氷帝生活
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授業と授業の間の休み時間、あたしは顔を横にして机に突っ伏していた。
なんかおもしろいことないかなーなんて考えていると、前の席の友達があたしのほっぺをつまんだ。
「何よ。」
されるがままに尋ねた。
「ほっぺ柔らかいとエロいらしいよ。あんた柔らかいから言うまでも無いけどエロだわ。」
ちょっと興味ある内容に、思わず状態を起こして食い付いた。
「マジで?」
試しに友達のほっぺを掴んで確認した。
…
……柔らかい!
これは使えると確信した。
「ほんとだ!あんたもエロいから柔らかい!」
「だしょ?」
「………よし、いいこと思い付いた!」
何を思い付いたかというと、マネージャーとしてレギュラー陣のエロさを調べようと、そんな事。しかし部員のアレコレを把握するのも、マネージャーの勤めというものだ。
授業が終わって昼休み。メモとペンを持って宍戸の元へ向かった。
なぜいトップバッターが宍戸かというと、それは宍戸が一番まっとうな思春期ボーイだからだ。
調査するにあたり、調査基準を決めなければならない。そこであの中で唯一、一般的な男子生徒であろう宍戸を調査基準とするのが妥当だと考えた。
「宍戸!ちょっと。」
「おう、何か用か?」
「あたしがいいって言うまで目ぇ閉じてて。」
「は?なんでだよ。」
宍戸は明らかに疑わしいといった目で見てきた。単純なくせして慎重だから不器用なんだこの男は。
「お前のことだから変なこと企んでるんだろ。」
「いいじゃん。細かいこと気にしてるとハゲますよ?ほら!もう!早く!クローズユアアイズ!!」
「わかったよι閉じりゃあいいんだろ?ったく。」
観念した宍戸がしっかりと目を閉じたのを確認し、ほっぺに手を伸ばす。
…むにっむにっ。
宍戸のほっぺは柔らかくも硬くもない。
50エロってとこだ。
至って普通であり、まさに標準と言えよう。
宍戸を基準に選んだあたしは頭がいいと思った。この感触を忘れないようにしなければならない。
「はい、いいよ!」
「なんなんだよ、お前ι」
「まぁいいじゃん。じゃ、後でね!」
これ以上何か聞かれても困るので、足早に宍戸の元から去った。
さて、次は誰にしようか。時間も無いことだし、今いる場所から近いクラスにいる奴にしようと考えた。
ここから近いのは跡部のクラス。
それなら跡部の元へ行こうと廊下を歩いていたら、揺れるオカッパがっくんがいた。
これは丁度良い。
「あらがっくん、ちょっとヨロシ?」
「なんだ?これからサッカーしに行くから用なら手短にな!」
「瞳を閉じろ。」
「本当に手短だなιいいけど…ハイ。」
さぁ、がっくんのあだ名がエロミソになってしまうのか、いざ確かめん!
…むにむに。
あまり柔らかくない。
がっくんはエロより宙返りしてる方がきっと楽しいんだろう。それなりに興味はあるだろうけど、アイズとかボーイズビーで充分なんだ。そうなんだ。
向日岳人、30エロ。
「なんだよソレ!俺にも触らせろよ!」
「別にいいけど。」
…むにぃ~。
「うおー!柔らけー!餅みてー!」
「そう?」
「おう!じゃ、俺行くわ!」
あたしに仕返しして気が済んだがっくんは、ピョンピョンしながら駆けていった。
次のターゲットである跡部の教室に行ったが、跡部はいなかった。クラスの子に聞いたところ、どうやら生徒会室にいるらしい。そこまで行くのはいくら何でもダルいので、後回しにすることにした。
移動中、ふとフルーツオレが飲みたくなり、自販機向かった。
いざフルーツオレを買おうとボタンを押そうとしたその時
「伝説のハジケリスト先輩こんにちは!またフルーツオレですか?」
「Σひっ?!」
びっくりして隣のカロリーメイトを押してしまった。
「長太郎!あんたいきなりなんなのさ!間違えたじゃん!あー、あたしのフルーツオレが…(;_;)」
「すっ、すみません!俺買いますから!」
…ニヤっ。
「まぁいいわ。そのかわり、ほっぺ触らせてくれない?」
「ほっぺ…ですか?構いませんけど…ちょっと恥ずかしいなぁ///」
氷帝一の爽やかシャイボーイ、果たして何エロだろうか…。
長太郎に屈んでもらいほっぺを触る。
…む~にむに。
これは柔らかいΣ( ̄□ ̄;)!!
