氷帝生活①
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「亮ちゃーんvV」
水曜日、つまり部活がない日なのだか、部室に行けば絶対誰かしらいる。その誰かしらのうちに、もちろん亮ちゃんは高確率で含まれている。
部室の扉を開けると、マイ・ラヴ亮ちゃんとチョタが、一冊の旅行雑誌を二人で眺めていた。
「あ、伝説のハジケリストさん!こんにちは!」
「よう。」
二人はあたしに気付くと、軽く挨拶をして雑誌に目を戻した。
「ねぇねぇ、何見てるの?」
「あぁ、これですか?夏休みに宍戸さんとどこか行こうって話してて。」
「長太郎、ここなんてどうだ?」
「どこですか?」
仲良さげに、楽しそうに旅行雑誌を眺める二人を見て、なんだか複雑な心境になった。亮ちゃんはチョタの事を弟みたいに可愛がってて、信頼している事は分かる。あたしだってチョタが可愛い。
だけど…
「ちょっと待ったー!!」
「あ?どーかしたか?」
「あ、あたしだって亮ちゃんと二人っきりで旅行になんて行った事ないのに!」
「何言ってんだよι旅行なら行った事あんじゃねーか。熱海によ。」
「あれは家族旅行じゃない!しかも8歳の時!あたしは今行きたいの!二人きりでにゃんにゃんしたいの!分かる?!」
「∑なっ?!(〃□〃)にゃんにゃんて何だよ!つーか二人きりでなんて行けるわけねーだろ!///」
「チョタとは二人で行くのに何であたしとは行けないの?!あたしの事お嫁さんにしてくれるって言ったの、あれ嘘だったんだ…。」
「そっそんな事言ってねぇ!///」
「な…!亮ちゃんのろくでなし!4歳の時に約束したじゃない!」
「ガキの頃の話じゃねーか!」
「あの…」
「なに!」
「なんだ!」
白熱したトークを繰り広げていると、途中でチョタが入ってきた。
「よかったら、伝説のハジケリストさんも一緒に行きませんか?」
そして、思ってもみなかった言葉が出てきた。
「えwいいの??」
「長太郎!何言ってんだよ!」
「三人なら別にいいじゃないですか。ね?」
なんて優しい子なのかしら。いつもDVD貸してくれたりおにぎり買ってきてくれたり、ジュース買ってきてくれたりお菓子くれたり、普段から優しい子だとは思っていたが…
「でも、本当にいいの?」
「はい!本当は少し悲しいけど…俺、伝説のハジケリストさんが幸せならそれでいいですから。」
チョタは眉毛をハの字にしながら悲しそうに微笑んだ。
あたしはなんだか申し訳ない気持ちになった。
「チョタ…。大丈夫、寝る時は亮ちゃんを挟んで川の字で寝てあげる!」
「本当ですか?!」
「∑なっ…!///」
「お前ら何してんの?」
「みんなして暇なんやな…。」
チョタに輝かしい笑顔が戻った時、がっくんと忍足のペアが入ってきた。
「あ、忍足さん向日さんこんにちは!」
「自分ら何してんの…?」
「夏休みに旅行に行こうって話してたとこなんですよ!」
「へー!で、どこ行くんだ?」
チョタが律儀に答えると、がっくんは雑誌を手に取り、パラパラとページをめくった。
「本当は亮ちゃんとチョタで行くはずだったんだけど、あたしも混ぜてもらう事になったの。」
「えー!だったら俺らも行きてぇよ!なぁ侑士!」
「せやな…。夕日の眩しい海辺で伝説のハジケリストと青姦…。まさにひと夏の経験やなぁ…。」
「伝説のハジケリストさんと宍戸さんが良ければ俺は別にいいっスよ。」
チョタも忍足を無視するというスキルがやっと身についたようだ。
