氷帝生活
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昼休み。あたしは借りた小説を返しに忍足のクラスに来ていた。廊下まで出てきてもらい、ありがとうと言って手渡しした。
「どやった…?」
「うん、すごい感動した。」
「せやろ…。こんな恋愛してみたいと思わん…?」
「まぁ、それはそうなんだけど…忍足から借りたってことを思い出すとちょっと…」
「どういう意味や…」
内容は本当に良かった。お互いに自分よりも相手のことを考えてて、でもそれ故にすれ違って…でも、これを読んで忍足がじーんとしてる姿を想像すると、何故だかテンションが落ちる。
「せや…最近どうなん…?うまくいってるん…?」
「何が。」
「何がて…お前とジローに決まってるやん…。この小説みたく、すれ違ったりせぇへんの…?」
「あぁ、別に普通。」
「へぇ…。前から気になってんけど…自分らどんなデートするん?」
「どんなって…ブラブラ買い物してみたり、遊園地行ってみたり。けど大体はジローの部屋でゲームやるか寝るかだよね。」
「平和やなぁ…」
友達に、一緒にいるのに寝られてむかつかないの?と聞かれたこともあったけど、そんな常に寝ているわけでもないし、あたしも寝る方だし、ジローの寝顔を見たり、寝ているジローで遊んでるしで特に不満はない。
「喧嘩もせぇへんの…?」
「そういえばしたことないかも。」
「あいつと付き合える女子なんて、自分くらいなもんやで…?普通やったらあのパーチクリン…起きてる時はやたらうるさいやろ…?で、一日の大半寝てるやろ…?俺が女やったら…付いていかれへんと思うねんけど…。」
「そうかなー。」
「恋愛に鈍そうやん…。イラッとしたり、物足りないとか思わんの…?」
「まぁ特に何かあるわけでもないけど、それって今さらじゃん?一緒にいて楽しいし、落ち着くんだよね。」
「二人にしか分からんこともあるもんな…。変なこと聞いてもうて悪かったわ…。」
ううん、別に、って言おうとした時
「伝説のハジケリストー!」
後方から物凄い勢いで名前を呼ばれた。何かが背後から近付いて来る。ただならぬ気配に振り返ると、
「噂をすれば…やな。」
ジローが必死の形相でこちらに向かって走ってきている。何事かと聞こうと思うのと同時に、あたしの横でぴたっと止まり
いきなり胸を、確かめるように触りだした。
生徒の行き交うこの廊下で。
とにかく様子がおかしいので、何のつもりか聞こうと思った。けど、
今度はおまたをポンポン、と優しく二回押された。
え?何この状況。
忍足もあたしもどうしていいか分からずに固まっていると、
「よかったー」
ジローが安心したように胸をなで下ろした。
「何が?」
やっとの思いでそれだけ聞くと、
「今さ!おめぇがホントは男だったてゆー夢見たんだよ!そんなんビックリするっしょ?!ホントだったらどうしようって思うっしょ?!でもよかったー、女で!」
声のボリュームを上げ、興奮した様子で語ってくれた。
「あ、忍足いたの?!何この本!見せて見せて!…『ピュアラブ』??うっわ、おめぇこんなの読んでんのかよ!」
忍足から奪った本を押し返すと
「まぁとにかくおっぱいもあったしチンコもなかったし、オレ安心したよ!じゃ、また後でね!」
台風のように去っていった。
「忍足、どうしよう。」
「何が…?」
「あたし今、初めてジローにイラッとしたかも。」
忍足はフッと笑って、あたしの方に手を置いた。
「人として当たり前の感情や…俺も…若干イラッとしたわ…」
忍足と哀しく微笑みを交わして、あたしは自分の教室へと戻った。
終わり
[後書き]
しばらくテニ様から離れてしまっていたので、これはマズイと書いてみました。そしたらホントにマズかった。
ジローは一つのことしか見えてないので、まぁそういうところが愛しいよね、というお話です。
やばい、勉強し直さなければ…!