なんかちょっとショック…。
長太郎むっつり疑惑浮上で70エロ。
長太郎が立派な男子だということが証明された今日、お赤飯でも炊きたい気分だ。
「ありがとう。」
「いえ!///」
若干顔が赤らんでいた。ほっぺ一つでこうなるとはさすがムッツリだと思った。
「また触りたくなったらいつでもどうぞ!ではまた部活で!」
小走りで去る長太郎を見送りながら、いやいや、いつでもどうぞって!と心の中で突っ込んだ。
「つーかカロリーメイトどうしよう。これ超不味いんだよねー。」
カロリーメイトの処理に困っていると、昼休み終了のチャイムが鳴った。
「次何だっけ?まぁいいや、だりーからサボろう。」
あたしはさぼるべく、カロリーメイトを握りしめ屋上に向かった。
「気持ちいー!」
エロ少年達を庇うかのように、風が爽やかに吹いている。
一つ深呼吸し、とりあえずメモに先ほどの調査結果を書き込もうとメモを取り出そうとしたその時、耳元で地を這うギリギリのような低音ボイスが聞こえた。
「伝説のハジケリストやん…。自分もサボリ?」
「おおお、オシタリ?!Σ( ̄□ ̄;)」
「んな驚かんでもええやん…。」
「完全に人の気配しなかったし!そしてくっつくな!オシリタリ!」
「シリ言うなや…ιなんなん…?そんなに尻触ってほしいんか…。」
「あんた自体が尻だって言ってんの!」
「どないんやねん…。」
閃いた。
「ウソウソ!触ってほしいんじゃなくておっしーのを触りたいのよ。」
「尻をか?なんや自分…今日はやけに積極的やな…。」
「違うから!いいから目ぇ閉じて?」
「しゃあないなぁ…。ん。」
こいつは調べるまでもないと思ったが一応、チャンスも作ったし調査に入る。
…むにっむにっ。
あれ…?
あたしは自分の手の感触を疑った。
自他共に認めるマックスエロ忍足が、長太郎とあまり変わらない。
「なんや…触りたいってほっぺなん…?唇に唇で触れたいとかじゃ…」
「ちょっと黙ってて。」
慎重かつ冷静に見積もって70エロ。
これはおかしい。忍足のキャラが曖昧になった瞬間だ。
「忍足、あんたは全てにおいて伊達だよ。」
「言ってる意味がさっぱりわからんねんけど…。ところでそのメモなんなん?」
目ざと!!
