♪季節の行事♪
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「加地くん!トリックオアトリート!」
僕を見付け、元気いっぱいに伝説のハジケリストさんが走ってきた。
そんな可愛い笑顔を向けられたら、たまらないじゃない。
「ふふ、今日はハロウィンだもんね。もちろんちゃんと…」
そう、もちろん伝説のハジケリストさんのためにお菓子を用意してきた。
カボチャのペーストが入ったパイなんだけど、とても美味しいって評判なんだ。その上一日の販売個数が限定されてるから、なかなか手に入れるのが難しい。
伝説のハジケリストさんの喜ぶ顔が見たいから、張り切って買いに行ったんだけど…
「加地くん?」
伝説のハジケリストさんは確かに「トリックオアトリート」と言った。
"お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうぞ"
お菓子は僕の鞄の中だから、教室まで一緒に戻ってお菓子をあげて、伝説のハジケリストさんを喜ばせたい、伝説のハジケリストさんの笑顔が見たいんだけど
ここで僕がお菓子をあげなかったら、君は僕にどんなイタズラをするんだろう。
そんなことを考えると、なんだかドキドキしてくる。
「おーい、加地くーん!」
「え?!あ、ごめん!」
「どうしたの?ぼーっとしちゃって。」
「ううん、なんでもない。」
「そお?」
小さく首を傾げて見せる君。もう我慢できなくなって
「あ…伝説のハジケリストさんごめん、お菓子忘れちゃったんだ。」
「えー!」
「本当にごめんね?」
君をがっかりさせてしまったことに心が痛んだけど、君が僕にするイタズラへの興味がわいて止まないんだ。
「まぁしょうがないか。じゃあ…」
どうしよう、ものすごく期待してしまう。
「また明日ね!」
「えっ?!」
「加地くんばいばーい!」
大きく手を振って、走って行ってしまった。
「そんな…」
こんなことなら、最初から素直にお菓子をあげればよかった。ただ伝説のハジケリストさんをがっかりさせてしまっただけで…
「僕は何をやってるんだろう…」
せっかく伝説のハジケリストさんのために買ったパンプキンパイが無駄になってしまうのもなんだし、どうしても食べさせてあげたい。
いつも遅くまで残って練習してるから、きっとまだ間に合う。
そう思って、急いで教室に向かった。
♪~♪~♪~♪~♪
「あれ…?」
僕が教室のところまで来ると、さっき別れたはずの伝説のハジケリストさんが、向こうの扉から出て行くのが見えた。
声を掛けようと思ったけど、距離も遠く、伝説のハジケリストさんは慌てた様子で走って行ってしまった。
忘れ物でもしたのかな、とにかく急いで追わないと、そう思いながら教室に入り、自分の席に行くと
「??」
僕の机に、修正液か何かで絵が描かれていた。
「ソフトクリーム…」
そうか、
これは伝説のハジケリストさんが僕にしたイタズラ。
僕がソフトクリームが好きなのを、彼女は知っている。
「ふふ、これじゃあイタズラになってないよ。」
可愛くて、愛しくて、胸がきゅっと締め付けられる感じだ。
君には一生敵う気がしない。君は僕を喜ばせる天才だね。
そんなふうに思って、彼女に会いたい衝動を抑えきれなくなってしまった。
急いでパイを届けよう。君の笑顔が、今すぐ見たいから。
そういえば、ソフトクリームのコーンが描いてなかったけど…忘れるくらい慌ててたんだね。
そんな、ちょっとうっかりしたところもたまらなく愛しくて
心が幸福感で満たされ、君を探す僕の足取りは、この上なく軽かった。
終わり