上巻
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勇者跡部とその仲間である戦士樺地、僧侶鳳、魔法使い忍足は、ラーミアを甦らせるために7つのオーブを探していた。
そして、オーブ探しに重要なアイテムである『やまびこのふえ』を手に入れた!
「この笛吹いたらオーブがあるかないか分かる…って言うてもな…。」
「アーン?何が言いてぇんだよ。」
ここは宿屋の一室。『やまびこのふえ』を囲み、優雅に紅茶をいただきながら会議中だ。
「笛を吹くからには、何か曲を演奏しなければいけないんですよね?」
「それや…。俺はそれが言いたかったんや…。んで…どないすんの?」
「何かと思えば…。んなもんテキトーに吹いとけよ。」
跡部は鼻で笑い、ティーカップをテーブルに置いた。
「しかしやな、『やまびこのふえ』っちゅーくらいやから…吹いたらやまびこするやん…?」
「だからなんだ。」
「俺らが吹いたんがテキトーな曲やったらアカンとちゃうの…?一応世界を救う勇者の一行やし…。」
暫く沈黙し、跡部が口を開いた。
「鳳。お前が吹け。モーツァルトの『交響曲第40番第1楽章』だ!いいな?」
「え?!俺、吹奏楽器は扱ったことないですから…。それに難しすぎですよ!」
「ほなら…『小フーガト単調』なんてどない…?」
「…なんかしっくりこねぇな。俺様の偉大さを引き立たせるような曲がいい。なぁ樺地。」
「ウス。」
かつてこんなに傲慢な勇者を見たことがあるだろうか。
―数時間後―
「じゃあ決まりですね。」
あーでもないこーでもないと長い会議の末、戦士樺地が『キリマンジャロ』を演奏する事に決まった。
宿屋を出て、街の中心に移動した。
「よし。吹け樺地!」
「ウス。」
戦士樺地が笛を口にしたその時!
ピロリ~♪ピロリ~♪ピロリロリロリ~♪
「これは…。」
「キリマンジャロじゃないですね…。」
そこに流れたメロディーは『キリマンジャロ』ではなく、聴いた事もない曲だ。
「おい樺地!キリマンジャロだ!」
「ウ、ウス!」
【樺地はやまびこのふえを吹いた!】
ピロリ~♪ピロリ~♪ピロリロリロ~♪
またしても同じ曲だ。
「なんやねんな…。」
「樺地お前、キリマンジャロ知らねぇのか?アーン?」
樺地は笛を不思議そうに眺めている。
「おい樺地。」
「…勝手に…流れます。」
「勝手に…?」
「貸してみな。」
跡部は樺地から笛を受け取ると、やまびこの笛を吹いた!
ピロリ~♪ピロリ~♪ピロリロリロ~♪
「なっ…!」
「ホンマかいな…。貸してみぃ。」
魔法使い忍足が吹いても、僧侶鳳が吹いても結果は同じだった。
「チッ。笛はもういい。んなモンに頼らなくても自力で探すぞ!」
「でも…せっかく手に入れたんですから使いましょうよ。」
「キリマンジャロじゃなきゃ意味がねぇんだよ!おい忍足、街のやつらに話し聞いてこい。」
「はいはい…しゃあないなぁ…。鳳、行くで…。」
かくして、やまびこのふえ無しでオーブ探しを続けることになった勇者跡部一行。果たして見つける事ができるのか!
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