氷帝生活①
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「おつかれ!」
「待たせちゃってすみません!」
「そんな待ってないよ。さ、帰りましょう。」
「伝説のハジケリスト先輩、公園の前にアイスクリーム屋できたの知ってます?」
「何それ!知らない!」
「行ってみませんか?俺、おごりますから。」
「まじで?やったvV」
あたしと長太郎はついこないだから付き合うようになった。きっかけは本当に些細なことだった。
ええ、本当に。
ある朝あたしは遅刻することもなく、ごく普通に登校した。下駄箱で靴を履き変え、階段を昇ろうとしたとき何かを踏んだ。
「?」
生徒手帖だ。色からみて2年生のだ。あたしは生徒手帖を持ったまま教室に入った。
(誰のだろう?中見ないと分からないよね。失礼しまーす…。)
『2年〇組 ×番
鳳 長太郎』
ほう ながたろう??
変わった名前だなー。顔かっこいいし。
…もしやこれは出会い?!
青春の予感?!
「なんでお前が2年の生徒手帖持ってんだよ。」
前の席の宍戸が鞄を下ろしながら聞いてきた。今来たらしい。
「誰んだ?」
「さぁ…。見たことも聞いたこともない人。宍戸知らない?」
生徒手帖を宍戸に渡した。
「…長太郎じゃねぇか。」
「知ってる人?」
ちょうたろうって読むんだ…。
「知ってるもなにも同じ部活の後輩だよ。」
「そうなんだ…。」
「ったく。あいつはしっかりしてるようで微妙に抜けてるからな。」
「ふ~ん。そっかぁ…テニス部、ねぇ…。」
あの派手軍団の一員だったなんて…。普通だったらほとんど近寄れない。
宍戸はほら、割と庶民派だからあれだけど。
ながたろう…。あたしとは別世界の人なのね…(涙)
さらば芽生えかけた青春。さらばながたろう。
『…ガラガラ!!』
「宍戸さーん!」
教室の扉が勢い良く開いたと思ったら、元気な声が聞こえてきた。
「…はぁ。またあいつは…。まぁ、調度よかったけどな。」
ももも、もしかして…!
「渡しといてやるよ。」
実物マジかっこいいんだけど!
背も高いし…。
でも手の届かない人。
氷帝テニス部なんて、帰宅部で一般庶民のあたしには無縁。
さようなら、ながたろう。
切なくなって窓の外を眺めた。
「俺の生徒手帖拾ってくれてありがとうございました!」
Σ(〇◇〇;)
「…ながたろう?!」
あたしはびっくりして立ち上がった。
ながたろうがあたしの目の前に!!夢か?!こりゃ夢か?!
…そう、これは夢。
ほら…目を閉じて…再び目を開ければいつもの朝が…
「!!Σ(〇□〇;)」
目を開けたらそこには超アップの美顔があった。思わず固まった。
「具合悪いんですか?」
「長太郎、そいつが悪いのは頭だ。ながたろうって何だよι。」
「な、なな、なんでここに?!さっき入口にいたじゃん!」
「お前に礼がしたいんだとよ。」
「本当にありがとうございました!もし迷惑じゃなければ今度何かおごらせて下さい!」
「いや、手帖拾っただけだし、悪いよ!」
生徒手帖を落として拾ってもらう度に何かおごってたら世話ない。
「いえ、俺の気が済まないんです!おごらせて下さい!」
「でも…。」
「いいじゃねぇか。本人がそう言ってんだからよ。おごってもらえよ。」
「あ、もちろん宍戸さんも一緒ですから!だから二人きりでどこか行くとかじゃなくて、あ!いや、二人でもいいんですけど、あの、その…。」
「お前は何が言いてーんだよι。」
あたしはながたろうくんを見た。顔が真っ赤だった。つられてあたしまで顔が熱くなった。
青春か?!コレ諦めかけてた青春か?!つーか展開早いし!
あ~!何か言わなきゃ!
「じゃあ…ラーメンで!」
「は、はい!いつ行きます?!」
「ラーメンかよι。色気ねぇな。」
テンパっててそれしか思い付かなかった。
「いつでも…いいです。」
「今日とかヒマですか?俺部活ないんですよ!」
「ヒマです!行きます!」
こうして、最初は宍戸を交えて帰り道にどこかへ寄ったり、出掛けたり、ご飯を食べたりした。
それから徐々に二人きりでも会うようになって宍戸に協力してもらい、あたしから告白した。
―で、今に至る。
「アイスおいしいねー♪」
「喜んでもらえて嬉しいです!初めてラーメン食べに行ったの覚えてます?」
「うん。覚えてるよ。」
「豪快にラーメンを食べてる伝説のハジケリスト先輩を見て、やっぱり好きだな、って思ったんですよ。はは、なんか恥ずかしいな…。」
喜んでいいのだろうか…。
「でも驚いたよ。前からあたしのこと知ってたなんて。しかも生徒手帖、宍戸とグルになって落としたなんてさ!」
…うれしかったけど。
「あの時宍戸さんがずっと見張ってて、他の女子が拾おうとしたら慌てて拾いに行って、また置いてくれたんですよ。」
あの宍戸がねぇ・・・。
「でも、長太郎はどうしてあたしのこと知ってたの?」
「去年の体育祭、伝説のハジケリスト先輩パン食い競争出てましたよね?」
「うん。」
「俺、その時たまたまパン食い競争の係だったんですよ。ゴール地点で待ってたら、あんぱんの半分以上を一口でくわえてゴールした女子がいたんです。それが伝説のハジケリスト先輩でした…。」
長太郎はなぜか遠い目をしている。
「そ、それで…?」
「他の女子は小さくくわえてる中、伝説のハジケリスト先輩だけですよ?その姿を見て…一目惚れ…しちゃいました…(〃_〃)もう!恥ずかしいからやめましょうよ///!」
長太郎は顔を真っ赤にして俯いている。
本来ならここはあたしが照れて恥ずかしがるべきなのだが、長太郎があたしを知ったきっかけがそれなだけに恥じらえない。違う意味でしか恥じらえない。
「そうだね…もうやめよう、この話は。」
「そういえば、伝説のハジケリスト先輩、一番最初俺のこと『ながたろう』って読んでましたよね?読み間違えですか??」
「その話もやめよう…。」
きっかけはほんの些細なことから。本当に些細なこと。
ええ、本当に…。
終わり
[後書き]
すみません。なんかグズグズになってしまいました。