氷帝生活①
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我等が氷帝学園のカフェテリアには、毎年この時期になると大きな笹が飾られる。
生徒が願い事を短冊に書き、今月の半ば過ぎくらいまで飾っておくのだ。
「願い事って改めて考えると出てこないものですね。」
長太郎がペンを握り、短冊を片手に溜め息をついた。
「そうか?俺はいっぱいありすぎて逆に困るぜ。」
がっくんは椅子の上にヤンキー座りで腕を組んでいる。
部活が終わって、あたし達も短冊を吊そうと願い事を書く事にした。この時間なら、普段混んでる笹の周りも静かだ。だったら今のうちにと、提案したのはジローだった。
「忍足は何お願いしたの?」
もう書き終わったらしく、ペンのキャップを閉じていた。
「そんなん聞いたら野暮っちゅーもんやで…?願い事は人に言ってしもたら叶わんのや…。」
公共の場に吊そうというのに、そんなに得意げにされても困る。
「そうそう!だからオメーも言っちゃダメ!『ジローと両想いになれますように』って書いたのが叶わなくなっちまったらやだC。」
真顔で言うジローには申し訳ないけど、そんな事は書いていない。
「願い事っていうのは口にするものじゃなく、胸に秘めておくものだって言いますもんね!」
「あぁ。口にしたら叶わなくなりそうだよな。なんとなくだけどよ。」
こーゆー類は信じてないと思ってた宍戸から、意外なコメントが出た。
「よし!書けた!早く吊しに行こうぜ!」
がっくんが短冊を持って、いきなり勢い良く椅子から飛び降りた。びっくりするから止めて欲しい。
「ちょっと待て。まだ決まってねぇ。」
「跡部ー。早くしろよー。」
「うるせぇ。俺様はなぁ、お前ら一般人と違って願ったモンは何でも手に入るんだよ。なぁ樺地。」
「ウス。」
だったら無理して書かなければいいのにと、ここにいるほとんどが思っただろう。
さみしがりやの跡部が短冊に願い事を書き終わるのを待ち、カフェテリアに向かった。
笹にはすでにたくさんの短冊が吊されており、色とりどりで綺麗だ。
「結構びっしりだね。吊すとこあるかな?」
「ここなんてどうですか?」
「ちょうど全員分くらい吊せそうやな…。」
長太郎が見つけたのは笹の少し上の部分。背伸びして届くくらいの場所だった。
「伝説のハジケリスト先輩、俺が付けますよ?」
「ほんと?ありがとう。」
あたしは長太郎に吊してもらい、跡部は樺地に、がっくんは忍足に吊してもらった。
全員無事に短冊を吊す事が出来た。
―翌日―
「なぁなぁ!練習終わったら短冊見に行こうぜ!」
部活の休憩中、ジローがあたしに言ってきた。
「昨日書いたやつ?」
「そう!みんな何書いたのか気になんねぇ?!特に宍戸とか跡部とか!」
ジローはシシシ、といたずらっぽく笑ってみせた。
それを見てたらあたしまでワクワクしてきた。
「よし、見てやりますか!」
「そーこなくっちゃ☆そんじゃあバラバラに集合な!」
◇◆◇◆◇◆◇
「遅れてごめん!部誌に手間取っちゃって。」
ジローより少し後に部室を出たので、もちろん先にジローがいた。
高い所も見れるように、どっかの教室から椅子を持ってきていた。
「いいからこれ見てみろって!マジ笑えるC!」
「どれどれ??」
ジローがあたしに見せたのは日吉の短冊。
【下剋上 日吉 若】
「なーんだ。いつものじゃん。」
「そーなんだよ!こいつコレしかねーのかよ(笑)マジウケる~(≧▽≦)」
結構ヒドい。確かにそうだけど、そこまでウケられると、日吉が切なく思えてくる。
「あんま笑っちゃかわいそうだよ。本人マジなんだから。」
「あ、向日の短冊発見!」
「どれどれ??」
ジローにスルーされたけど、いつもの事なので気にしない。こんなのいちいち気にしてたら氷帝のマネージャーは務まらない。
