お題DEキリ番小説
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部活中、生徒会役員に呼ばれた俺は、練習を抜け出してユニフォームのまま仕事を片付けに行った。
一段落して時計に目をやると、もうすでに練習が終わっている時間だった。外ももう暗い。
樺地に電話を入れてカバンを持って来させようと思ったが、携帯を持ってきていないことに気が付いた。
「フン…」
たまには一人で校舎を歩くのも悪くない、そう思いながら部室へと向かった。
あいつが待っている部室へと。
「あ、跡部お帰り~。」
「あぁ。」
部室に入ると、伝説のハジケリストが一人部誌を書いていた。
「他の連中はどうした。」
「とっくに帰ったよ。あ、樺地にも帰っていいよって言っちゃった。」
「アーン?何でだよ。」
「何でって…今日ドラえもんの日だよ?」
あぁ…、樺地が毎週楽しみにしてるアレか。確かにアレはおもしれぇ。だが、最終回が夢オチだと忍足から聞いたときは正直ショックだったぜ。樺地の耳には死んでも入れちゃいけねぇ話だ。
「難しい顔しちゃってるけどどうかした?」
「いや、なんでもない。」
「そお?あ、お紅茶あるけど飲む?」
「あぁ。」
伝説のハジケリストが席から立ち上がり、俺様が買い与えた冷蔵庫に向かうのを見ながら着替えを始めた。
「ねぇ、ミルクとレモンとストレート、どれがいい?」
「茶葉はなんだ。」
「あ、申し訳ないけどただの午後ティーだから。」
ごごティー?聞いたことねぇな…。申し訳ないっつーことは、庶民の間で最もポビュラーな茶葉だろう。
「ストレートだ。」
「了解。」
しかしなんだ、こうしてみるとなんつーか…
「はい、お待たせ。」
「もう煎れたのか?」
「うん、だって入れるだけだもん。冷たいやつだけどいいよね?」
「あぁ、かまわねぇ。」
夫婦みてぇじゃねーの。
「何笑ってんの?」
「いや、何でもない。」
「さっきからそればっかりじゃん。」
ふっと笑ってテーブルに紅茶を置くその仕草が、まさにワイフだ。制服がエプロンに見えてきたぜ。
「インサイトしてないで座れば?」
ハッ、さしずめかかあ天下ってところか。まぁそれも悪くねぇ。
専用ソファに腰掛け、伝説のハジケリストが用意したアイスティーを一口飲んだ。疲れた身体と乾いた喉に心地よい。
伝説のハジケリストも横のソファに腰掛け、アイスティーを一口飲むと再び部誌を書き始めた。
「まだ書いてなかったのかよ。」
「ちょっとやることがあってね。」
こうして二人きりで部室にいるのは珍しい事だ。いつも誰かしらいて騒がしい。
部室内を見渡すと、伝説のハジケリストが作った収納ボックスがあるので荷物は散らかってねぇし、掃除も行き届いている。少々ガサツで不器用なところもあるし、美人ってわけでもねぇが、俺様の妻になるには上出来だ。
まぁ、俺様の家に嫁げば家事なんざ一切やらなくていいわけなんだが、こいつの性格上そうもいかねぇ。家を買って二人で住んで、こうやって俺の世話を焼くんだろうぜ。
いつもなら何てこと無いただの部室だが、今だけは俺と伝説のハジケリストの愛の巣に見える。この狭さじゃ物置にしかならねぇが、今はここがリビングってことにしておくか。
「ねぇ、生徒会からの呼び出し大丈夫だったの?」
「あぁ、俺様にかかればどうってことねぇよ。」
「ふーん。跡部も大変だよねー。」
あえて何があったか聞かず、労うだけというところがこいつらしい。一見興味なさそうな素振りをしているが、本当は俺様のことが気になって仕方ねぇはずだ。
「大変じゃねぇさ。これくらいこなせねぇようじゃ後々困るからな。」
お前と俺の将来のためにも…な。
「そう。つーかお腹空かない?」
「書き終わったらどっか連れてってやるよ。」
「やったー!」
まったく、無邪気なモンだぜ。こいつのこういうところも嫌いじゃねぇ。飯もうまそうに食うしな。
結婚したら週に何度か外食につれていってやるか。仕事上家を空けることが多くなりそうだが、そん時ゃこいつも連れて歩けばいい話だ。
「おい。」
「はい?」
「外を出歩くのは好きか?」
「えー、あんま好きじゃない。家でごろごろしてるのが一番。」
