氷帝生活①
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「もうすぐクリスマスやんなぁ…。」
ネクタイを締めながら溜め息混じりに忍足が言った。
「サンタ今年何くれんだろ~♪なぁなぁ!みんな去年何もらったんだ?!」
まだサンタクロースを信じているらしいジロー。ジャージを脱ぎながら嬉しそうに聞いてきた。
「まだサンタなんて信じてんのかよ、芥川!」
がっくんはスボンを履きながらせせら笑った。
「またそんな夢の無い事いって!サンタいるから!」
私は部誌を書く手を止めて会話に入った。
サンタ…か。まぁあたしも信じてるワケじゃないけど。
「向日は悪い子だからサンタ来ねぇだけだC~!」
「そやで…?岳人もええ子にしとったらサンタが来るかもしれんで…?」
「クソクソ!悪い子って何だよ!俺だって店手伝ってんだぞ?!」
そーいやがっくんの電気屋さんのオススメ用ポップ、がっくんが書いたって言ってたっけ。
「…あの掃除機のポップはあかんやろ…。《あなたも吸ってミソ》て…。松下電気が見たら裁判起こされんで?」
「向日センスねー!(爆笑)それじゃサンタも来ねぇって!」
「なんだと!」
パンツ一丁のジローに指を指されて笑われて、がっくんが微妙に半泣きだ。
「お、忍足にはサンタさん来るの?」
「俺…?」
これ以上放置しておくとがっくんが泣きそうなので忍足に話を振った。
「忍足おめぇ、その眼鏡サンタがくれたって言ってたよな?!」
「そ…。今年のサンタはスゴイで…。伝説のハジケリストという名のミニスカギャルサンタが俺んとこ来んねん…。」
「うっわ~。おめぇキッモいなぁ~!」
『ピシッ』
サンタから貰ったという忍足の眼鏡にヒビが入った。
ジローの素のツッコミほど恐ろしいものはない。
流石のクラフティーボウイもこれには勝てない。
忍足…ご愁傷様。
「忍足の奴、激ダサだな。」
「宍戸さんはいつまでサンタさん信じてました?」
あたしの目の前に座って何かをしていた宍戸に、長太郎がブレザーを羽織りながら聞いた。
「俺は小3くらいだな。夜中に便所に起きたらよ、プレゼント持ったおふくろが兄貴の部屋入ってったの見ちまったからな。」
「あー、それはショックですね。伝説のハジケリスト先輩はサンタさん信じてます?」
「恋人がサンタクロースよ。」
「…お前恋人いねーじゃねーか。」
宍戸がボソッと呟いた。
「黙れ。長太郎は信じてるの?」
「俺も小学校低学年まで信じてましたよ。最近は俺が誰かのサンタになれたらいいな…なんて…(チラッ)恥ずかしいな、はは///」
チラ見されてもな…誰もそこまで聞いてない。
「じゃあ今年もサンタが来る良い子はジローだけなわけだね?」
「え~!おめぇんトコには来ねぇのか?!」
「あたしは一昨年親に『来年からサンタは来ないから!』って言われたから。」
「ふぅ~ん。じゃあさ!俺が代わりにプレゼントやるよ!」
「ジロー…(じ~ん)」
未だにジローにサンタが来る理由が分かる気がする。
「Σあ!伝説のハジケリスト先輩!…っ俺も…その…あなたの…サンタに…///」
「おい、俺に言ってどーするι」
長太郎は宍戸の方を見てモジモジしている。よほど宍戸のサンタになりたいのね…。
宍戸、よかったね!
「なぁ、そーいや跡部は?」
「さぁ?監督んとこ行ってからまだ帰ってこないけど。」
―部室の目の前―
「どうしたんですか…?」
「いや、何でもねぇ。」
「……。」
「……。」
「サンタさんは…います。」
「……。帰るぞ樺地。」
「ウス。」
終わり
[後書き]
わけワカメ意味ピーマンですね!
サンタを信じる跡部が書きたかったのですが、その割には最後しか出てきませんでした…。
普通に考えたら跡部はサンタなんて信じてないだろうけど、敢えて書きたかったんです。可愛い跡部を。
書いたとは言えないけどね。
すみませんすみませんすみません。