氷帝生活
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『叩いて被ってジャンケンポイ!』で忍足に負けたあたしは今日のお昼をおごらなければならない。
いい勝負だったんだけどなぁ。
「うわー。学食ヤバイ混んでるよ。」
「お前がモタモタしとるからや…。しゃあないな。購買で何か買うて部室で食うか…。」
「そしたらマッハ食いしないとだめじゃん。もういい時間だし。5時間目に間に合わないよ?」
「ええやん…。5時間目潰してゆっくりしよ…。」
「…その話のった!」
要するにあたしたちはサボることになる。
まぁよくあることだ。
購買で大量の食糧を購入し、部室に向かった。
「重!!あんた!せめてお菓子の袋と飲み物の袋交換してよ!つーか買い過ぎだろコレ!」
「大丈夫やって…。俺より力あるんやし…。なんやかんや言って全部食うんやろ…?」
「あってたまるか!食ってたまるか!くっそー!覚えてろよ!」
「女の子がくそ言うたらあかん。…ほら。着いたで…?」
女の子に重い方の荷物を持お前があかんと思う。
「疲れたー。(; ̄Д ̄)」
「お疲れさん。」
ビニールの中から忍足は鮭おにぎりとお茶、あたしはハムサンドと麦茶を取り出した。
「昨日な…、部活終わった後岳人と帰ってん…。そんでな、本屋に寄ったらバスケ部のキャプテンがおってん…。」
「バスケ部のキャプテンってあの割とモテる人でしょ?名前知らないけど。」
「まぁ…俺には負けるけどな…。編み物の本買ってたで。」
「今から?彼女にプレゼントかな。いいなー。」
「…普通逆やないの?」
「男子の手作りって嬉しいもんだよ。」
(…シクシク…ズズッ。)
…えっ。
「ねぇ、今啜り泣く声みたいなの聞こえなかった?」
「別に…。気のせいちゃうの?」
忍足の唇に海苔が張り付いているけど黙っとこう。
(…くすくす。)
「Σほらー!今度は笑ってる!やばいよ!何かいる!」
「ついに幻聴が聞こえるようになってしもうたんか…。前からヘンな奴やと思ってたけど…。」
「失礼な!貴様に言われたくないし。ね、見てこようよ!隣の部屋からだよ!絶対何かいるって!」
「貴様言うなや…ιハイハイ…。」
ソファのある部屋を覗くと、
「誰もおらんな…。」
「えっ!やだ!幽霊?!」
何か出たら忍足をオトリにして逃げられるように制服の袖を強く握った。
(…すぴー。…すぴー。)
忍足がソファに歩み寄る。
「ジローやん…。」
「ジロー?!」
あたしもソファのとこまで駆け寄り忍足に並んで見るとジローが寝ていた。額にうっすら汗をかいている。
「ジローだ…。なんだ、びっくりした。」
「人騒がせなやっちゃなー。戻ってメシ食お…。」
「うん。」
暑いとかわいそうなのでドアを開けておいた。
「でもさ、さっきなんで泣いてたんだろう。怖い夢でも見たのかな?」
「あいつに怖いもんなんてあるん…?」
確かに・・・。監督をプロレスごっこに誘うくらいだし。
「…それでE~。」
「また何か言ってるよ。」
「それでって…なにでええんやろな?」
「さぁ…?」
「…モスラが…そこ…。」
「今度はモスラかい…。どんな夢見てんねんホンマ…。」
「"モスラがそこまで来ているよ"って言いたいんでしょ?きっと。ジローらしいっちゃらしい寝言だね。」
「だったらさっきの寝言は武器とか決めてたんちゃう?」
「"俺それでE~や"とかってね。」
「…っははははは!!!」
「笑ってる。モスラに勝ったのかな?」
「モスラは人間の味方ちゃうのん…?」
「そうなの?」
「…俺もいれて…?」
「何にだろ?」
「乱交…やろ。」
「お前と一緒にするな。モスラの巣に入れて欲しいんじゃない?」
「どないやねん…。」
「…スッバラC~☆」
「ほら!巣の中は素晴らしいって言ってるじゃん!」
「裸体を見た感想かもしれないやん…。」
「脱がせてみたら思ったよりすごかったってか!アホか!ジローはモスラの夢見てんの!」
「分からんで?」
「分かるもん!」
「絶対エロい夢やて…。しかし今のお前のノリツッコミ…イケてたで。」
「ありがとう。でもモスラドリームは絶対譲らないからね!」
「起こして本人に確かめたらええことやん…。」
「確かに!」
「朝ですよー!!」
ジローを力いっぱいゆすったが全く起きない。
「もう!部活まで起きないんじゃない?!」
「せやな…。部活始まってもいつ起きてくるか分からんもんな…。」
「この寝太郎が!これでどうだ!」
ジローの口にロールパンをを詰め込み鼻をつまんだ。
「Σちょっ…!やりすぎやって!死んでまうって!」
無情にも部活が始まり、結局ジローは最後まで起きなかった。
部室から姿が消えていたので移動してまたどこかで寝たに違いない。
その日の夜、忍足との討論のメールと電話の繰り返しで眠れなかった。
「絶対エロドリームやって…。」
「モスラって言ってんでしょ!エロメガネ!メガネエロ!」
終わり
[後書き]
人の寝言って気になりますよね。私の弟も寝ながら普通に話してます。次の日聞いてもどんな夢見てたか覚えてないんですよ。
気になります。