青学生活
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夕方なんとなくテレビを見ていたら、若いうちからハゲる『若ハゲ』という現象が多いという。
「え!この人23歳?!」
23歳という若さなのに、うっすらハゲていて40後半くらいに見える。
「みんなは大丈夫かしら…。」
あたしは気になって気になって眠れそうになかったので、乾に電話してみんなのハゲる確率を割り出してくれるようにお願いした。
「ねぇ、例の確率割り出してくれた?」
「ああ。データは集まった。」
昨日の今日でよくやってくれたと思う。
さすが青学のブレーン。
「まずは越前だが…。」
リョーマは去年まで小学生だったのに、今からハゲる要素が見つかったらかわいそうだ。
まだ若いのに大変ねってみんなに言われるんだ…。
「帽子をかぶってはいるが、越前の髪質、頭皮の様子から見てハゲる確率は10%未満といったとこだろう。」
「ほんと?!」
「ああ。間違いないよ。」
よかった…。
リョーマはビジュアルが良いからもしハゲたら『まだまだだね。』がキャッチフレーズの植毛広告に載りそうだ。
『植毛、してないの?…まだまだだね。』
みたいな。
「次に桃城だが…。」
桃ちゃんか。ハゲ始めたら潔くスキンヘッドにしそうだな…。
「50%だな。単純な性格を考えると精神的なものからくるハゲはまず有り得ない。」
うん。有り得ない。
「しかし、桃城は整髪料を毎日使用している。整髪料は頭皮と髪の毛に負担がかかる。このまま使用を続けていくと蓄積されて…額からハゲる。」
前からくるんだ。
桃ちゃんは今まさに、デッドオアアライブをさ迷ってるのね…。
「次は?」
「海堂だが…。」
海堂はハゲたらバンダナキャラをいいことに、頭をバンダナで隠し続けるだろう。そしたら不動峰の石田君とかぶる。
「ハゲる確率、65%。」
微妙だなぁ。
「海堂の場合、バンダナを常に付けている。蒸れて頭皮の毛穴が開いて抜けやすくなる。したがってツムジからハゲる。」
「リョーマの帽子は?」
「越前はマメにとったりしてるからさほどの影響はない。」
海堂の誕生日には通気性のいいバンダナをあげよう…。
「はい、次。」
「次は河村だ。」
タカさんはハゲてもかっこいいと思う。
むしろハゲた方がいい。
「ハゲる確率は5%未満ってとこだ。」
えぇ…残念。
「河村はああ見えて向上心がある。精神的にも髪質的にも問題はない。」
ハゲ頭でバーニングなんて渋くていいのにな…。
「何を落ち込んでいるんだ?次にいくぞ。英二だが…。」」
英二がハゲたら心底嫌だ。ハゲ具合にもよるがハゲたおっさんがニャーニャー言ってたら、それだけでセクハラだ。
キャバ嬢でも引くだろうに。
「ハゲる確率、10%未満だ。英二は一般男子に比べて女性ホルモンが多い。」
女性ホルモン?!
