青学生活
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
鈍い。
とにかく鈍い。俺がいくら頑張っても気付かない。
「伝説のハジケリスト先輩、今日一緒に帰りません?」
朝練のとき思い切って誘った。
気が早いかもしんないけど、学年違うから校内で滅多に会えないし。
それに、伝説のハジケリスト先輩は菊丸先輩と不二先輩と同じクラスだから先に持ってかれたくない。
「いいよ!」
今日こそキメてやる。
昨日、いつもみたいに菊丸先輩が後ろから抱き着いてきて俺の頭に顎を乗っけてた。
「なんかそれ良さそう!英二…代わって!!」
そう言って伝説のハジケリスト先輩は菊丸先輩の後ろに列んだ。
「えぇ~!おチビに抱き着くなんてダメダメ~!」
「いいじゃん!順番守るから!ね?!」
「順番って…ι俺ふれあい動物園の動物じゃないんスけど。」
伝説のハジケリスト先輩はきっと、菊丸先輩が俺を離したくないからダメだって言われたと思ってる。けど菊丸先輩は、俺が伝説のハジケリスト先輩に抱きつかれるのが気に入らなくてダメって言ったんだ。
まったく…。俺でも分かるのに。
「英二のケチ!!エロガッパ!」
「もぉ~!分かったよ!少しだけだからにゃ~。」
菊丸先輩も伝説のハジケリスト先輩には弱い。ま、頑固だし、一度言い出したら聞かないし。
「やったvVじゃ、遠慮なく…。」
きゅっ…。
伝説のハジケリスト先輩は俺と身長が大して変わらないから、頬が後頭部に当たる感じになる。
「あー…、これはいいわ。」
「伝説のハジケリスト先輩、もういいっスか?」
本人は意識してないだろうけど、背中に柔らかい感触が当たる。
「んー、もーちょい。」
「ねぇ、誘ってんの?」
俺は伝説のハジケリスト先輩の両手首を持って向き合った。
「意味…、分かるよね?」
「Σあー!何やってんだよぉ!離せよおチビぃ!」
菊丸先輩が俺の手を掴もうとしたその時。
「え?この後特に遊ぶ予定とかないけど?何?どっか行きたいの?」
菊丸先輩の手は止まり、俺の手も緩んだ。
「お互い苦労するにゃ~ι。」
「そうっスね…。」
「え、苦労話?!どうしたお前達!相談なら乗るって!」
((お前の鈍さに困ってんだよ!!))
てな感じで俺の気持ちも、もちろん他の先輩達の気持ちも気付いてない。
だから今日こそ気付かせて、意識させてやる。
「お疲れー!さ、帰ろうか!」
「その前に…ちょっといいっスか?」
俺は誰もいないことを確認し、コートの裏に伝説のハジケリスト先輩を連れて来た。
「どーした?」
「ちょっと話あるんスけど。」
この人の場合、遠回しに言っても気付かないだろう。だからストレートに…。
「昨日言ってた苦労話?」
「…違うっス。」
「あ、戦国無双はまだ返さないよ?」
「…そうじゃなくて!」
「じゃあ…、もしかして…。」
やっと気付いた?
ホント、まだまだだね…。
「大丈夫!ちゃんと乾にはちゃんと弁解しといたから!」
「はっ?!」
「こないだ乾のノートにタチ悪い落書きしたじゃん?あの時はリョーマのせいにしてたけど、ちゃんとあたしと桃がやったって白状しといたから安心して!」
俺の中で何かが音を立てた。
「ねぇ、アンタ鈍すぎだよ。いい加減気付いたら?」
「怖!何?!」
「俺、アンタのこと好きなんだけど。」
「………。」
伝説のハジケリスト先輩が真剣に見つめてきた。
その表情からは何も読み取れない。
「あたしも好きだよ?」
「えっ…」
予想外だった。
これをきっかけに俺を意識してくれればいい。
だだそれだけが目的だったから…。
「何を今更!あたし達仲間じゃん!それともあたしになんかしたわけ??」
は?!
「だからそうじゃなくて…!」
「痛!エージ先輩踏まないで下さいよ!」
「違~う!乾が押したんだよぉ!」
「こら!よさないか!だからこんな覗くような真似は…!」
「もう遅いようだな。」
大木の陰から先輩達が続々と姿を現した。
「何してんスか…。」
「あら、お揃いで。」
「ばれてしまっては仕方ないね。」
不二先輩まで…。ホント、何してんだか…。
「越前、勝負はまだついてないようだな。」
「君は本当に油断できないね…。でも、次はないから。」
「こりゃあうかうかしてられねーな。してられねーよ。」
「おチビ!残念無念まった来週~♪にゃはは♪」
「こりゃタイヘン。」
「…にゃろう。」
「ねぇ、みんな揃ってこれからどっか行くんでしょ!ここで待ち合わせだったんだ!ね?…リョーマ?」
「まだまだだね…。」
かわいいけど鈍感すぎるアンタを振り向かせるのは、部長に勝つより難しいかもね。
ま、どっちも負けないけど。
終わり
[後書き]
最初からミンナココニイタ。