「別に。」
「ふーん…。」
見られて気まずくなり、あたしはさり気なくメモを後ろに隠した。
「あ!うまい棒落ちとる!」
「えっ!どこ?!何味?!」
うまい棒大好きでパック買いするあたしは忍足の指差す方へ、つまり180゚後ろに向いてしまった。
うまい棒など落ちていないと分かった時にはすでに、メモは取られていた。
「中、見させてもらうわ…。」
「騙したな!まぁそれは見てもいいけどさ。」
「見てええんかい!…もったいぶりおって。」
逆ギレ気味の忍足は、無表情のままあたしの書いた調査結果を見た。
「なんやのこれ…。ほっぺ関係あんの…?ええか?男はみんなエロい狼なんやで…?」
「その狼具合を調査しようと思って。ほっぺの柔らかさイコールエロは友達で実証済みだから!」
「で…、俺は伝説のハジケリスト計算で何エロなん…?」
「それがさー、期待を裏切るようにたった70エロ!」
「そうか…。これでよう分かったやろ…?俺が紳士的な大人のエロやて…。」
そう言いながらあたしの腰を引き寄せ、長い指で顎をくいっと上げてきた。
忍足の顔がアホみたいに近いので、あたしはここぞとばかりにまじまじと見てやった。
忍足を見つめて数秒。思い付いてしまった。
食い倒れ人形実写版!!ハリウッド進出!タイトルは『大阪ラプソディー~いつまでも太鼓は叩けへん~』
そしてこれはその映画のラブシーン。もう太鼓じゃなくてマラカスに変えて欲しい、お前の力が必要だ、これはそういうシーンだ、なんて考えてたら笑いが込み上げてきた。
「このまま…ええことする…?」
ええこと!食い倒れ人形的ええことって!
脳裏にあの何とも言えない衣装で小太鼓前にぶら下げて、スティックで叩きながら、そして涙を浮かべながらキョロキョロしている忍足が浮かんだ。
「ぶはっ!」
堪えきれず吹き出してしまった。
「あんた犯罪的におもしろすぎ!主演男優賞でこれあげる!」
「カロリーメイト…?しかもぬるいやん…。」
「そろそろ部活だから行くね!あたし準備あるし。」
「ちょっ…続きは?」
「上映まで楽しみにしとく!じゃーねー!」
あたしは爆笑したい衝動を拭い去るかのように走って、屋上を後にした。
「上映って…なんのこっちゃ…。」
部室に向かう途中、うす笑いが止まらないまま歩いていたら跡部と樺地が前からやってきた。
「何一人で笑ってやがる。ついに完璧に頭がイっちまったか?アーン?」
お前にだけは言われたくないというのが正直な気持ちだ。
「いや、忍足がハリウッドデビューするって話…笑わずにはいられないよ。ぷっ、あはは!!な、樺地。」
「ウス。」
「Σこいつに合わせるんじゃねぇ!ったく…行くぞ樺地。」
「ちょっと待って!動かないで!」
「アーン?」
そういえば跡部を捜していたんだということを思いだし、咄嗟にヘンな止め方をしてしまった。どうしよう。
「いい?絶対動いちゃだめ。動いたら…。」
「動いたらどうなるんだよ。」
「動いたらほら、ねぇ?」
どうしたものか。お目当ての実験対象をみすみす逃したくない。なんとか跡部を引き付けなければ!
「…分かったよ。俺様ともっと一緒にいたいんだろ?ククク。しょうがねぇな…あと3分ここにいてやるよ。」
断じて違うけどラッキー♪
「じゃ、目ぇ閉じて?」
「フッ。…こうか?」
やけに素直で気味が悪いと思いつつも、あたしは跡部の頬に手を伸ばした。
(ククッ。やっと俺様に落ちたか。長い道のりだったぜ…。お前の顔が近づいたとき俺様からキスをしてやるよ。たっぷりと濃厚なベーゼだ。さぁ、こい!)
…むにぃ~。
(なんだ?俺様の玉のような肌を堪能してやがるのか?それとも照れ隠しか?ふっ、かわいいやつめ。さぁ!早くきやがれ!俺様の舌技に酔わせてやるぜ!)
90エロ!
