立海生活その①
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「はい、あーん。」
「いいよ///自分で食べれるから…」
「そんな事言わずに口開けんしゃい。」
今となっては、お昼休みにこうして二人で昼食を取るのが当たり前になった。当時、今まで一緒に食べてた友達に「仁王君て…食べるの?」と聞かれたこともあった。
「ほら、あーん。」
…パク。
「よく出来ました。」
「どうも///」
「お返しは?」
「もう。子どもじゃないんだから。」
雅君は「これがいい」と、あたしのお弁当箱の中のたまご焼きを指した。
お箸でたまご焼きを掴み、雅君の口に入れると、いつもの無表情でモグモグと口を動かした。
「美味しい?」
「ピヨ。」
ペットボトルのお茶をごくごく飲むと、あたしの膝に頭を乗っけてきた。
「ちょっとー。まだ食べてるんですけどー。」
「いいから。」
よくない。
何考えてるか分からない彼氏に、下から食べてる姿を見られると妙に緊張する。
「あたしが食べ終わるまで待てないわけ?」
「伝説のハジケリストが食べ終わるの待っとったら夜が明けてしまう。」
欠伸をしながら手に持っていたペットボトルを下に置くと、雅君は目を閉じた。
つーか夜が明けるって…。ノロいと言いたいのか?または一日中食ってるって言いたいのか?
お弁当箱越しに雅君を見ると、目を閉じたままだ。
寝ちゃったのかな…?
「雅くーん。」
「……。」
呼び掛けても反応は無く、目を閉じている。どうやら寝てしまったようだ。
あたしはお弁当を食べながら、自分の膝で眠る彼をしばらく観察した。
(睫毛長い…。上睫毛も下睫毛も長いよ。鼻筋通ってるし…あ、こんなとこにもホクロがある。)
顔とその周辺のホクロを数えていた時。
ポロッ
「!!Σ( ̄□ ̄;」
あたしのお箸からヒジキが落ちた。
落ちたヒジキは小鼻に当たり、跳ね返って鼻の下に付着した。
これはヒドイ。
危険な香りのする整った顔立ちに、魔王のごとく君臨するヒジキ。それは確かに存在を主張している。
「こんなのないよ…。」
あたしは自らが犯した失敗に涙を堪えることはできなかった。
「こんな…っく…太い…は、鼻毛みたいなの…っ…」
溢れ出る涙をお箸を持った手で拭ったのが間違いだった。
ポトッ
「!Σ(T□T;)」
お箸に着いていた人参が風でなびく前髪を避け、おでこに付着した。
「うわぁ~ん(T□T)」
教科書の落書きのような彼氏。そうさせたのは自分。
そして気付かず眠る彼。
自分のしたことにやり切れなくなり、涙がどんどん溢れてくる。
涙の雫が雅君の頬に落ちた。
「んっ…。」
落ちた涙に反応し、雅君の顔が少し歪み、閉じていた目が開いた。
「どうした?何泣いとん。」
どーしたもこーしたもない。上手く言葉が出ず、鳴咽を繰り返す事しかできない。
「俺が寝たから?」
「…っちが…ヒジっ…っ…っ…ヒジっ…」
「ヒジ?ヒジが痛い?」
体制を起こして優しく覗き込まれても、今は直視できない。
「伝説のハジケリスト。」
指で顎を持ち上げられ、顔を雅君の方に向けられた。
「どうすれば泣き止む?」
そのヒジキと人参を取らせて欲しいと言いたいが、泣きすぎて言葉が出ない。
雅君の鼻の下と雅君の目を交互に見て訴え続けた。
「ククッ…お前さんは分かりやすいのぅ。」
雅君は顔を少し傾け、近付けてきた。
「ご、ごめっ…なさっ…」
キスして欲しいんじゃない。そのヒジキと人参をどうにかしたいのだ。
彼は何も悪くない。
せっかくのひと時をブチ壊してしまった罪悪感に苛まれ、あたしは雅君の腕からすり抜けて走り去った。
「おや、仁王君。どうされました?」
「女は分からん。」
「貴方がそんなことをおっしゃるなんて珍しいですね。彼女と何かありました?」
「別に…。」
「そうですか。ところで…お顔にお弁当付いてますよ?聞いていますか?仁王君?」
「俺何かしたんじゃろうか…。」
あたしは雅君を置き去りにしてしまったことや、ご飯の食べ方など、今日の自分の行いを悔いていた。
「明日謝ろう。」
誠心誠意を尽くせば分かってくれるはず。しかし、その前にしておかなければならない事がある。
あたしは家に帰り、すぐお母さんに言った。
「ヒジキはもう二度と入れないで。」
終わり
[後書き]
大変お待たせしました!!
リク内容『仁王を雅君と呼ぶ甘夢』です。
ただの甘夢にしたくなかったのですが、その結果、悲惨な事に。
オチもイマイチで申し訳ない(>_<)
真由美様、伝説のハジケリスト様、どうすれば許して貰えますかね…?
すみません。すみません。
すみませんm(__)m