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照り付ける太陽の下、部活が始まる前、あたしは汗だくになってマネージャー業をこなしていた。
「…暑いよー(´Д`;)」
首にかけたタオルで額の汗を拭った。歩いて行ける距離に海があるというのにこれから部活なんて!
少しイライラしてきた。
「やぁ。お疲れ様。」
「あ、サエさん。お疲れ~。」
サエさんの方に振り向く。いつもながら爽やかだ。
汗一つかいている様子もなく、サエさんの周りだけ爽やかな風が吹いているようだった。なんだか歩く軽井沢のようで汗まみれのあたしとは大違いだ。
男子は夏、常に汗だくじゃないのか。
「サエさん暑くないの?」
「暑いよ?」
「じゃあなんで汗かいてないのさ!」
「かいてるよ?」
「どこによ?!顔もベタついてないし!男のくせに!」
「今日はご機嫌ナナメなのかな?」
サエさんは苦笑しながら近づいてきた。
苦笑してる姿も爽やかで、そんな彼には『Mr.コカ・コーラ』の異名があってもおかしくない。
「…この映画、見たいって言ってただろ?チケット2枚あるんだ。これで機嫌直してくれないかな?」
あたしは黙ってサエさんから映画のチケットを受け取った。
サエさんが持っていた部分が少し湿ってふにゃふにゃになっていた。
「俺も行っていいかな?伝説のハジケリストがよければだけど…。」
どうやらデートに誘われているらしい。
「…ありがと。サエさんのチケットだからサエさんも行かないと意味ないじゃん。」
かわいくない言い方をしてしまった。
「よかった。断られると思ってたからすごく緊張してたんだよ。」
ホラ、と言ってサエさんは掌を見せた。
「汗、かいてただろ?」
「…うん。かいてた。」
爽やかサエさんが暑さのせいでなく、あたしを誘う緊張から手に汗をかいていたのが嬉しかった。
「機嫌は直りましたか?お姫様。」
そう言ってまた爽やかに微笑んだ。
今度はあたしも爽やかな気分になれた。
「ありがとうございます。王子様。」
そしてあたしも自然に微笑んだ。
あたしの汗は引くことはなかったけど、サエさんのおかげで気にならなかった。
遠くからこのやり取りを盗み見ていた者が3人いた。
「やっぱサエさんカッコイイな~。憧れちゃうよ。」
「剣太郎、サエには爽やか神様が宿ってるんだぜ。その証拠に、見ろよ、髪の毛がサラサラだろ?髪の毛がサラサラなのが爽やかの条件だからな。サラサラヘアなら夏をよりいっそう暑くすることができるんだ。」
「へぇ~!バネさん物知りだね!僕も髪伸ばそっかな~。」
「…夏に髪の毛を伸ばす神様ー(髪、サマー)。ブッ…うわっ!バネさんタンマ!!」
終わり
[後書き]
なんか最後無理矢理になっちゃいました。すみません!
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