お題DEキリ番小説
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本日、氷帝学園第三学年は社会科見学のため、氷帝学園専用、快適大型バス(やたら金かかった感じの)で鎌倉に向かっている。
同じクラスで同じ部活のジローは、班は違えどバスの席で隣になった。
当然の事ながら、ジローは乗った瞬間から寝だした。あたしの肩を借りて、ぐぅぐぅ寝ている。
バスで隣の人が寝ると、退屈でしかたない。盛り上がっている後ろの席を見ないようにし、あたしも寝てしまうことにした。
「おーい!着いたぞー!起きろー!」
「ん゙…?」
身体が激しく揺れたので目を開けると、ジローがあたしの両肩を掴んで揺さ振っていた。
「着いたぞ!オメーいつまで寝てんだよ!」
あたしが常日頃からジローに対して思ってた事を、その対象人物に言われてるというのはなんとも微妙な気分だ。
体勢を整え周りを見ると、みんな鞄を持ってバスから降りているところだった。
「起こしてくれてありがとな。」
「おう!そんじゃ、また後でな~☆」
あたしはバスから出ると、同じ班の子達の所に行き、整列した。
点呼が終わり、班ごとの行動になったので、うちらはまず八幡宮に行った。
一通り見た後、計画通りに行くと思っていたら班長が「先に銭洗い弁天行きたい。」と言い出した。誰も反対しなかったので、少し遠回りで順路通りじゃないけど銭洗い弁天に行くことにした。
「こんなんで銭が増えるんかい。」
とか言いつつ、あたしはこれでもかと言うほど入念に、一枚一枚小銭達を洗った。
(札はどうなんやろ。)
周りを見ても、札を洗ってる人はいなかった。
「あれ…?」
ついでに班の友達もいなかった。
銭洗い弁天内を探しても、誰一人知り合いはいない。
携帯を取り出し、班長に電話したけれど圏外だ。
「置いてかれた…。」
洗った銭をハンドタオルで丁寧に拭きながら、どーしようか考えていると、
「伝説のハジケリスト?」
聞き覚え抜群な声に名前を呼ばれた。
「ジローやん。」
振り向けばやっぱりジローで、濡れた両手を器の様に構えて胸の前に置き、その中には濡れた小銭が数枚入っていた。
「オメーも金洗ってたっしょ!」
「うん。ジローの班も?」
「いや、俺だけ。八幡宮出て気付いたら誰もいなくてよー。伝説のハジケリストが見えたから後付いてきちった☆」
ヘヘヘと笑うジローを見ると、なんだか気が抜ける。
「でもあたし、迷子やから。」
「マジ?!」
「マジ。」
目ん玉かっ開いて驚くほどの事なのだろうか。それにしてもジローの表情はクルクル変わって面白い。
「じゃあさ、俺とまわんねぇ?!」
「別にええけど…」
「やりぃ☆」
ジローが銭をワイシャツの裾で拭いている間に、とりあえず班長に『ジローといるわ』というメールを入れた。そしたら何故かすぐにメールが返ってきた。
『ごゆっくりvV』と。
「なぁなぁ、腹へんねぇ?ラーメンでも食いに行こうぜ!」
「寺巡らへんの?!」
「いいからいいから!」
ジローに手を引かれ、駅の方まで戻った。
「うまかった~☆腹一杯!」
「見掛けによらんとよう食べるよね。」
ラーメン屋から出て、ジローは満足そうにお腹の辺りをさすっている。小柄な割には本当によく食べる。ラーメンと炒飯を、見事完食したのだ。
「これからどうすんの?」
「俺江ノ電乗ってみてーんだけど!」
昼寝するって言うと思ったが、意外だ。
「お腹一杯で眠くないん?」
「今日は寝ねーから!つーかさっきバスで寝たから眠くないC~。」
「ふーん。」
「そんじゃ、早く江ノ電に向けてしゅっぱーつ☆」
「そんなに急がんでも、江ノ電は逃げへんよι」
なんだかジローに振り回されてる気がするが、それも悪くないかもなんて思った。
「スッゲー☆電車が道路走ってるよ!ほら!見てみろよ!」
「なんか変な感じやね。」
ハイテンションモードのジローと一緒に窓の外を見ていると、両手一杯に鎌倉名物『鳩サブレ』の袋を持った忍足が目に入った。
「なぁ、今忍足おったよ。」
「マジ?!跡部は?!」
「さぁ?どっかで優雅にランチしてるんちゃう?」
一瞬忍足と目が合った気がしたが、そんな事はどうでも良かった。今は隣ではしゃぐジローを見ていたいと、そう思う。
みんな今頃どこらへんにいるのかなと思い、社会科見学のしおりを開くと、ジローが覗き込んできた。
しおりではなく、あたしの顔を。その表情はさっきまでと違い、少し申し訳なさそうな顔をしていた。
「ジロー…?どうした?」
