立海生活その①
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「新年会はカラオケな!」
というブン太の提案により、あたし達立海大一同はカラオケに来ている。
「ねぇ…真田ってカラオケ行ったことあるの?」
「ねぇだろ。」
歌本をめくりながらジャッカルが言った。
真田を見ると柳に説明を受けていた。
「俺いちば~ん♪」
ブン太が送信して流れたのはオレンジレンジの『花』。
「いいっスね!」
ブン太は歌が上手い。あたしと赤也とジャッカルと仁王はカラオケに一緒によく行くので慣れているのだ。
「柳生はカラオケ行ったことあるの?」
あたしの隣に座り、おしぼりで手を拭く柳生に聞いてみた。
「ええ。よく来ますよ。」
「え~?!意外!誰と??」
「そうですね…柳君と来ることが多いですかね。」
想像しただけで盛り上がりに欠ける二人なんだが。
「次俺っス♪」
赤也がマイクを手にした。
流れた曲はflowの『GO!!!』。
この歌好きだなー。赤也はカラオケに来ると必ず歌う。そして決まってブン太が()の中を歌う。
「みんな若いな。俺新譜分からないよ。」
逆隣の幸村が新譜のページと睨めっこしている。
「伝説のハジケリスト、これ歌える?」
そう言って指を指したのはHYの『AM11:00』。
「うん、歌える!」
「一緒に歌わないか?」
「いいよ。ハモろう♪」
幸村は目にも留まらぬスピードでリモコンを押して曲を送信した。
「次は俺か…。」
「!!Σ( ̄□ ̄;)」
流れてるイントロはあややの『ね~え?』。
マイクを取ったのは仁王だった。
「仁王いいぞ~(爆笑)」
「やるっスね!!(爆笑)」
ブン太と赤也が大いに盛り上がっている中、
「なんだこのやらしい歌は!!」
今まで柳に説明を受けていた真田が食いついてきた。
「弦一郎、松浦亜弥だ。どこもやらしくない。説明を続けるぞ。」
「そ、そうか…。続けてくれ。」
仁王のあややが大盛況で終わった。
「ほら、次俺達だよ。丸井、マイク取って。」
「あいよ。」
マイクを常備していたブン太。いつもなら絶対離さないくせに、幸村の言うことだけは聞く。
「いいなぁー!伝説のハジケリスト先輩、俺ともデュエットしましょうよ~!!」
「後でね。」
「やり♪」
一瞬、幸村が鬼のような顔になったように見えたが気のせいだろう。気のせいだと思いたい。
「上手いじゃないか。」
「そんな事ないよ!幸村のラップすごかったし!」
ラップというより"語り"に近かった。
『チャッチャッ♪チャララッチャッチャ~♪』
あたし達の曲が終わり、情熱的なイントロが流れた。リッキーマーティンのカバー曲だ。
「ひろみ郷じゃん!ジャッカルでしょ!」
「私です。」
「!!Σ( ̄□ ̄;)」
マイクを取ったのは柳生。
立ち上がり体を揺らしながら、手の振り付けも完璧だ。
「柳生もやるのぅ。」
「マイク握ると人が変わるっスね…。」
「ぎゃはは!乳首出してみろぃ!」
ここまで人格変わってしまうといっそのこと清々しい。
最後まで完璧だった柳生のひろみ郷が、幸村ドン引きの中幕を閉じた。
「おっ、俺だ。」
ジャッカルがマイクを持つ。流れたのはウルフルズの『ガッツだぜ!』。
「お上手ですね。」
「なんか切実やのぅ。」
「真田早く入れろよ!次入れらんねーだろぃ!」
「すまんが一周目はとばしてくれ。」
ジャッカルのガッツが無事に終わり、次の柳がマイクを構えた。
画面に映るは『もののけ姫』
「柳先輩画面見えてるんスかね?」
「始まったら開くんじゃね?」
それも気になるが、突っ込んで欲しいのはそこじゃない。
赤也とブン太が勝手な会話を繰り広げる中、柳の歌が始まった。
「スゴイ…!!」
柳の『もののけ姫』は決して高音ではないものの、あの数々の名シーンが甦ってくる。
「ほほぅ。また腕を上げましたね。」
「すごいね。」
ドン引き幸村もこれには感動を隠すことができないようだ。
「うむ。流石だ。」
数人(真田とあたし)が涙し、柳の『もののけ姫』が感動のうちに終わった。
そして二週目、ブン太はミスチル、赤也とあたしでキンキ、仁王はB'zと、割と順調に進んだ。
赤也の声が見事に裏返った以外はたいしたことは起きていない。
が、
事件は起こった。
「あ、俺だ。」
幸村がマイクを取り、[原曲キー]ボタンを押したのは
『AMAZING GRACE』。白い巨塔のテーマソングだ。
「これはこれは…。」
柳生がうっとりしている。
確かに天使のような歌声に、後光まで射す勢いだ。
テンションの上がる幸村。サビに差し掛かろうとしたその時。
ピッ!