さすが跡部、200人の頂点に立っているのは伊達じゃない。紳士ぶっててむっつりだったとは…。
今まででトップなので、この調子でここでも頂点狙ってほしいもんだ。いや、決定だろう。
あたしは再び急いで部室へ向かった。樺地のほっぺを触るの忘れたけど純粋すぎる彼のことだから心配いらない。
でも、念のため後で触ってみようと思う。
部室のドアを開けてソファーに腰掛けようと目を向けるとジローが寝ていた。
無邪気に眠る、天使がここにいた。
「やーんvVかわい~。いつもながら癒されるわー…。」
………
「Σはっ!調査しなくては!」
しばしジローの天使のような、いやいや天使そのものの寝顔に見とれてしまっていた。
「でもジローに限って…ねぇ?だってこぉーんなにかわいらしくてあどけないのに…。」
何の疑いも持たず、寝ているジローのほっぺに手を伸ばした。
「いやーんvV超すべすべしてるー(´▽`)」
…じゃなくって!
「いざ!」
…むにぃ~むにぃ~。みょ~ん。
!!!!!Σ( ̄□ ̄;)
あたしは自分の手の感触を疑った。
跡部よりも遙かにやっこいではないか。
いつも「マネージャーひざ枕してー☆」とか「マネージャー柔らかくて気持ちE~♪」とか無邪気に抱き着いてきたりしたのは計算づくだったのだろうか。
天使、それはジロー。
ジロー、それは天使。
あたしは財布を落としたよりショックで、その場に崩れ落ちた。
「今日なんかしらねーけど伝説のハジケリストにほっぺつかまれてよ。」
「あ、宍戸さんもですか?俺も触られました。」
どうやら宍戸と長太郎が部室に入ってきたみたいだ。基準とむっつり赤飯コンビだ。
「「Σうわ!!」」
二人の目に入ったのは寝ているジローの横で朽ち果てているあたしの姿だった。
そんなの知るか。こっちはジローが亀仙人級のドエロという一大事なんだ。
「なんや…入口で止まりおって…。」
「なんだなんだ?」
続いて忍足とがっくんが入ってきた。
「あ、こんにちは!えと…伝説のハジケリスト先輩が…その…。」
長太郎が困ったように忍足と岳人に、目の前に広がる光景を見せた。あたしが朽ちている姿を、「右手に見えますのが~です」みたいな手付きで二人に紹介していたのが見えた。
「あぁ…、あれか。ここは俺に任せとき…。」
すると忍足はあたしに近寄り、肩に手を優しく置いて話し始めた。
「なぁ…だから言うたやろ?男はみんな狼やて…。ジローかてそや…。エロ本も見ればAVも見てんねん…。こいつも男ってことやんなぁ…。」
「…っ!!違うもん!ジローの場合は違うもん!赤ちゃんみたいな肌なだけだもん!」
あたしは忍足を睨んだ。この食い倒れ!
「せやかて『ほっぺの柔らかさイコールエロは実証済み』って言うたのお前やん…。ええかげん認め。」
「それで俺達のほっぺた触ってたってことか。」
「結果がちょっと気になりますね!」
噂のBLコンビはこの際無視し、あたしは色々考えてみた。ジローのこと、エロという概念、男とは何か。
「そうだよね。こんなに無邪気でかわいらしいのにエロいってとこが萌えるよね。たまんないよね。」
「は…?」
「いやだから、普段天使だけど、いざって時はオオカミなんでしょ?ドキドキしない?」
忍足は眼鏡を中指でくいとあげ、ため息をついて立ち上がった。
「なぁ、あいつが一番エロいんじゃねぇのか?」
「Σえぇ?!(〃□〃 )伝説のハジケリスト先輩が?!何てこと言うんですか宍戸さん!…いやでもそれはそれで…///」
長太郎がモジモジし、忍足が呆れかえっていると、今まで黙っていた岳人が口を開いた。
「俺あいつのほっぺ触ったんだよ、昼休みに。そしたらすげー柔らかかったぜ?つきたての餅みてーな。」
「おい、恥ずかしいのは分かるがいつまで待たせやがる。俺からしてもいいんだぜ…?」
「…伝説のハジケリスト先輩…もう、いません…。」
終わり
[後書き]
乱文駄文のくせにかなり長くなってすみませんm(__)mほっぺ柔らかいとエロいって小、中学生のときに流行りませんでした??