「そうか。」
「うん。」
俺様としたことが忘れてたぜ。こいつはこういうヤツだ。
しょうがねぇ、急いで家に帰って伝説のハジケリストの手料理を食うのを基本とし、外食は週に一度くらいにするか。
ガキができたら外食もしてられねぇな。俺様に休みなんてねぇだろうが、そんなもんどうにでもなる。俺の場合、親父に遊んで貰った記憶がねぇ。それはそれで寂しいもんだ。まぁすぐに慣れちまったけどな。
だが、俺は自分のガキにそんな寂しい思いはさせねぇ。休日くらいちゃんとつくって、家族サービスとやらをやってやるぜ。
俺と伝説のハジケリストの子だ、玉のように可愛いに決まってる。女と男、一人ずつは欲しいな。二人…じゃなんか物足んねぇな。俺は一人っ子だから、兄弟の多いヤツが少しだが羨ましかった。ジローんちとか宍戸んちとか賑やかだしな。
「跡部。」
「なんだ。」
ここはやっぱり多めにいっとくか。伝説のハジケリストだったらバンバン産めるだろ。
「今日休んだ部員って何人だっけ?」
いやしかし、多すぎても伝説のハジケリストが大変になる。ここは一番妥当な数…
「三人だ。」
「ありがと。」
最初は女がいいな。俺様にそっくりな美人だ。伝説のハジケリストに似てるってのもいいが、子どものためを思えば顔は俺に似た方がいいだろう。
その次は男だな。男も俺様似ている方がいいか…いや、男は母親に似るって言うしな。まぁ運が良ければ俺様に似るぜ。
三人目はどっちでもいい。俺様似だろうが伝説のハジケリスト似だろうが、男だろうが女だろうがどっちでもな。欲を言えば、伝説のハジケリストによく似た女がいいな。成長するたび伝説のハジケリストそっくりになっていくんだろ?
……悪くねぇ。
待てよ、その前に結婚式だ。やるからには派手じゃねぇとな。和式でやるか洋式でやるかだが、おそらく洋式になるだろう。一応伝説のハジケリストの意見も聞いてみるとするか。
「おい。」
「んー?」
「和式と洋式、お前ならどっちがいい?」
「そりゃ洋式でしょ。つーか何?セクハラ?」
洋式か。てことはドレスだな。いや待てよ、この前「着物っていいよね」とか言ってやがった気が…
「ドレスと着物、どっちがいいんだ。」
「あぁ、服装の“洋式”“和式”ね。そうだなー、どっちも憧れるけど、やっぱスウェットが一番でしょ。」
どっちも…フン。それでこそ俺様の嫁だ。じゃあ両方取り入れるとするか。一流のメイキャップアーティストと一流のスタイリストを揃えてやんねぇとな。こいつは磨けば光る原石だ。俺様がいくらでも輝かせてやるさ。
結婚式の次はハネムーンだ。式が終わってその足で海外に飛ぶ。さて、どこへ行くか…パリ、ロンドン、ドイツ…
「ねぇ、来週どこと練習試合やるんだっけ?」
いや、もっと雄大な自然がある国がいいかもな。初日は疲れを癒しに…
「ニュージーランドだ。」
「えぇ?!Σ( ̄□ ̄;)」
それから華やかな場所に移動して、こいつの好きなモンをたくさん買ってやればいい。
「遠慮するんじゃねぇぞ?」
「何の?!Σ( ̄□ ̄;)」
結婚生活が落ち着いたら、テニス部の奴等を呼んでホームパーティーってのも面白そうじゃねぇの。俺達の最高に幸せな様子を見せつけてやるぜ。
残念ながら伝説のハジケリストはもう、完全に俺様のものだ!誰も手出しすることは許されねぇぜ!ハァーッハッハッハァ!
「あのー…もう部誌書き終わったんだけど。」
「よし、飯でも食いに行くか。」
「あたしご飯とおみそ汁が出るお店がいい!」
帰りにジュエリーショップでも覗きに行くとしよう。
部室の鍵を閉め、笑顔で振り返る伝説のハジケリストの顔を見てそう決めた。
終わり
[後書き]
お待たせしました!リク内容『跡部視点』の跡部夢です。
跡部が勝手に一人で妄想を繰り広げ、取り返しのつかないことになってしまう、という内容が書きたかったんだ本当は。暴走具合を感じて頂ければ嬉しいです。
またしてもグダグダな内容になってしまいまして、大変申し訳ございませんでした!
是永様、私のケツに爆竹を詰め込む等して下さって結構です!苦情、書き直し承ります!
伝説のハジケリスト様は鼻の穴にお願いします!ここまでお付き合い下さってありがとうございましたm(__)m