4周年企画
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お昼休み、たまには屋上にでも出て食べようか、ということになり、あたしとは不二と英二と一緒に屋上に来ていた。
適当な日陰のスペースを見付け、三角形になって座り、二人がお弁当を広げている前で、あたしは今日の昼食を鞄から出した。
「あれ…?お弁当はどうしたの?」
お弁当を広げる手を止め、不二が聞いてきた。
「これが今日のお弁当だけど。」
「お弁当って、バナナじゃん!」
英二は着々とお弁当を広げながら、あたしの持つそれに驚いていた。
バナナダイエット。
先日雑誌に掲載されていたこのダイエット方法。朝食はバナナと水のみで、あとは自由に食事して良い、というものだった。
それを二人に伝えると
「ふーん、でも今昼だぞぉ?朝じゃないと意味ないんじゃない??」
「朝も食べたよ。でもお昼も実践した方が効果あるかなって。」
「ほぇ~!朝も昼もバナナ?!お腹空いちゃわない?」
「うーん、空くけど我慢できる範囲だし。」
言いながら、皮を剥いてバナナを食べ始めると
「にゃははっ!伝説のハジケリストゴリラみたい!」
菊丸英二、失礼である。抹殺リストに入れてやろうか。
「バナナは栄養価も高いから、体にいいって言うよね。今日の僕のお弁当にも入ってたよ。」
やっとお弁当を広げ終わった不二が、ほら、と言ってお弁当を見せてくれた。相変わらず美味しそうな内容。カフェで出てくるようなライ麦パンの大きめサンドイッチ。それとはまた別に容器があって、不二のバナナはその容器に入っているヨーグルトに混ざっていた。
「でも、急にダイエットなんてどうしたの?」
「今までは、苦労してまで痩せるより、うまいもの食って太ってた方がいいと思ってたじゃん?」
「そうだね。」
言っておいてアレだけど、不二にその話をしたかどうかは記憶が定かではない。けど不二は、優しさなのかめんどくさいからなのか、あたしに対していつも頷いてくれる。
「でもやっぱり年頃の女の子としては、って部分もあったからね。バナナダイエット見付けて、これだ!って思ったよね。」
「せっかく目標が出来てるのに、こんなこと言ったらいけないのかもしれないけど…」
言いづらそうに、でもしっかりした声で続けた。
「あまり、気にしなくていいんじゃないかな。僕の個人的な意見としては、伝説のハジケリストは今のふっくらした状態が可愛いと思うけど。」
甘いフェイスに甘いヴォイスで「可愛い」と言われ、バナナを口に運ぶ手が止まるくらいときめいた。が、視界に夢中でお弁当をかっ込んでる英二の姿で現実に引き戻された。
よく考えたら、もの凄いオブラートに包んで「デブ」と言われたではないか。「そんなことないよ、伝説のハジケリストは気にしすぎだよ」で止めておけばよかったものを。それか「普通だよ」くらいに言ってくれると思いきやコレだ。フォローがフォローになってないではないか。
不二周助、失礼である。お前も抹殺リストに入れてやろうか。
今一瞬輝いたあたしの乙女心を返して頂きたい。
「伝説のハジケリスト、どうして眉間にシワが寄ってるの?」
「別に。」
英二のお陰で冷静になれたので、あたしは不二顔をふいっと逸らし、再びバナナを食べ始めた。
「伝説のハジケリストさぁ、これからずっと、朝昼バナナなわけ?」
「うん。」
「それって飽きない?俺だったら一週間で飽きちゃうけどにゃあ。」
「どうだろうねー、やっぱ飽きちゃうものなのかな?」
「意外と飽きないよ、バナナは。」
どうしてバナナのフォローはできて、あたしのフォローはできないと言うのか。倒置法まで用いてバナナのフォローとは、本当に頭が下がる。
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