「目より上の毛は女性ホルモンの影響を受けているから英二はハゲないということになる。」
「その10%は??」
「英二の持つ男性ホルモンが女性ホルモンを上回る場合だ。と言っても、英二の男性ホルモンが少ないというわけではなく…」
「あ、もういいや。次。」
聞くのめんどくさい。
「そうか…。では次に大石だが、」
大石、か…。
もう彼の髪の話には触れたくない。
毎日凝視してるけどあれはありえない。
顔はいいのに…。
「大石は70%だ。」
「高いね。」
まぁなんとなく予想はできたけど…。
「大石のハゲる要因は精神的なものからくる。」
「胃薬常備だもんね。」
胃薬が友達みたいなものだしね。
「ちなみに大石は奇抜な髪形を好むことから、いわゆる"バーコードハゲ"になる確率が高い。」
ハゲても奇抜にってことか…。
本人はどこがおかしいのか気付かないまま終わるんだろうなぁ。
「最後に手塚だ。」
「あれ?不二は?」
「残念ながら、不二のデータは俺でさえ正確にとらせてもらえない。」
恐るべし不二周助。
不二はハゲるハゲないの以前に年をとらないんじゃなかろうか…。
「では手塚だが…。」
手塚はもう外見はもちろん、趣味、嗜好がおじさんだ。いや、おじいちゃんだ。
「ハゲる確率、80%…かな。」
「ふぅん。」
「おや?驚かないのか?」
驚くも何も覚悟はできていた。
「だって手塚のおじいちゃんもヅラだから。」
前に手塚の家に勉強を教わりに行った時に見た。
ハッスルおじいちゃんだった。
「そう。遺伝だ。頭が硬いのもハゲる要因になるな。手塚も額から序々に後退していくタイプだ。」
覚悟はしていたが、手塚がハゲ上がる姿は想像したくない。
手塚はああ見えてナイーブなところがあるから人知れず気にすることだろう。
ただでさえ他校の人達に"テヅラ"とか言われてるのに。
かわいそう…。
「以上だ。お役に立てたかな?」
「ねぇ、乾は?」
「…(ロ_ロ)」
ノートを閉じ、乾は去ろうとした。
「あ!ちょっと待って!」
その日、あたしは乾に頼んで増毛効果のあるドリンクを一緒に作ってもらった。
桃ちゃん、海堂、大石、手塚限定で。
明日さっそくドリンクに混ぜよう。
みんなが将来困らないように…。
「伝説のハジケリストは部員想いだな。」
乾が眼鏡を中指でくいっと上げた。
「ふふっ。完成楽しみだね!」
「ああ。」
それからあたしたちは夜遅くまでドリンク作りに試行錯誤した。
終わり
[後書き]
バイト先の社長の髪が薄かったんですけど、ある日久しぶりに見たら明らかに増えてたので植毛、もしくはヘアコンタクトしたのではという疑惑が。そこから思い付いた話です。
「え!この人23歳?!」
23歳という若さなのに、うっすらハゲていて40後半くらいに見える。
「みんなは大丈夫かしら…。」
あたしは気になって気になって眠れそうになかったので、乾に電話してみんなのハゲる確率を割り出してくれるようにお願いした。
「ねぇ、例の確率割り出してくれた?」
「ああ。データは集まった。」
昨日の今日でよくやってくれたと思う。
さすが青学のブレーン。
「まずは越前だが…。」
リョーマは去年まで小学生だったのに、今からハゲる要素が見つかったらかわいそうだ。
まだ若いのに大変ねってみんなに言われるんだ…。
「帽子をかぶってはいるが、越前の髪質、頭皮の様子から見てハゲる確率は10%未満といったとこだろう。」
「ほんと?!」
「ああ。間違いないよ。」
よかった…。
リョーマはビジュアルが良いからもしハゲたら『まだまだだね。』がキャッチフレーズの植毛広告に載りそうだ。
『植毛、してないの?…まだまだだね。』
みたいな。
「次に桃城だが…。」
桃ちゃんか。ハゲ始めたら潔くスキンヘッドにしそうだな…。
「50%だな。単純な性格を考えると精神的なものからくるハゲはまず有り得ない。」
うん。有り得ない。
「しかし、桃城は整髪料を毎日使用している。整髪料は頭皮と髪の毛に負担がかかる。このまま使用を続けていくと蓄積されて…額からハゲる。」
前からくるんだ。
桃ちゃんは今まさに、デッドオアアライブをさ迷ってるのね…。
「次は?」
「海堂だが…。」
海堂はハゲたらバンダナキャラをいいことに、頭をバンダナで隠し続けるだろう。そしたら不動峰の石田君とかぶる。
「ハゲる確率、65%。」
微妙だなぁ。
「海堂の場合、バンダナを常に付けている。蒸れて頭皮の毛穴が開いて抜けやすくなる。したがってツムジからハゲる。」
「リョーマの帽子は?」
「越前はマメにとったりしてるからさほどの影響はない。」
海堂の誕生日には通気性のいいバンダナをあげよう…。
「はい、次。」
「次は河村だ。」
タカさんはハゲてもかっこいいと思う。
むしろハゲた方がいい。
「ハゲる確率は5%未満ってとこだ。」
えぇ…残念。
「河村はああ見えて向上心がある。精神的にも髪質的にも問題はない。」
ハゲ頭でバーニングなんて渋くていいのにな…。
「何を落ち込んでいるんだ?次にいくぞ。英二だが…。」」
英二がハゲたら心底嫌だ。ハゲ具合にもよるがハゲたおっさんがニャーニャー言ってたら、それだけでセクハラだ。
キャバ嬢でも引くだろうに。
「ハゲる確率、10%未満だ。英二は一般男子に比べて女性ホルモンが多い。」
女性ホルモン?!
