テニス100%
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始まりは中学生の時。
放課後の屋上だった。
あたしは屋上から見える夕日が大好きで、いつものように立ち入り禁止の札を無視して扉を開けた。
するとそこには、いつも誰もいないはずなのに先客がいた。
テニスラケットを持っていて、夕日のせいでそう見えたのか、オレンジがかった綺麗な髪をした男の子。
始めて胸がざわついた。
「あれ…?」
彼が屋上から去った後に何かが落ちていた。
「リストバンド…。」
今まで恋なんてしたことの無かったあたしが、これから恋の迷路に迷い続けることになる。
『テニス100%』
「テニスラケット持ったかっこいい人、ねぇ…。」
毎朝、あたしは##NAME3##と登校している。いつものように他愛ない会話の途中で、昨日見たことを##NAME3##に話した。
「もうアレよ!王子様!夕日をバックにさー、マジかっこよかったって!」
「##NAME2##が言うならよほどなんだねー。今まで漫画に出てくる男の子しか興味なかったもんね。」
あたしは少年漫画が大好きだ。その登場人物は夢とか希望とか何かしら熱いものを持っている。
実際の男子は皆、どこか冷めていたり、中途半端だったりするから興味がわかないのだ。
でも、昨日見たあの男の子の姿は、何か引き付けられるものがあった。
自分でも不思議だけど。
「ねぇ、その人のリストバンド拾ったんでしょ?名前とか書いてないの?」
「イニシャルは書いてあったけど…。」
「えっ!誰?!」
「………。」
##NAME3##は割とモテるので教えたくなかった。たいていの男子は##NAME3##に告られたらOKすると思う。
「大丈夫!やっと会えたあんたの王子様取ったりしないから!それに今バレーの事しか頭にないし。」
##NAME3##はバレー部スポーツ推薦ですでに高校が決まっている。バレーが本当に大好きで、モテるけれど男は二の次というタイプだ。だからこそモテるのかもしれないけど。
「ま、信じてるよ!大体あたしと##NAME3##って好みが違うしね。でね、イニシャルがH.Yなんだけど…。」
「H.Y…?」
「心当たりあるの?」
あたしはもうすぐ卒業だというのに、男子全員の顔と名前を覚えていない。いや、覚える必要はないと思っているのかもしれない。
「知ってるも何も…。テニス部でH.Yでしょ?うちのクラスにいるじゃん。」
「うちのクラスに?!」
あんなかっこいい人いたっけ…?
「あー、でもそのリストバンドの持ち主は##NAME2##が見たかっこいい男の子じゃないと思うよ?」
「これは…。わざわざありがとうございます。」
「!Σ(◎□◎;)」
ぴっちりの七三分けに目の見えない逆光眼鏡。いかにも真面目といった感じだ。
確かに別人だよ。
覚えてないはずだよ。
「よく私の物だとお分かりになりましたね。」
「イニシャル書いてあったから…。」
柳生比呂士…。
絶対違う。
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