「……。」
「ジロー?」
「ごめん!」
「へ?」
だんまりかと思ったら、いきなり謝り始めた。
「怒らない…?」
「え?何が?」
「本当は、迷子じゃねーんだ。」
「は…?」
あたしは何がなんだかさっぱり分からず、ジローの次の言葉を待った。
「いや、だから、なんつーか…みんなに協力してもらったってコト!」
「だから何を?!」
言ってる意味が理解できず、少し強めに言い放ってしまった。
「だからな、みんなが…その…伝説のハジケリストと二人にしてくれるって言うから…。マジ恥ずかC~///」
「あー、ハイハイなるほどね。やっと分かっ…Σえっ?!」
つまりはこういうコト。
社会科見学の前、うちの班の子達とジローの班の男子達で、あたしとジローを二人きりにしようとしていたらしい。
「最初は嬉しかったんだけど、やっぱオメーといると楽しくてさ。なんか騙してるみたいで、こんなのダメだと思ったんだ…。ホントごめんな?」
いつになく真剣なジローが少しおかしくて、そして嬉しくて、頬が緩んでしまう。
「別にかまへんよ。あたしも…嬉しかったし。」
「マジ?!」
「マジ。」
ヤッター!と、江ノ電の中で大袈裟に喜ぶジロー。車内に人は少なかったが、ちょっと恥ずかしい。
「今度はさ、俺ちゃんと自分から誘うから!だから、そん時は…」
「デートしようね。」
「へへへ///」
ジローが照れ笑いをするもんだから、こっちまで照れてしまう。
それからあたし達は、二人で鎌倉を回った。ジローといると楽しいのはあたしも一緒で、いっぱい食べて、いっぱいはしゃいだ。
帰りのバスでは、あたしもジローもこてっと寝てしまった。
「慈郎達、うまくいったみたいだな。」
「よかったね♪」
「こいつら手ぇ繋いで寝てるよ。やらしー!」
その時あたしは、何故か忍足に鳩サブレを貰う夢を見た。
終わり
[後書き]
お待たせ致しました!関西弁ヒロイン、いかがでしたか?間違っていたら教えて下さい(>_<)そして鎌倉見学の順序めちゃくちゃですが、スルーして下さい。
ジローはみんなに愛されるキャラな気がします。ジローの恋を、クラスメイト総出で応援しそうな勢いで!
チャマナミ様、内容が普通過ぎて申し訳ございませんでしたm(__)mお気に召さなければ書き直し受け付けますので!
伝説のハジケリスト様、ここまでお付き合い頂いてありがとうございました。鳩サブレはお好きですか?私は結構好きですよ。
オマケ
↓↓↓
【芥川慈郎Side】
社会の授業中、今度行く鎌倉の計画を班のやつらと立ててた時。うとうとしてた俺は一気に目が覚めた。
「おい慈郎、お前伝説のハジケリストの事好きなんだろ?」
「え!何で知ってんの?!」
「バレバレだよなぁ?」
「あぁ。」
俺ってそんなに分かりやすいんかな~?
「で、伝説のハジケリストがどうしたの~?」
「今回の社会科見学、チャンスじゃね?」
「何がっ?!」
「二人きりでデートするんだよ。」
「えぇ~!///」
部活中は跡部が伝説のハジケリストを独り占めしてて、中々二人で話せないから、そりゃ嬉しいけど…
「おーい!ちょっといいか?」
「何?」
伝説のハジケリストんとこの班長が、俺達の班の机に来た。
「頼みたい事あんだけど、鎌倉着いたら伝説のハジケリストとコイツ、二人にさせてやってくんねー?」
「ははーん。なるほどね!分かりました!」
「わりぃな!ほら慈郎、お前もお礼しろよ。」
「ヘヘ///サンキューな☆」
なんか胸の辺りがくすぐってーなー///
「いいえ♪じゃあ八幡宮集合で、そこからみんなと違うルート入らない?」
「そうだな。調度中間の銭洗い弁天なんてどうかな。」
うちの班長と伝説のハジケリストんとこの班長は、なんだか楽しそうに話をすすめている。それを見てたら、俺もワクワクしてきた。
「銭洗い弁天いいね!伝説のハジケリストの事だから夢中になって洗うと思うし。うちらがいなくなっても気付かなそう!」
「決まりだな。八幡宮出たら俺達は順路通りに行くから、慈郎はこいつらについて行くんだぞ?」
「りょーかい☆」
「芥川君頑張ってね!」
「くれぐれも途中で寝んなよ?」
「うん!俺ぜってー寝ない!」
バスの席も決めてもらって俄然気合いが入った社会科見学。これは行くしかないっしょ!
学校行事(しかもべんきょーの行事)で、こんなにワクワクドキドキするの初めてだC~☆
「マジサンキュー☆」
「うまくやれよ!」
「おう♪」
よーっし!俺張り切っちゃうよ!マジ楽しみ~☆
終
こうして始まる社会科見学なのでした。