど、さっきより赤い。
「あはは。英二の顔、さくらんぼみたいに赤いよ?」
「笑うなよぉ!そうさせてんのは伝説のハジケリストなんだかんな!!」
「ごめんごめん。」
「……。」
「……。」
「あの…さ、」
「ん?」
「その…なんてゆーか…うまくいえないんだけど…楽しい時も、苦しい時も、辛い時も、どんな時でもずーっと俺のそばに…「だだいま。」
「あ、不二。」
不二がタイミング良く(ん?悪いのか?)帰ってきた。それを見て英二はあからさまに溜息をついた。
「取り込み中だった?あれ?英二、顔赤いけど熱でもあるの?」
「Σにゃ!!///だいじょぶだいじょぶ♪ヨユーのブイだって☆」
「それならいいんだけど…。今日の部活はミーティングらしいよ。」
「へ、へ~ぇ!」
面白いくらいにテンパる英二を見て、不二はすでに察しているに違いない。
「じゃあそろそろ行こうか。伝説のハジケリスト、また明日ね。」
「うん。また明日ね!」
不二は苦笑すると教室から出て行った。
「不二ぃ!置いてくなよぉ!!」
英二も慌てて教室から出て行った。
あたしも帰ろうと鞄を持つと、英二が戻ってきた。
「どうしたの?」
「さ、さくらんぼの続きはまた明日、ちゃんと言うからにゃ!///そんじゃ!」
そしてまた走って行ってしまった。
「気まぐれな彼が、明日ちゃんと続きを聞かせてくれますように。」
英二の机に呟いてから家路についた。
終
[後書き]
この四人のうちの二人を出して欲しいとの事だったのですが、全員バラバラで書いてしまいました(>_<)
しかも、“キャラのことが大好き~vV”という設定にしたはずが、とても分かりにくくなってしまいました…!
すみません!すみません!!m(__)m
そして、『さくらんぼ』と聞いて童貞ネタしか思いつかなかった私をどうにかして下さい(しくしく)
紗宮羅ちゃん、これに懲りずにまたリクして下さいね(>_<)
伝説のハジケリスト様、ここまでお付き合い下さってありがとうございマントヒヒ!