なんかおもしろいことないかなーなんて考えていると、前の席の友達があたしのほっぺをつまんだ。
「何よ。」
されるがままに尋ねた。
「ほっぺ柔らかいとエロいらしいよ。あんた柔らかいから言うまでも無いけどエロだわ。」
ちょっと興味ある内容に、思わず状態を起こして食い付いた。
「マジで?」
試しに友達のほっぺを掴んで確認した。
…
……柔らかい!
これは使えると確信した。
「ほんとだ!あんたもエロいから柔らかい!」
「だしょ?」
「………よし、いいこと思い付いた!」
何を思い付いたかというと、マネージャーとしてレギュラー陣のエロさを調べようと、そんな事。しかし部員のアレコレを把握するのも、マネージャーの勤めというものだ。
授業が終わって昼休み。メモとペンを持って宍戸の元へ向かった。
なぜいトップバッターが宍戸かというと、それは宍戸が一番まっとうな思春期ボーイだからだ。
調査するにあたり、調査基準を決めなければならない。そこであの中で唯一、一般的な男子生徒であろう宍戸を調査基準とするのが妥当だと考えた。
「宍戸!ちょっと。」
「おう、何か用か?」
「あたしがいいって言うまで目ぇ閉じてて。」
「は?なんでだよ。」
宍戸は明らかに疑わしいといった目で見てきた。単純なくせして慎重だから不器用なんだこの男は。
「お前のことだから変なこと企んでるんだろ。」
「いいじゃん。細かいこと気にしてるとハゲますよ?ほら!もう!早く!クローズユアアイズ!!」
「わかったよι閉じりゃあいいんだろ?ったく。」
観念した宍戸がしっかりと目を閉じたのを確認し、ほっぺに手を伸ばす。
…むにっむにっ。
宍戸のほっぺは柔らかくも硬くもない。
50エロってとこだ。
至って普通であり、まさに標準と言えよう。
宍戸を基準に選んだあたしは頭がいいと思った。この感触を忘れないようにしなければならない。
「はい、いいよ!」
「なんなんだよ、お前ι」
「まぁいいじゃん。じゃ、後でね!」
これ以上何か聞かれても困るので、足早に宍戸の元から去った。
さて、次は誰にしようか。時間も無いことだし、今いる場所から近いクラスにいる奴にしようと考えた。
ここから近いのは跡部のクラス。
それなら跡部の元へ行こうと廊下を歩いていたら、揺れるオカッパがっくんがいた。
これは丁度良い。
「あらがっくん、ちょっとヨロシ?」
「なんだ?これからサッカーしに行くから用なら手短にな!」
「瞳を閉じろ。」
「本当に手短だなιいいけど…ハイ。」
さぁ、がっくんのあだ名がエロミソになってしまうのか、いざ確かめん!
…むにむに。
あまり柔らかくない。
がっくんはエロより宙返りしてる方がきっと楽しいんだろう。それなりに興味はあるだろうけど、アイズとかボーイズビーで充分なんだ。そうなんだ。
向日岳人、30エロ。
「なんだよソレ!俺にも触らせろよ!」
「別にいいけど。」
…むにぃ~。
「うおー!柔らけー!餅みてー!」
「そう?」
「おう!じゃ、俺行くわ!」
あたしに仕返しして気が済んだがっくんは、ピョンピョンしながら駆けていった。
次のターゲットである跡部の教室に行ったが、跡部はいなかった。クラスの子に聞いたところ、どうやら生徒会室にいるらしい。そこまで行くのはいくら何でもダルいので、後回しにすることにした。
移動中、ふとフルーツオレが飲みたくなり、自販機向かった。
いざフルーツオレを買おうとボタンを押そうとしたその時
「伝説のハジケリスト先輩こんにちは!またフルーツオレですか?」
「Σひっ?!」
びっくりして隣のカロリーメイトを押してしまった。
「長太郎!あんたいきなりなんなのさ!間違えたじゃん!あー、あたしのフルーツオレが…(;_;)」
「すっ、すみません!俺買いますから!」
…ニヤっ。
「まぁいいわ。そのかわり、ほっぺ触らせてくれない?」
「ほっぺ…ですか?構いませんけど…ちょっと恥ずかしいなぁ///」
氷帝一の爽やかシャイボーイ、果たして何エロだろうか…。
長太郎に屈んでもらいほっぺを触る。
…む~にむに。
これは柔らかいΣ( ̄□ ̄;)!!