「俺も別に構わねぇぜ?」
「あたしも。でも忍足と青姦なんて絶対しないから。するなら亮ちゃんとするから。ね~?vV」
「バッ…///女が青姦とか言うんじゃねぇ!」
さっきから怒られてばかりだ。あたしを叱ってくれるのは、昔から亮ちゃんだけなんだよね。
「で、どこ行くんだよ。俺バンジーやりてーんだけど!」
「え…?海やないの…?」
「海もいいですね!でも青姦は駄目ですよ?」
「大丈夫。死守してみせるわ!綺麗な体で亮ちゃんと結婚するんだもん。ね?亮ちゃんw」
亮ちゃんは片手に顔を預けて溜め息をついた。
もうどうとでもしてくれ、という感じだ。
「なぁ、さっきから気になってんだけど、“あおかん”って何だ?」
「向日そんなことも知らねーのー?ふぁ~…眠…。」
どうやら最初からここにいたらしいジローが、ソファの裏からムクッと起き上がった。
「いたのかよ!そーゆーお前は“あおかん”知ってんのか?!」
「知ってるC~。」
「クソクソ芥川め!侑士ー、教えてくれよ。“あおかん”って何の事だよ。」
何か話しが逸れてしまっているが、楽しいのでよし。しばし傍聴していよう。
「よしよし…。今から特別に実演したるから…よう見とき…?」
「お、おう!」
「ほな行こか…」
忍足はあたしの肩に腕を回すと、入口へ歩き出した。
「ふざけんな!おい伝説のハジケリスト、忍足から離れろ!」
「なんやの亮ちゃん…。邪魔せんといて…。」
「∑亮ちゃんって呼ぶな!おめーはキモいんだよ!」
「ヒドイわぁ…。ほしたら…亮さん。」
確実にこち亀的な呼び方をされている愛しい人もまたいいもんだ、なんて暢気に考えている余裕ができたのも、このヘンタイワールドに慣れてしまったからだろう。
「ちょっと待って下さい!話が逸れてますよ!青姦の件は後にして下さい。」
チョタのもっともな意見にあたしは大きく頷いた。
「そうだよ!青姦は置いといて、早くどこ行くか決めようよ!まぁ、あたしは亮さんと一緒ならどこでもいいけど。」
「∑さりげに亮さんって言うな!」
こうしてわざわざ突っ込みを入れてくれるところも好きだ。
「そーゆーこっちゃ…。青姦はまた後で…な?」
「チッ。分かったよ。」
がっくんは椅子の上であぐらをかき、両手を頭の裏に置いて少しだけふて腐れた。
「なぁなぁ、さっきからみんなで何の話してんの?」
「お前には教えてやんねー。」
寝ていて旅行の話は聞いていなかったらしいジローに、ただ一人青姦を知らないがっくんはすねたように答えた。
「夏休みにみなさんで旅行しようって話ですよ♪」
すると、川の字にすっかりご機嫌なチョタは、親切にジローに教えてあげた。
「マジマジ?!それって伝説のハジケリストも来るっつーこと?!」
「うん!」
「だったら俺も行く!伝説のハジケリストと旅行なんてワクワクするC~♪」
「へっ!言っとくけど、俺も行くんだぜ?」
がっくんはなぜか勝ち誇ったように言ってみせた。
「で、お前はどこ行きてーんだよ。」
若干不機嫌な亮ちゃんが、あたしに聞いてきた。無理もない。話が中々進まないのだから。
「やっぱり憧れは軽井沢かなー。」
「軽井沢なら…たしか跡部が別荘持ってた気ぃすんねんけど…。」
「そういえば跡部部長来ませんね。」
「生徒会室やないの…?伝説のハジケリスト、ちょお電話してみ…。」
「分かった!」
あたしは鞄から携帯を取り出すと、電話帳で跡部を出してコールした。
『どうした。』
「もしもし跡部?」
「出るの早いっスね。」