【毎日の夕飯がカラアゲ 向日】
「がっくんらしいね。」
しかし、多すぎて困る願い事の中から、なぜこれにしたのだろうか。
「お!これ宍戸のだ!」
【崖っぷち 宍戸書】
「宍戸のコレって願い事じゃなくねぇ?!」
「アヤコさんの真似だ…。絶対そうだ…。」
「さすが宍戸だよな!俺よりバカだC~(笑)」
もはや願い事ではない。
スラムダンク病の宍戸はついにここまできていた。
気を取り直して他の短冊に手をかける。
【宍戸さんのようにデカイ男になりたい。 鳳 長太郎】
「長太郎って本当に宍戸が好きなんだね。」
「宍戸ってそんなにデカかったっけ??俺より小さかった気がすんだけど…。なぁ、オメーはどっちだと思う?」
「ソコの話じゃないから。」
それに、あたしに聞かれても答えようがない。最後にみんなのちんちんを見たのは、幼稚舎でプールに入った際の着替えの時だ。
「あ、樺地んだ!絵まで描いてあるC☆」
【ボトルシップで、無事に沖縄まで行きたいです。 樺地 宗弘】
短冊のすみには立派なボトルシップの絵が丁寧に描かれていた。
「夢があるね。あ、そうだ。明日樺地にペットボトルあげなきゃ。」
「俺も乗せてくんねーかなー♪」
「沖縄まではちょっとアレだけど、少し乗ってみたいよね。」
樺地の短冊を見て、せっかく和やかな気分になったのに、一枚の短冊によって一気に気分が沈んだ。
【目指すは加藤鷹 忍足侑士】
「もうコレは無しの方向でいいよね…?」
「去年はチョコボール向井だったんだよなー。しょうがねーよ、忍足も俺よりバカだから。さ、次次!」
ジローまで呆れるようになったら本当におしまいだ。忍足は悪いヤツじゃないし、むしろいいヤツなんだけど…。
「お!伝説のハジケリストのはっけーん☆なになに…?」
【みんなが健康でいられますように 伝説のハジケリスト】
「普通でごめん。」
「オメー優しいな~!みんな自分の事書いてんのに!」
いや、自分の素直な願い事をここに書いてしまったら一生叶わない気がしただけだ。ただそれだけだ。
「あはは。ありがとう。」
ジローの輝く瞳が気まずいので、自分の短冊の隣にあった短冊を見た。
【伝説のハジケリストとエッチな事できますよーに☆ じろー】
「Σおわ?!俺のは見ちゃダメ!!」
「……(ー_ーι)」
もうバカばっかだ。
「ホラ!跡部の見ようぜ!!な?!」
精一杯焦るジローだが、焦るくらいならこんなトコにそんな願い事を書かないでいただきたい。つーかあたしが嫌だ。
「跡部跡部…あった!」
【カップラーメンとやらが食ってみてぇ。 K.Atobe】
「うわー!なんか一番どうでもいい!食べればいいじゃん!」
「跡部コンビニにも行った事ないって言ってた!スゲーよな!」
皇室並だ。跡部はきっと、うまい棒もきなこ棒も知らないんだ。
「これ、あたし達で叶えてあげようよ。」
「そうだな!跡部にはいつも世話になってんしな!」
「決まりね☆じゃあ帰りますか!」
一通り見て満足したので、帰ろうと昇降口に向かった。
下駄箱で靴を履き変えていると、傘立ての下にくしゃくしゃにされたゴミのような紙を見つけた。
「なんだろう…。」
大分踏まれたみたいで、上履きの跡がたくさん付いていた。
紙を開くと、
【子羊達と終わらない宴を T.Sakaki】
「……(-_-;)」
「おーい、どうした?早く帰ろう!俺腹へったよ。」
「あ、うん!帰ろう!」
あたしはその呪われた紙を握り潰して、途中でカップラーメンを買いに寄ったコンビニのごみ箱に捨てた。
次の日カフェテリアの笹を見ると、捨てたはずの呪われた短冊が、てっぺんでヒラヒラしていた。
あたしは、どうかこの短冊が他の部員(特に跡部)の目に入りませんようにと、笹の前で切に願った。
終わり
[後書き]
日にちは過ぎてしまいましたが一応。慌てて書いたので意味不明な話に仕上がりました。