なんかちょっとショック…。
長太郎むっつり疑惑浮上で70エロ。
長太郎が立派な男子だということが証明された今日、お赤飯でも炊きたい気分だ。
「ありがとう。」
「いえ!///」
若干顔が赤らんでいた。ほっぺ一つでこうなるとはさすがムッツリだと思った。
「また触りたくなったらいつでもどうぞ!ではまた部活で!」
小走りで去る長太郎を見送りながら、いやいや、いつでもどうぞって!と心の中で突っ込んだ。
「つーかカロリーメイトどうしよう。これ超不味いんだよねー。」
カロリーメイトの処理に困っていると、昼休み終了のチャイムが鳴った。
「次何だっけ?まぁいいや、だりーからサボろう。」
あたしはさぼるべく、カロリーメイトを握りしめ屋上に向かった。
「気持ちいー!」
エロ少年達を庇うかのように、風が爽やかに吹いている。
一つ深呼吸し、とりあえずメモに先ほどの調査結果を書き込もうとメモを取り出そうとしたその時、耳元で地を這うギリギリのような低音ボイスが聞こえた。
「伝説のハジケリストやん…。自分もサボリ?」
「おおお、オシタリ?!Σ( ̄□ ̄;)」
「んな驚かんでもええやん…。」
「完全に人の気配しなかったし!そしてくっつくな!オシリタリ!」
「シリ言うなや…ιなんなん…?そんなに尻触ってほしいんか…。」
「あんた自体が尻だって言ってんの!」
「どないんやねん…。」
閃いた。
「ウソウソ!触ってほしいんじゃなくておっしーのを触りたいのよ。」
「尻をか?なんや自分…今日はやけに積極的やな…。」
「違うから!いいから目ぇ閉じて?」
「しゃあないなぁ…。ん。」
こいつは調べるまでもないと思ったが一応、チャンスも作ったし調査に入る。
…むにっむにっ。
あれ…?
あたしは自分の手の感触を疑った。
自他共に認めるマックスエロ忍足が、長太郎とあまり変わらない。
「なんや…触りたいってほっぺなん…?唇に唇で触れたいとかじゃ…」
「ちょっと黙ってて。」
慎重かつ冷静に見積もって70エロ。
これはおかしい。忍足のキャラが曖昧になった瞬間だ。
「忍足、あんたは全てにおいて伊達だよ。」
「言ってる意味がさっぱりわからんねんけど…。ところでそのメモなんなん?」
目ざと!!