「跡部は伝説のハジケリストがかければ、何してようと絶対に出んねんな…。」
『あぁ。何か用か?』
「跡部さ、夏休み軽井沢行かない?」
「いきなりかよι」
「別荘目当てってバレバレじゃね?」
『お前から誘ってくるなんて珍しいじゃねぇの。』
「色々ありまして…。駄目かな?」
「ここで断ったら男じゃないっしょ!」
『…分かった。軽井沢には俺様の別荘がある。そこでひと夏の経験と洒落込もうじゃねぇの。』
「よく分からないけどありがとね!詳しい事はまた明日にでも決めようね!じゃ、お疲れー。」
『待ち《ブツッ!》
「場所、確保しました☆」
「伝説のハジケリストさんのおかげで宿泊地は決まりましたね!」
みんなも宿代が浮いて嬉しそうだ。
「今日はもう時間が時間やし…また明日決めるんやろ?」
「うん!跡部にもそう言ったから、明日の昼休みにでも集まろうよ!」
「明日の昼休みな!なんか楽しみだな!」
がっくんは青姦の事をすっかり忘れたのか、ソファーの上でピョンピョンはねながら喜んでいる。
「マジ楽しみ~☆俺伝説のハジケリストと寝るから!な?!」
ジローも大きい目をキラキラさせている。
「だめですよ!伝説のハジケリストさんは俺を挟んで宍戸さんと川の字で寝るんです!」
「あれ?チョタが真ん中だったっけ??」
「じゃあ俺伝説のハジケリストの上で寝るわ!」
と、それぞれ自分勝手な会話が繰り広げられている中、亮ちゃんが鞄を持って立ち上がった。
「どこ行くの?」
「帰る。長太郎、若と樺地に旅行の事伝えとけな。じゃ。」
「あっ、亮ちゃん待って!みんなまた明日ねー!」
あたしはみんなに手を振って、急いで亮ちゃんを追い掛けた。
がっくんの、青姦がどーのこーの騒ぐ声が少し耳に入った。
帰り道、速く歩く亮ちゃんの後に、あたしは必死について歩いた。
「旅行楽しみだね!最終的にはみんなで行くことになっちゃったけど…それはそれで楽しいよね!」
「あぁ。」
序々に速度を落として歩いてくれてる亮ちゃんはさりげなく優しくて、昔からこういうトコ変わってないと思う。それが嬉しくて、思わず頬が緩む。
「ごめんね?」
「何がだよ。」
「最初はチョタと二人だったのに、あたしが我が儘言ったから…」
それから、
「あの…よ、高校生になったらバイトして、自分で金稼げるようになったら…」
「なったら?」
「…なんでもねぇ///」
「え~!!何よー!最後まで言って??」
奥手なトコも変わらないから、あたし達の関係は中々先に進まない。
「いいいから、早く帰るぞ!///」
「Σ(〃△〃)」
亮ちゃんはあたしの手を掴むと、また速度をあげて歩き出した。
「手ぇ繋いだの何年ぶりかだね///」
「……///」
「亮ちゃんの手、ちょっとぬるぬるしてる…」
「なっ…!Σ(〃□〃;)うるせーよ!」
昔より大きくなった亮ちゃんの手を、いつかきっと、亮ちゃんが二人きりの旅行に連れてってくれる事を期待して、少し強めに握り返した。
終わり
[後書き]
リク内容が『宍戸の幼なじみで、宍戸大好きヒロインの逆ハー宍戸落ち』ということなんですが…逆ハーになってますかね?!それ以前に、青姦青姦言い過ぎててごめんなさいm(__)m
紗宮羅ちゃん!こんな脳内の私ですが、これからも温かく友達でいて下さい(>_<)こんなのいらないわ、とおっしゃればもちろん書き直し受け付けます!お気に召して頂ければ、そしてご迷惑でなければ持ち帰ってやって下さい☆
伝説のハジケリスト様、ここまで読んで頂いてありがとうございましたm(__)m