氷帝以外でも書きたかったけれど時間がなかった(>_<)
来年こそは書きたいです☆
すみませんでしたm(__)m
生徒が願い事を短冊に書き、今月の半ば過ぎくらいまで飾っておくのだ。
「願い事って改めて考えると出てこないものですね。」
長太郎がペンを握り、短冊を片手に溜め息をついた。
「そうか?俺はいっぱいありすぎて逆に困るぜ。」
がっくんは椅子の上にヤンキー座りで腕を組んでいる。
部活が終わって、あたし達も短冊を吊そうと願い事を書く事にした。この時間なら、普段混んでる笹の周りも静かだ。だったら今のうちにと、提案したのはジローだった。
「忍足は何お願いしたの?」
もう書き終わったらしく、ペンのキャップを閉じていた。
「そんなん聞いたら野暮っちゅーもんやで…?願い事は人に言ってしもたら叶わんのや…。」
公共の場に吊そうというのに、そんなに得意げにされても困る。
「そうそう!だからオメーも言っちゃダメ!『ジローと両想いになれますように』って書いたのが叶わなくなっちまったらやだC。」
真顔で言うジローには申し訳ないけど、そんな事は書いていない。
「願い事っていうのは口にするものじゃなく、胸に秘めておくものだって言いますもんね!」
「あぁ。口にしたら叶わなくなりそうだよな。なんとなくだけどよ。」
こーゆー類は信じてないと思ってた宍戸から、意外なコメントが出た。
「よし!書けた!早く吊しに行こうぜ!」
がっくんが短冊を持って、いきなり勢い良く椅子から飛び降りた。びっくりするから止めて欲しい。
「ちょっと待て。まだ決まってねぇ。」
「跡部ー。早くしろよー。」
「うるせぇ。俺様はなぁ、お前ら一般人と違って願ったモンは何でも手に入るんだよ。なぁ樺地。」
「ウス。」
だったら無理して書かなければいいのにと、ここにいるほとんどが思っただろう。
さみしがりやの跡部が短冊に願い事を書き終わるのを待ち、カフェテリアに向かった。
笹にはすでにたくさんの短冊が吊されており、色とりどりで綺麗だ。
「結構びっしりだね。吊すとこあるかな?」
「ここなんてどうですか?」
「ちょうど全員分くらい吊せそうやな…。」
長太郎が見つけたのは笹の少し上の部分。背伸びして届くくらいの場所だった。
「伝説のハジケリスト先輩、俺が付けますよ?」
「ほんと?ありがとう。」
あたしは長太郎に吊してもらい、跡部は樺地に、がっくんは忍足に吊してもらった。
全員無事に短冊を吊す事が出来た。
―翌日―
「なぁなぁ!練習終わったら短冊見に行こうぜ!」
部活の休憩中、ジローがあたしに言ってきた。
「昨日書いたやつ?」
「そう!みんな何書いたのか気になんねぇ?!特に宍戸とか跡部とか!」
ジローはシシシ、といたずらっぽく笑ってみせた。
それを見てたらあたしまでワクワクしてきた。
「よし、見てやりますか!」
「そーこなくっちゃ☆そんじゃあバラバラに集合な!」
◇◆◇◆◇◆◇
「遅れてごめん!部誌に手間取っちゃって。」
ジローより少し後に部室を出たので、もちろん先にジローがいた。
高い所も見れるように、どっかの教室から椅子を持ってきていた。
「いいからこれ見てみろって!マジ笑えるC!」
「どれどれ??」
ジローがあたしに見せたのは日吉の短冊。
【下剋上 日吉 若】
「なーんだ。いつものじゃん。」
「そーなんだよ!こいつコレしかねーのかよ(笑)マジウケる~(≧▽≦)」
結構ヒドい。確かにそうだけど、そこまでウケられると、日吉が切なく思えてくる。
「あんま笑っちゃかわいそうだよ。本人マジなんだから。」
「あ、向日の短冊発見!」
「どれどれ??」
ジローにスルーされたけど、いつもの事なので気にしない。こんなのいちいち気にしてたら氷帝のマネージャーは務まらない。
【毎日の夕飯がカラアゲ 向日】
「がっくんらしいね。」
しかし、多すぎて困る願い事の中から、なぜこれにしたのだろうか。