「目より上の毛は女性ホルモンの影響を受けているから英二はハゲないということになる。」
「その10%は??」
「英二の持つ男性ホルモンが女性ホルモンを上回る場合だ。と言っても、英二の男性ホルモンが少ないというわけではなく…」
「あ、もういいや。次。」
聞くのめんどくさい。
「そうか…。では次に大石だが、」
大石、か…。
もう彼の髪の話には触れたくない。
毎日凝視してるけどあれはありえない。
顔はいいのに…。
「大石は70%だ。」
「高いね。」
まぁなんとなく予想はできたけど…。
「大石のハゲる要因は精神的なものからくる。」
「胃薬常備だもんね。」
胃薬が友達みたいなものだしね。
「ちなみに大石は奇抜な髪形を好むことから、いわゆる"バーコードハゲ"になる確率が高い。」
ハゲても奇抜にってことか…。
本人はどこがおかしいのか気付かないまま終わるんだろうなぁ。
「最後に手塚だ。」
「あれ?不二は?」
「残念ながら、不二のデータは俺でさえ正確にとらせてもらえない。」
恐るべし不二周助。
不二はハゲるハゲないの以前に年をとらないんじゃなかろうか…。
「では手塚だが…。」
手塚はもう外見はもちろん、趣味、嗜好がおじさんだ。いや、おじいちゃんだ。
「ハゲる確率、80%…かな。」
「ふぅん。」
「おや?驚かないのか?」
驚くも何も覚悟はできていた。
「だって手塚のおじいちゃんもヅラだから。」
前に手塚の家に勉強を教わりに行った時に見た。
ハッスルおじいちゃんだった。
「そう。遺伝だ。頭が硬いのもハゲる要因になるな。手塚も額から序々に後退していくタイプだ。」
覚悟はしていたが、手塚がハゲ上がる姿は想像したくない。
手塚はああ見えてナイーブなところがあるから人知れず気にすることだろう。
ただでさえ他校の人達に"テヅラ"とか言われてるのに。
かわいそう…。
「以上だ。お役に立てたかな?」
「ねぇ、乾は?」
「…(ロ_ロ)」
ノートを閉じ、乾は去ろうとした。
「あ!ちょっと待って!」
その日、あたしは乾に頼んで増毛効果のあるドリンクを一緒に作ってもらった。
桃ちゃん、海堂、大石、手塚限定で。
明日さっそくドリンクに混ぜよう。
みんなが将来困らないように…。
「伝説のハジケリストは部員想いだな。」
乾が眼鏡を中指でくいっと上げた。
「ふふっ。完成楽しみだね!」
「ああ。」
それからあたしたちは夜遅くまでドリンク作りに試行錯誤した。
終わり
[後書き]
バイト先の社長の髪が薄かったんですけど、ある日久しぶりに見たら明らかに増えてたので植毛、もしくはヘアコンタクトしたのではという疑惑が。そこから思い付いた話です。