氷帝生活
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「幸村ぁ~(T□T)」
「いらっしゃい。今日はどうしたの?」
あたしはその日に何かあったときは、必ず一人で幸村に会いに行く。
どんな時でも幸村はいつも笑顔で迎えてくれる。
「真田にゴリラに似てる言ったらゲンコツされた!頭ズキズキする~!」
「よしよし。痛かったね。」
幸村の大きい手があたしの頭を優しく撫でる。
「そうだ…。林檎があるんだ。食べる?」
「うんvV」
そう言うと幸村は籠から林檎を取り、引き出しから果物ナイフを取り出した。
「あ、あたしが切るよ!」
「ありがとう。」
いつも話聞いてもらったりしてるんだからそれくらいしなきゃと思い、意気込んで幸村から林檎とナイフを受け取った。
受け取ったはいいけど…。
林檎ってどうやって剥くんだっけ…??
「どうしたの?俺が切ろうか?」
「ううん!これくらい出来るから!」
自慢じゃないがあたしは相当不器用だ。
(確か回しながら剥くんだよね…。)
「手、切らないように気をつけてね?」
幸村が見守る中、あたしの初体験、林檎の皮剥きが始まった。
『シャリッ…シャリッ』
「上手だね。」
「そ、そお?」
剥いているというよりも、削いでいる感じだ。
明らかに手つきがヤバイが、幸村は微笑んでいる。
どんどん林檎が小さくなっていく…。
―10分経過―
「おいしそうだね。いただきます。」
「いただきます…。」
一通り剥けたし切れたけど林檎が小さくなってしまった。
実が黄色というか茶色に変色しきっている。
「伝説のハジケリストはいいお嫁さんになると思うな。」
変色した林檎をサクサク食べながら幸村が言った。
幸村の口から林檎が跳んだのを、ついつい目で追ってしまった。
「そお??林檎もまともに剥けないのに?」
あたしの目線に気付いたのか、幸村は口から出た林檎をごまかすように手で隠した。
「ちゃんと剥けてるじゃないか。それに…」
「それに…?」
幸村が爪楊枝を皿に置いた。いつの間にか林檎が全部無くなっていた。
イリュージョンだ。
「伝説のハジケリストといると飽きない。いつも表情がクルクル変わるからね。」
「結婚関係ないじゃん。」
「関係あるよ。例えば仕事から疲れて帰ってきた時に、伝説のハジケリストが待っててくれて、おかえりって迎えてくれる。」
「??」
何が言いたいのか分からなかったので、幸村の使用済みの爪楊枝を眺めていた。
先っぽ折れてる…。
「つまりね…、」
幸村があたしの手を握った。
「伝説のハジケリストが待っててくれたら、一緒にいてくれたら、頑張ろうって思えるんだ。」
幸村の目は真剣で、あたしを捕らえて離さない。
しかし…
「それって男にとって、かなり重要なことなんだ。」
「………。」
「…驚かせてごめんね。今日はもう遅いから帰った方がいい。」
幸村はあたしの手をそっと離した。
「うん…。じゃ…また来るから…。」
あたしは幸村の病室を後にした。
「やっぱりね…。」
幸村に握られていた手の甲を見ると、先ほど幸村の口から飛び出た林檎が付いていた。
「ずっと気になってたんだよねー。で、幸村何の話してたっけ?ま、いっか!」
(少しは気付いてくれたよね…。次会うときちょっと照れくさいな。)
自分が奨めた林檎によって話の半分以上を聞かれてなかったなんて夢にも思わない。
幸村精市、思春期真っ盛りの秋。
終わり
[後書き]
えー、サンからのリクなんですが…。ゆっきーはとても難しいことが判明。
こんなんですみません!