サムライ祭
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ある日、手塚と一緒の帰り道。
前に高架下で行ったという、リョーマとの試合について語ってくれた。
リョーマに秘められた無限の可能性、その潜在能力。
だがしかし、このままではいけないと、手塚は言った。
校内ランキング戦では、一年生にしてうちのレギュラー達に勝ち、公式戦でも強敵を倒していった。だが、リョーマはまだ発展途上であり、手塚の言う通り、これからの青学を支える柱になるだろう。
そして、手塚が足を止め、神妙に言った。
『こんなことを言っては笑われるかもしれないが、越前と試合をした時、奴の後ろにサムライを見た』
笑ってしまった。
我慢するような吹き出し笑い方だったが、それでも一頻り落ち着くまで笑った後、手塚はよほど疲れていた、勉強のしすぎで幻覚を見てしまった、それか手塚がピュア過ぎるあまり、シックスセンス的な感じで他の人には見えないものが見えてしまったのではないか。いや、もしかしたらこれは手塚なりのジョークなのかもしれない。顔も頭も運動神経もいいけどつまらない男だと思われてるのを察したのか、ちょいとここらでギャグ、もしくは怪談でも、と思ったのかもしれない。
そんな考えが頭をよぎり、さらに面白くなってしまった。
それにしてもサムライ?有り得ない。
リョーマと知り合ってまだ少ししか経ってないけど、そんなシブイヤツだと思ったことがない。
確かにクールだし、見た目も良い方だと思う。
でもサムライって。
手塚の顔を見ると、ちょっとムッとした様子だった。部長とマネージャーの関係が完全に気まずくなる前に、あたしは笑うのを頑張って止めて言った。
「あたしにも見えるかな、リョーマのサムライ。」
すると手塚は
「越前と試合をすればな。」
笑われたのがよほど悔しかったのか、それとも他意はないのか、分からないけどそう答えた。
じゃあ見れないじゃん、と、この時はそのまま話は流れた。
手塚のあの発言を聞いてから、数週間が経った。特に何があるっていうわけではなく、いつも通りの平凡な日々をすごしていた。
今日もホームルームが終わると、いつも通り部室へ向かった。