青学生活
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
部活が始まる前に、伝説のハジケリストに
「今日の帰り、時間ある?」
そう聞かれた。
今日は僕の誕生日。閏年に生まれたから四年に一度しかなくて、英二に「まだ三歳なの?」ってからかわれたりする。
だから毎年28日にお祝いしてもらってるんだけど、今年はその日がちゃんとある。
「うん、大丈夫だよ。」
期待、してもいいのかな。
君が僕のために、お祝いしてくれるって
「本当?!よかったー、じゃあ悪いんだけど、片付けがあるから待っててもらえるかな。」
「分かった。」
僕のことを、考えてくれてるんだって、思ってもいいのかな。
そんなことを考えながら、伝説のハジケリストと約束した場所、理科準備室で伝説のハジケリストが来るのを待っていた。
少し前なら、この時間になると日が完全に沈みきっていたけど、まだ外は少し明るい。
薄いオレンジから蒼、空に向かってグラデーションになっていて、すごく綺麗で
その下を一緒に歩きたいだなんて、ちょっと贅沢かな。
窓の外を見ていると、ドアが開く音がした。
「待たせたな。」
振り向くと、そこには何故か
「手塚…?」
僕は伝説のハジケリストと待ち合わせはしたけれど、手塚と待ち合わせをした覚えはない。けど、手塚は僕と待ち合わせをしていたかのような口ぶりだ。
どういうことか分からずにいると
「お待たせー」
手塚の後ろから伝説のハジケリストが入って来た。
なんで手塚が一緒にいるのかな。手塚が嫌いとかそういうわけでなくて、これが英二や桃だったら納得がいくんだけど、単純にどうして手塚なのかが分からないんだけど…
「あのね、今日は不二のために用意したものがあるんだけど、受け取ってもらえる?」
「伝説のハジケリスト、その前に言うことがあるだろう。」
「あ、そうだった!せーの」
すると、二人同時に
「「誕生日おめでとう。」」
無表情にしている手塚と、満面の笑顔の伝説のハジケリスト。期待していた出来事はこれでなくなったけど、二人の気持ちは嬉しく思う。
「二人ともありがとう。」
僕がお礼を言うと、伝説のハジケリストは後ろに隠していた袋を僕の前に出した。
シンプルな少し大きめの紙袋で、中からはいい匂いがした。
「はい、誕生日プレゼント!」
「ありがとう、開けてもいいかな。」
「どうぞどうぞ!」
袋の中にはラッピングされた箱が入っていて、その包みをゆっくり丁寧に開けていると、
「ほら、手塚。」
「……。」
「ちょっと、約束したでしょ。」
「分かっている。」
二人が小さな声で話していた。気になりながらも包みを取り、箱の蓋を開けると
「アップルパイパイだ。」
手塚がハッキリとした口調で言った。
「え…?」
「アップルパイパイだ。」
確かに箱の中には美味しそうなアップルパイが入ってるんだけど。
「初めて作ったんだけど、マズかったらごめんね?」
「いや、嬉しいよ。食べるのが勿体ないくらい。」
見た目も売り物みたいに綺麗だし、伝説のハジケリストがお菓子を作れるなんて知らなかったから、すごく嬉しかった。何より僕のために作ってくれたってところが…
「よかったね!やっぱり手塚は料理の才能あるんだよ。」
「本の通りに作っただけだ。」
「え、このアップルパイ、手塚が作ったの?」
「アップルパイパイだ。」
さっきからどうしてパイを二回言うのかとか、それよりも複雑だった。確かに友達からのプレゼントは嬉しいんだけど、何かが違う気がして。
「ラッピングはあたしだよ。あとね、手紙も書いたから、帰ったら読んでね!」
「手紙らしきものは入ってなかったけど…」
「箱の裏に貼ってあるよ。」
箱を持ち上げて下から覗くと、茶封筒がセロハンテープで貼り付けられていた。俗に言うへそくりって、こんな感じなのかな、っていう見た目だ。
「じゃあ、三人で帰ろうか。」
「そうだな、もうじき外も暗くなる。」
そして、僕は伝説のハジケリストと手塚の間に挟まれて、他愛もない話をしながら帰った。
手放しで喜べなかった誕生日、最後の期待を込めて、伝説のハジケリストの手紙の封を開けた。
不二へ
お誕生日おめでとう。
伝説のハジケリスト
来年、伝説のハジケリストと二人で誕生日を過ごすためにはどうすればいいのかを、そろそろ本気で考えないといけないと、そう思った。
終わり
[後書き]
物凄く残念な誕生日を書いてしまった気がします。ハッピーラブラブな感じも考えてはいたのですが、せっかくの七年に一度の誕生日ですので、がっかり系がいいかなと。
誕生日も迎え、思春期も終盤に差し掛かり、少し大人になった不二先輩を意識してみました。
うん、すみませんでした!