魁!!クロマティ中学~反省編~
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ある日の放課後。ある場所にあるコンテナの上に、二人の姿はあった。
学校が終わると彼らは、『反省会』と称した話し合いを必ずここで行うようにしている。毎日、毎日。
昨日の反省点は、テスト期間だというのに大石がテスト勉強をしてしまったことだった。普通に考えればそれが普通なのだが、彼らはワルだ。ワルならばテスト期間中はギャルゲー攻略に勤しめよ、という結論に至った。
今日の話題は将来のことらしく、いつもよりかは真剣な彼らの姿が、真っ赤に燃える夕陽の中にあった。
「なぁ英二。英二は大人になったら何になりたいんだ?」
「う~ん、とりあえずビッグになりたい!大石は?」
男のロマンである「俺、ビッグになる」という夢に、とりあえずを付けてしまうこのワルさ。札付きである。
「俺は、自分の好きなことを仕事にしたいと思ってるから…その…水族館の飼育係になりたいんだ。熱帯魚コーナー担当で。」
アクアリウムが趣味だと公言している大石だが、本当にアクアリウムが何なのか分かっているのだろうか。いや、分かっていないだろう。何せ彼もまた、札付きのワルなのだから。
「それだったら、水族館の館長の方がいいんじゃないの??一番偉かったら好きな時に好きなだけ見れるし、飼育にだって手ぇ出せんじゃん。」
「あぁ、そうだな!今俺は、自分の将来を間違えるところだった。ありがとう、英二。さすがビッグになるヤツは違うな。」
「にゃはは、そんな褒めなくていいって!」
自分は「ビッグになる」とか言っておきながら、人のリアリティある素敵な夢に対し、もっともなアドバイスをしてみせるこのワルさ。さすがクロ中のゴールデンペアと呼ばれているだけのことはある。
「でも、ビッグになるって、具体的にはどうするんだ?」
「う~ん、ギター片手に世界中を回って、世界中の人に俺の歌を聴かせようかな~って!」
それでは売り出し中の演歌歌手のキャンペーンと同じだが、世界中でやる、ということがビッグになることだと英二は思っているらしい。正にワルだ。
「英二がギター弾けるなんて知らなかったよ。何の曲で世界を回るんだ?やっぱりビートルズか?」
「うんにゃ。俺ギター弾けないもん。だからこれから練習!」
「えっ…」
「でももう曲は決めてあるもんね!」
「何?」
「富士山の歌!」
海外で日本の名物の歌を唄うという、なんとも挑戦的な旅。こいつはもしかしたら本物のビッグになれるんじゃないかと、大石はゴクリと喉を鳴らした。
「しかし、世界中を回るとなると、莫大な費用が掛かりそうだな。…そうだ!英二の長所を生かしたアルバイトをしたらどうだろう。」
「そうそう、俺もそれ考えてたんだよね~。」
英二の長所と言えば、ワルにも関わらず愛想が抜群に良いところだ。人なつっこく、親しみを持てるキャラなのだから、接客業に向いている。大石はそう言おうとしたが
「ほら、俺って動体視力ハンパねぇじゃん?これってスロットに役立つんじゃないかにゃーって。」
もの凄く納得な提案が英二自らなされた。かなりまともな提案をしようとしていた自分が、ワルとして恥ずかしくなった瞬間だった。
「大石もさ、あの技使って一緒に稼ごうぜ!」
「あの技?」
「大石の領域(テリトリー)!」
あれがスロットやパチンコで通用するかは定かではないが、ワルとして、先ほどの考えの汚名返上をしなければならない。俺はやってやる、と大石は拳を握った。
「そうだな、どこまで俺たちが通用するか分からないが、やってみよう。俺たちの将来のために。」
「そうこなくっちゃ♪」
二人は堅い握手を交わし、コンテナの上に立つ。今ここに、ゴールデンペアの新たな結束が生まれた。
「そうと決まれば海へ行こう!俺たちの誓いを叫ぶんだ!」
「は?大石何言ってんのさー。ここは早速パチ屋だろぉ?ほら、行こうぜ!」
「あ、あぁ…。」
ワルとして、まだ俺は何か足りない。越前の言葉を借りればまだまだだ。大石は心の中で、密やかに一人反省会をしたのであった。
将来ビッグになるであろう、相方の背中を見ながら。
終わり
[後書き]
はい、最高に下らないものが仕上がりました。何でも“ワル”って書けばいいと思ってます。クロ高を忠実に再現するのは至難の業なので、まぁなんとなくそれに近いものが書けたらなーと思って書きました。
ワルというか、ただの頭弱い人みたいになってしまいました。とてもすんなり書けたのですが、よく考えてみたら自分たちの会話も同じようなものです。だから書いてて超楽しかったです。
読んで下さってありがとうございました!
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