「あ…。」
消えた。
急にメロディーが途絶えた。
リモコンを持っていたのは真田。
「す、すまん!」
真田を無視し、幸村はアカペラで歌い続けている。
「真田!早く今の曲入れて!早く!」
「うむ。」
歌本で『AMAZING GRACE』を必死に探す。
「伝説のハジケリスト先輩!幸村部長が…!!」
赤也に言われて幸村を見ると、体から光とオーラを発していた。
無我ってる…。
「弦一郎、早くしろ。」
「分かっている!…よし、これだな。」
『犬のお巡りさん』
「えー?!Σ( ̄□ ̄;)」
あろうことか入力ミス。
幸村のアカペラが止まり、真田を見て静かに微笑んだ。
「真田…これ歌うんだ。」
「違っ…!」
「楽しみだな。真田の鳴き声。」
"真田の鳴き声"と、なんとも微妙な言い回しに仁王は肩で笑っている。
こんな時に笑える彼は流石というか…。
「諦めろ。お前が悪い。」
「せっかくだから歌ってみてはいかがです?」
「なんでもいいから早くしろぃ!」
「よかろう。俺も男だ。」
真田は腹をくくり、歌い出した。
「ははは。いいぞ。」
真田の鳴き声に幸村は満足したのか、もう無我っていない。
仁王と赤也とブン太は真田の様子を携帯のムービーで撮っている。
柳生は優しさなのか何なのか、手拍子を入れ、柳はドリンクを注文している。
「そういえばこれ、フリータイムなんだよな?」
「うん…。」
あたしとジャッカルは溜め息をついた。
「ねぇ、これ歌える?」
「え…。」
幸村はあたしに歌本を見せてきた。指の先にあるのは山口百恵『ひと夏の経験』。
「歌えるよね?」
幸村の笑顔が最高に怖かった。
「はい…。」
「よかった!じゃあ入れるね!」
幸村は何でこの曲を知っているのだろうか。つーかスナックの客かお前は。
幸村は目にもとまらぬスピードで曲を送信した。
そしてあたしの番が来てしまった。
「官能的な歌詞ですね。」
「俺恥ずかしいっス!」
「別にお前の事じゃねーだろぃ!」
「静かにしてくれないかな。」
幸村はにっこにっこしながらあたしの歌を聞いている。
(これで幸村の機嫌が良くなるならいっか。)
そう思った矢先。
「待てぇい!!なんだこの娼婦の様な歌は!お前はいつからそんな淫らな女になった!」
瞳孔全開の真田が立ち上がった。
「うるさいなぁ。いいところなんだから邪魔しないでくれよ。」
幸村は真田を冷ややかな目で見た。
あぁ、もう。ホントにやめて…。
「幸村…!!貴様の仕業か!いくらお前でも許されぬことがあるぞ!」
「全く…大袈裟だな。別にいいだろ?」
もう知らない。関わりたくない。
「精市、まださっきの事根に持っていたのか…。」
「普通に歌い続けてる伝説のハジケリスト先輩もやるっスね~。」
真田は発狂寸前だ。
「もういい!聴いてられん!かせ!」
「あっ!」
真田にマイクを取られた。
「真田…。どういうつもり?」
「俺が歌う。」
「え…」
その瞬間、そこにいた全員の顔が青ざめた。
微妙な空気になったのは言うまでもない。
フリータイム、残り時間4時間。
終わり
[後書き]
はい、立海の新年会ということですが…。皆様新年会はやりましたか?
必ず誰かはボタン間違えて歌の途中で消したりしますよね。
柳にはTHE・虎舞龍の『ロード』を歌わせたかったのですが、書き終わった後に思い出しました。
またこーゆーの書きたいです。
ここまでお付き合い下さり有難うございました☆