氷帝生活
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「…でぃっきし!!…ひぃっきし!!…あー。」
「とても豪快なくしゃみですね。」
気の毒なことに、真ん前にいた柳生の顔面にあたしの汁等がかかった。
「あー、ごめん。」
「生理現象ですから。」
白いハンカチで顔についた汁を拭く柳生。
押さえるようにして拭いている。
「伝説のハジケリスト先輩風邪っスか?」
「ううん。ムズムズしただけ。くしゃみってさー、気持ちがいいけど滅多に出ないよね。」
「いや、自分でくしゃみをすることは可能だ。」
柳が部室にあるティッシュ箱を机に置いた。
「"こより"ですか…。」
「なるほどねー!」
「"こより"って何スか?」
「まぁ見ていろ。」
柳はティッシュを一枚取ると、細長くちぎり親指と人差し指でくるくると丸めて糸状にした。
「これが"こより"だ。」
この場にいた皆、つまり赤也、柳生、あたしは各自こよりを作った。
「で、どーすんの?」
「これで鼻孔を刺激する。そうすればくしゃみが出る。」
「何をしているんだ?」
真田が来た。なんか今日は機嫌がよさそうだ。
「自分の力でくしゃみが出るかやろうとしてたとこ。真田もやる?」
「うむ。おもしろそうだな!」
「ただやるだけではおもしろくないな。こう…」
「じゃあさ、一番最初にくしゃみ出た人が勝ちってのはどう?」
柳は悪魔のような提案をしかねなかったので断ち切った。
「一番最後まで出なかった人はどうなるんスか?」
「一番の人の命令を一つ聞くというのはどうでしょうか。」
柳生もあなどれない。命令願望をここにきて垣間見せた。
「よし、それでいこう。」
何に対してもやる気満々な真田。
各自再びこよりを手に持った。
「よーい…始め!」
こうして意味不明で地味な戦いが始まった。
今、あたしの目の前には凄い光景が広がっている。
なんてったって皆、鼻をほじっているのだ。
柳生は紳士らしく鼻を手で覆い隠している。
赤也はツボが見つかったのか、ずっと明後日の方向を見つめている。
柳はまぁいつものとおり。こよりで鼻をほじっていないかのようだ。
真田は右と左を交互にせわしなくこよりを入れ換えている。
もちろん皆無言。
メンツがメンツなので何を命令されるか分かったもんじゃないのであたしも一生懸命ツボをさぐる。
「…ックシュ。」
「「「?!Σ( ̄□ ̄;)」」」
「早っ!!」
「コツがあるんだ。まぁ今日はいつもより0.2秒ほど遅かったが…。」
いつもやってんの?!
あぁ…柳が命令するんだ…。これは絶対負けられない。あたしは新に決意を胸にし、こよりを握る手を強めた。
―5分経過―
「…くしゅん!」
柳生2抜け。
赤也の手の動きが変わった。さっきまでは円を描くような感じだったのに上下に出し入れし始めた。
目線は以前と変わらず明後日だ。
真田は…Σ( ̄□ ̄;)
こっち見てる!ガン見してる!
恐……!!
結局右の穴にしたんだ。
―10分経過―
「…はっくしょーい!!」
赤也3抜けかぁ………って…え?!(◎o◯;)
鼻血が出てる!!深く入れすぎたんだ!
赤也の座っていた場所に鼻血混じりの汁が飛び散った。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫っス!あー、危なかった~!」
「残るは弦一郎と伝説のハジケリストか…。」
負けらんねー!!つーか真田まだこっち見てるし!真顔なのが恐すぎるし!
あ…あたしもうちょっとだ…。(*´‥`*)
「真田副部長、伝説のハジケリスト先輩のことめっちゃ見てません?」
「きっと集中しているんだろう。」
―15分経過―
「…ぶはぁっくしょーい!」
「…ふぃっきしっ!」
同時だった。
ちなみに上があたしで下が真田だ。
「同時…ですね。」
「ねぇ、同時の場合はどうするの?」
あたしは飛んだ汁を拭いた。どうでもいいけど机が汁まみれだ。
「そうだな…二人いっぺんに命令をきいてもらおうか。」
「よかろう。」
やたら素直な真田。潔いのか何なのか。
「柳ー、お手柔らかにお願いねー。」
あぁ…恐い。何を言われるのやら…。
「制服を交換しろ。」
「「「!!(O□O;)」」」
「蓮二…し、正気か?!」
「ああ、至ってな。」
なんてことを…!真田があたしの制服を?!
線香臭くなりそうで嫌なんだけど…。
「弦一郎、これは勝負なんだ。諦めろ。」
「つーかあたしが嫌なんだけど!!」
「伝説のハジケリストも諦めろ。負けは負けだ。」
王者立海大に負けは許されない。
あたしたちは渋々制服を交換した。
柳に写真を、赤也に写メを撮られた。
ブカブカの真田の制服を着たあたしと、丈の短いスカートをはいた真田を。
「たるんどる!!」
終わり
[後書き]
くしゃみっていいですよね!