「別に。」
「ふーん…。」
見られて気まずくなり、あたしはさり気なくメモを後ろに隠した。
「あ!うまい棒落ちとる!」
「えっ!どこ?!何味?!」
うまい棒大好きでパック買いするあたしは忍足の指差す方へ、つまり180゚後ろに向いてしまった。
うまい棒など落ちていないと分かった時にはすでに、メモは取られていた。
「中、見させてもらうわ…。」
「騙したな!まぁそれは見てもいいけどさ。」
「見てええんかい!…もったいぶりおって。」
逆ギレ気味の忍足は、無表情のままあたしの書いた調査結果を見た。
「なんやのこれ…。ほっぺ関係あんの…?ええか?男はみんなエロい狼なんやで…?」
「その狼具合を調査しようと思って。ほっぺの柔らかさイコールエロは友達で実証済みだから!」
「で…、俺は伝説のハジケリスト計算で何エロなん…?」
「それがさー、期待を裏切るようにたった70エロ!」
「そうか…。これでよう分かったやろ…?俺が紳士的な大人のエロやて…。」
そう言いながらあたしの腰を引き寄せ、長い指で顎をくいっと上げてきた。
忍足の顔がアホみたいに近いので、あたしはここぞとばかりにまじまじと見てやった。
忍足を見つめて数秒。思い付いてしまった。
食い倒れ人形実写版!!ハリウッド進出!タイトルは『大阪ラプソディー~いつまでも太鼓は叩けへん~』
そしてこれはその映画のラブシーン。もう太鼓じゃなくてマラカスに変えて欲しい、お前の力が必要だ、これはそういうシーンだ、なんて考えてたら笑いが込み上げてきた。
「このまま…ええことする…?」
ええこと!食い倒れ人形的ええことって!
脳裏にあの何とも言えない衣装で小太鼓前にぶら下げて、スティックで叩きながら、そして涙を浮かべながらキョロキョロしている忍足が浮かんだ。
「ぶはっ!」
堪えきれず吹き出してしまった。
「あんた犯罪的におもしろすぎ!主演男優賞でこれあげる!」
「カロリーメイト…?しかもぬるいやん…。」
「そろそろ部活だから行くね!あたし準備あるし。」
「ちょっ…続きは?」
「上映まで楽しみにしとく!じゃーねー!」
あたしは爆笑したい衝動を拭い去るかのように走って、屋上を後にした。
「上映って…なんのこっちゃ…。」
部室に向かう途中、うす笑いが止まらないまま歩いていたら跡部と樺地が前からやってきた。
「何一人で笑ってやがる。ついに完璧に頭がイっちまったか?アーン?」
お前にだけは言われたくないというのが正直な気持ちだ。
「いや、忍足がハリウッドデビューするって話…笑わずにはいられないよ。ぷっ、あはは!!な、樺地。」
「ウス。」
「Σこいつに合わせるんじゃねぇ!ったく…行くぞ樺地。」
「ちょっと待って!動かないで!」
「アーン?」
そういえば跡部を捜していたんだということを思いだし、咄嗟にヘンな止め方をしてしまった。どうしよう。
「いい?絶対動いちゃだめ。動いたら…。」
「動いたらどうなるんだよ。」
「動いたらほら、ねぇ?」
どうしたものか。お目当ての実験対象をみすみす逃したくない。なんとか跡部を引き付けなければ!
「…分かったよ。俺様ともっと一緒にいたいんだろ?ククク。しょうがねぇな…あと3分ここにいてやるよ。」
断じて違うけどラッキー♪
「じゃ、目ぇ閉じて?」
「フッ。…こうか?」
やけに素直で気味が悪いと思いつつも、あたしは跡部の頬に手を伸ばした。
(ククッ。やっと俺様に落ちたか。長い道のりだったぜ…。お前の顔が近づいたとき俺様からキスをしてやるよ。たっぷりと濃厚なベーゼだ。さぁ、こい!)
…むにぃ~。
(なんだ?俺様の玉のような肌を堪能してやがるのか?それとも照れ隠しか?ふっ、かわいいやつめ。さぁ!早くきやがれ!俺様の舌技に酔わせてやるぜ!)
90エロ!
さすが跡部、200人の頂点に立っているのは伊達じゃない。紳士ぶっててむっつりだったとは…。
今まででトップなので、この調子でここでも頂点狙ってほしいもんだ。いや、決定だろう。
あたしは再び急いで部室へ向かった。樺地のほっぺを触るの忘れたけど純粋すぎる彼のことだから心配いらない。
でも、念のため後で触ってみようと思う。
部室のドアを開けてソファーに腰掛けようと目を向けるとジローが寝ていた。
無邪気に眠る、天使がここにいた。
「やーんvVかわい~。いつもながら癒されるわー…。」
………
「Σはっ!調査しなくては!」
しばしジローの天使のような、いやいや天使そのものの寝顔に見とれてしまっていた。
「でもジローに限って…ねぇ?だってこぉーんなにかわいらしくてあどけないのに…。」
何の疑いも持たず、寝ているジローのほっぺに手を伸ばした。
「いやーんvV超すべすべしてるー(´▽`)」
…じゃなくって!