「お!これ宍戸のだ!」
【崖っぷち 宍戸書】
「宍戸のコレって願い事じゃなくねぇ?!」
「アヤコさんの真似だ…。絶対そうだ…。」
「さすが宍戸だよな!俺よりバカだC~(笑)」
もはや願い事ではない。
スラムダンク病の宍戸はついにここまできていた。
気を取り直して他の短冊に手をかける。
【宍戸さんのようにデカイ男になりたい。 鳳 長太郎】
「長太郎って本当に宍戸が好きなんだね。」
「宍戸ってそんなにデカかったっけ??俺より小さかった気がすんだけど…。なぁ、オメーはどっちだと思う?」
「ソコの話じゃないから。」
それに、あたしに聞かれても答えようがない。最後にみんなのちんちんを見たのは、幼稚舎でプールに入った際の着替えの時だ。
「あ、樺地んだ!絵まで描いてあるC☆」
【ボトルシップで、無事に沖縄まで行きたいです。 樺地 宗弘】
短冊のすみには立派なボトルシップの絵が丁寧に描かれていた。
「夢があるね。あ、そうだ。明日樺地にペットボトルあげなきゃ。」
「俺も乗せてくんねーかなー♪」
「沖縄まではちょっとアレだけど、少し乗ってみたいよね。」
樺地の短冊を見て、せっかく和やかな気分になったのに、一枚の短冊によって一気に気分が沈んだ。
【目指すは加藤鷹 忍足侑士】
「もうコレは無しの方向でいいよね…?」
「去年はチョコボール向井だったんだよなー。しょうがねーよ、忍足も俺よりバカだから。さ、次次!」
ジローまで呆れるようになったら本当におしまいだ。忍足は悪いヤツじゃないし、むしろいいヤツなんだけど…。
「お!伝説のハジケリストのはっけーん☆なになに…?」
【みんなが健康でいられますように 伝説のハジケリスト】
「普通でごめん。」
「オメー優しいな~!みんな自分の事書いてんのに!」
いや、自分の素直な願い事をここに書いてしまったら一生叶わない気がしただけだ。ただそれだけだ。
「あはは。ありがとう。」
ジローの輝く瞳が気まずいので、自分の短冊の隣にあった短冊を見た。
【伝説のハジケリストとエッチな事できますよーに☆ じろー】
「Σおわ?!俺のは見ちゃダメ!!」
「……(ー_ーι)」
もうバカばっかだ。
「ホラ!跡部の見ようぜ!!な?!」
精一杯焦るジローだが、焦るくらいならこんなトコにそんな願い事を書かないでいただきたい。つーかあたしが嫌だ。
「跡部跡部…あった!」
【カップラーメンとやらが食ってみてぇ。 K.Atobe】
「うわー!なんか一番どうでもいい!食べればいいじゃん!」
「跡部コンビニにも行った事ないって言ってた!スゲーよな!」
皇室並だ。跡部はきっと、うまい棒もきなこ棒も知らないんだ。
「これ、あたし達で叶えてあげようよ。」
「そうだな!跡部にはいつも世話になってんしな!」
「決まりね☆じゃあ帰りますか!」
一通り見て満足したので、帰ろうと昇降口に向かった。
下駄箱で靴を履き変えていると、傘立ての下にくしゃくしゃにされたゴミのような紙を見つけた。
「なんだろう…。」
大分踏まれたみたいで、上履きの跡がたくさん付いていた。
紙を開くと、
【子羊達と終わらない宴を T.Sakaki】
「……(-_-;)」
「おーい、どうした?早く帰ろう!俺腹へったよ。」
「あ、うん!帰ろう!」
あたしはその呪われた紙を握り潰して、途中でカップラーメンを買いに寄ったコンビニのごみ箱に捨てた。
次の日カフェテリアの笹を見ると、捨てたはずの呪われた短冊が、てっぺんでヒラヒラしていた。
あたしは、どうかこの短冊が他の部員(特に跡部)の目に入りませんようにと、笹の前で切に願った。
終わり
[後書き]
日にちは過ぎてしまいましたが一応。慌てて書いたので意味不明な話に仕上がりました。
氷帝以外でも書きたかったけれど時間がなかった(>_<)
来年こそは書きたいです☆
すみませんでしたm(__)m