氷帝生活①
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跡部の様子がおかしい。
「はい、タオル!」
「あぁ…わりぃな…」
ラリーから帰って来た跡部に、いつものようにタオルを渡す。
一方、タオルを受け取る跡部はというと、いつもなら黙って当たり前のようにタオルを取るのに、なんだか気まずそうだ。
「ねぇ、具合悪いの?」
「俺は大丈夫だ。お前こそ…いや、なんでもねぇ。」
さっきから目を合わせようとせず、意味深に溜息をつきまくる跡部。
「ワケ分かんないし。あ、ドリンク作んなきゃ!」
慌ただしく踵を返した時、跡部に腕を掴まれた。
「Σ何?!別に忘れてたわけじゃないよ?!」
「アーン?何ビビってんだよ。んなモンどーでもいい。」
「え?じゃあ何なの?」
「お前…少し向こうで休んでろ。」
えぇ~?!Σ( ̄□ ̄;
「ちょっと跡部!あんた熱あるんじゃない?!」
「熱なんざねぇよ。」
いつもは散々こき使い、今朝なんてあたしがボールにつまずいたのを見て「お前のあだ名はトロルだ」とか言ってたのに…!
「いきなりどうしたの?!気持ち悪い!」
「いいからおとなしく休憩しやがれ!」
何故か跡部が怒ったので、あたしは渋々ベンチに腰掛けた。
「自分…、何サボってんの…?」
する事も無く、ぼーっとしてたら忍足がやって来た。
「サボってないし。あたしだって仕事したいのにさ、跡部が休んでろって!」
「ふ~ん…」
忍足もベンチに腰掛け、背もたれに腕を掛けた。
「ねぇ、跡部何か変じゃない?」
「別に…俺らの前ではいつも通りやけど…。なんで?」
「あたしに対しても今朝までは普通だったんだけどね、目を合わせようとしないし、態度ぎこちないし気まずそうだし…」
忍足はあたしの頭にポンと手を置くと、顔を覗き込んだ。
「ほっといたらええんちゃう…?」
それもそうねと顔を上げて言おうとしたら、地面に影がかかった。
「忍足…テメェ、こんなとこで何サボってやがる。」
「別にサボってへんよ…?伝説のハジケリストに聞いてみい。」
跡部は舌打ちすると、どうなんだとあたしを見下ろした。
「そう言われてみたら、忍足サボってんじゃん。」
「Σ嘘やん!ここはフォローするとこちゃうん?!」
「おい忍足。伝説のハジケリストから離れろ。」
「ちょっとくらいええやんか…。なぁ?」
「うん。」
「黙れ。忍足なんかの近くにいたら妊娠す…とにかく離れろ!」
今何か変な単語があった。
「今妊娠言うた…?」
「やっぱり?!妊娠って言ったよね!幻聴かと思った…。」
「チッ!うるせぇ!もうお前帰れ!」
「ええの…?ほなお疲れさん…」
「Σテメェじゃねぇ!伝説のハジケリストだ!」
「なんでよ!」
「いいから今日はさっさと帰ってさっさと寝やがれ!」
跡部はそう吐き捨てると、ふいっと後ろを向いて足速に去って行った。
「ほらね、変でしょ?もしかして嫌われちゃったかしら。」
「なるほどな…読めたで…。」
「何が。」
「今日は跡部の言うとおりに帰り…。今夜電話入れるわ…。」
そう言って忍足は立ち上がると、後ろ姿で手を振ってコートに戻って行った。
○●○●○
~♪~~♪
夜、家でマッタリしていたら、携帯から"さそり座の女"の着メロが流れた。
「はい。」
『起きとった…?』
"さそり座の女"は忍足の指定着信音。ちなみに跡部の指定着信音は"おぼっちゃまくん"のオープニングだ。
「起きてたよ。で、何が読めたの?」
『お前のクラス…、家庭科どこまで進んでる…?』
「今?【結婚と家族】の第二章だけど。それがどうかした?」
いきなり家庭科の話題?あたしが前に忍足の家庭科の教科書に変なパラパラ漫画書いたのまだ根に持ってんのかしら…。
『その次の第三章でな…?パソコンルームでお産のビデオ見んねん…。』
「へぇー。どうだった?」
『ごっつ痛そうやったわ…。俺にはできん…。まぁ…感動したけどな…。』
声が低すぎて聞き取りにくいので、音量を上げた。
『でな…?俺のクラスがそれ見たの一昨日やねん…。』
「ねぇ、話逸れてない?」
『まぁ最後まで聞き…。俺のクラスが一昨日っちゅー事は、順番から言って、跡部のクラスは今日見たと思うねん…』
「お産のビデオを?」
『せや…。色々衝撃的やったんちゃうん…?』
跡部がどんな顔して生命誕生の瞬間を見ていたのか、大いに気になるところだ。
「それはいいんだけど、結局何が言いたいの?」
『跡部も複雑なんちゃうん・・・?好きな子との子どもやろ?そら憧れるけど・・・。あないな痛い想いさせたくはないってのもあるやん・・・。』
「そうなの?跡部だったら"根性見せやがれ"とか言いそうだけど。」
『男ってな・・・思ったより弱くて繊細な生き物なんやで・・・?まぁ・・・そういう事やから・・・。ほなまたな・・・。』
「え・・・、ちょっ!」
プツッ
「・・・・・・。」
一体あたしにどーしろというのか。
分からないのでとりあえず今日は寝ることにした。
○●○●○
「なんか食いてぇモンあるか?」
「まるごとバナナ。」
気が早い事この上ない跡部の気遣いはしばらく続いたが、あたしは肝心な事を言い忘れていた事に気づいた。
「ねぇ、跡部?」
「どうした。」
「言っとくけど、あたし妊娠してないよ?」
跡部の動きが一瞬止まったが、鼻で笑った後言った。
「これから何が起こるか分かんねぇぜ?ま、俺様は逃げるなんて野暮な真似はしねぇがな。」
この時、なんとなく跡部との未来を想像してしまった。
現時点では跡部とどーこーあるわけじゃないが、いっそのこと身ごもって、この若さで一気に玉の輿なんてのも悪くないかな、なんて思った。
終わり
[後書き]
風花ちゃんに何から謝ったらいいか分からないのですが…。
とにかくすみませんm(__)m
せっかくE~気持ちだったところをブチ壊してしまって申し訳ない気持ちでいっぱいです(>_<)
さんざん待たせといてコレかい!!みたいなね…ι書いた本人は楽しかったんですけどね♪
こんな私は鼻フックの刑、もしくはパンストかぶりの刑ですね。
伝説のハジケリスト様、ここまでお付き合い頂いてありがとうございました!またお越し下さいね!!
風花ちゃん、私切腹するんで介錯お願いしますm(__)m