「いざ!」
…むにぃ~むにぃ~。みょ~ん。
!!!!!Σ( ̄□ ̄;)
あたしは自分の手の感触を疑った。
跡部よりも遙かにやっこいではないか。
いつも「マネージャーひざ枕してー☆」とか「マネージャー柔らかくて気持ちE~♪」とか無邪気に抱き着いてきたりしたのは計算づくだったのだろうか。
天使、それはジロー。
ジロー、それは天使。
あたしは財布を落としたよりショックで、その場に崩れ落ちた。
「今日なんかしらねーけど伝説のハジケリストにほっぺつかまれてよ。」
「あ、宍戸さんもですか?俺も触られました。」
どうやら宍戸と長太郎が部室に入ってきたみたいだ。基準とむっつり赤飯コンビだ。
「「Σうわ!!」」
二人の目に入ったのは寝ているジローの横で朽ち果てているあたしの姿だった。
そんなの知るか。こっちはジローが亀仙人級のドエロという一大事なんだ。
「なんや…入口で止まりおって…。」
「なんだなんだ?」
続いて忍足とがっくんが入ってきた。
「あ、こんにちは!えと…伝説のハジケリスト先輩が…その…。」
長太郎が困ったように忍足と岳人に、目の前に広がる光景を見せた。あたしが朽ちている姿を、「右手に見えますのが~です」みたいな手付きで二人に紹介していたのが見えた。
「あぁ…、あれか。ここは俺に任せとき…。」
すると忍足はあたしに近寄り、肩に手を優しく置いて話し始めた。
「なぁ…だから言うたやろ?男はみんな狼やて…。ジローかてそや…。エロ本も見ればAVも見てんねん…。こいつも男ってことやんなぁ…。」
「…っ!!違うもん!ジローの場合は違うもん!赤ちゃんみたいな肌なだけだもん!」
あたしは忍足を睨んだ。この食い倒れ!
「せやかて『ほっぺの柔らかさイコールエロは実証済み』って言うたのお前やん…。ええかげん認め。」
「それで俺達のほっぺた触ってたってことか。」
「結果がちょっと気になりますね!」
噂のBLコンビはこの際無視し、あたしは色々考えてみた。ジローのこと、エロという概念、男とは何か。
「そうだよね。こんなに無邪気でかわいらしいのにエロいってとこが萌えるよね。たまんないよね。」
「は…?」
「いやだから、普段天使だけど、いざって時はオオカミなんでしょ?ドキドキしない?」
忍足は眼鏡を中指でくいとあげ、ため息をついて立ち上がった。
「なぁ、あいつが一番エロいんじゃねぇのか?」
「Σえぇ?!(〃□〃 )伝説のハジケリスト先輩が?!何てこと言うんですか宍戸さん!…いやでもそれはそれで…///」
長太郎がモジモジし、忍足が呆れかえっていると、今まで黙っていた岳人が口を開いた。
「俺あいつのほっぺ触ったんだよ、昼休みに。そしたらすげー柔らかかったぜ?つきたての餅みてーな。」
「おい、恥ずかしいのは分かるがいつまで待たせやがる。俺からしてもいいんだぜ…?」
「…伝説のハジケリスト先輩…もう、いません…。」
終わり
[後書き]
乱文駄文のくせにかなり長くなってすみませんm(__)mほっぺ柔らかいとエロいって小、中学生のときに流行りませんでした??