お題DEキリ番夢小説
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
5時間目の歴史の授業。
あたしの前の席のこの男はいつも寝ている。
のに、
今日に限って起きて漫画を読んでいる。しかもハンターハンターの最新刊ではないか。
いや、そんな事はどうでもいい。あたしが気になるのは
黒
板
が
見
え
な
い
!
赤也のゆらゆら揺れるくせっ毛が、調度いい具合にかぶっていて見えないのだ。
席替えの時、あたしは目が悪いのに一番後ろの窓際の席を奪い取った。
まぁ大体は見えるし、読めなくても前後の文を見ればほとんど分かる。この授業も例外ではない。
黄色いチョークという最大の難関がある事を除いては…。
よりによって、年号を黄色く書かなくてもい良いではないか。おまけに人物の名前が赤也の髪の毛とかぶって見えない。
まさにWパンチだ。
読めないなら、読めなくしている張本人に読んでもらおう。そうしよう。
「あ?なんだよ。」
肩を叩くと、赤也は明らかに迷惑そうに返事した。
普段はそっちからちょっかい出してくるくせに。
「お楽しみ中悪いんだけどさ、あれ何て書いてあんの?」
「はぁ~?どれだよ…」
赤也はあたしのシャーペンが指す先を確認するために、椅子を引いてシャーペンの真横に顔を置いた。
「あれ。上から3番目の黄色い字。」
「あぁ、あれか!えーっと、“8”“8”…」
「ふんふん。」
赤也の言った数字を、丁寧にノートに書く。
「“8”の、“8”“8”“8”“8”。」
「はいありがとう。…って『ダック引越センター』じゃねぇか!Σ( ̄□ ̄;」
お約束のような前フリに思わず叫んでしまった。みんなの視線が一斉に降り注ぐ。
「おい、うるさいぞ。どうした。」
そして先生に怒られた。
赤也はというと、前を向いて俯き、肩で笑っていた。
「違うんです!切原君が変な事言ってきたんです!」
「またお前達か…。よし、仲良し二人組!罰として二人とも放課後に黒板の掃除をしておけ。」
「∑え?!何で俺まで!」
「授業を妨害した罰だ。」
「そりゃないっスよ~」
歴史の担当はうちのクラスの担任でもあるので、サボったら確実にバレる。
「どっちかサボったら一週間やってもらうから。じゃあ続きな。次のページ開いて。」
それから赤也はふて寝し、あたしは溜め息をついて教科書をめくった。
―放課後―
「うし!始めっか!」
「うん!とっとと終わらせてとっとと帰ろう!」
「了解!」
じゃんけんで役割を分担し、あたしは黒板を綺麗に、赤也は黒板消しをクリーナーにかける事になった。
高い所は届かないので、椅子を持ってきてその上に乗った。
「危なくねぇ?」
「大丈夫。」
「いや~、お前は大丈夫かもしんねーけど椅子が壊れるんじゃねーの?」
「うっさい!( ̄皿 ̄+)いいから黙ってクリーナーかけてろ!」
「へ~い。」
あたしは赤也からクリーナーにかけられた黒板消しを受け取り、丁寧に黒板を消した。
真ん中までは腕が伸びるが、その少し先が中々届かない。かと言って椅子をずらすのも面倒なので、頑張って腕を延ばしたその時。
「あら…?」
重心が移動し、自分の体が椅子ごと傾いたのが分かった。
あぁ、倒れる。
あたしは何故か冷静に、自分の運命を受け止め、そのまま目を閉じた。
「危ねぇ!!」
《ガタン!!》
「ん…?」
倒れて床にたたき付けられるはずの体が、何かに受け止められた感覚があった。
「ふぅ~…」
「……?」
目を開けると、目の前には黒板と床の間の壁、視界の右端には見慣れたくせっ毛があった。
「おいおい!勘弁してくれよ~ι寿命が縮んだぜ。」
どうやら倒れた方向に赤也がいて、落ちゆくあたしをキャッチしてくれたようだ。
「ありがとう…。」
「へへっ♪反射神経いいだろ?」
横向きのまま抱かれているため、すぐ耳元で声が聞こえる。
なんだか恥ずかしくて視線を横にずらすと、さっきまであたしが乗っていた椅子が転がっていた。
「あのさ、助けてもらったのは非常にありがたいんだけど、もう大丈夫だから離して?」
「∑あっ!わりぃわりぃ。」
このまま抱かれていたいのが本音だが、やっぱり恥ずかしい。
赤也は慌てた様子であたしから少し離れた。
「あ!」
赤也のワイシャツを見ると、胸元に黄色いチョークの粉が付いていた。
黒板消しを持ったまま倒れたので、黒板消しごと抱きしめてしまったのだ。
「ごめん!マジごめん!」
「いいって!気にすんなよ!」
手でチョークの粉を掃うが、中々消えてくれない。
「洗濯してくるから脱いで!」
「はぁっ?!裸にネクタイで帰れっつーのかよ!別にいいって!」
裸にネクタイ姿は是非見てみたいが、そんなことして補導されても責任は取れない。
「体操着で帰りなよ。」
「つーかお前も粉付いてんぜ?」
「∑あー!!」
言われて胸元を見ると、深緑の制服に黒板消しの跡があった。
「しょーがねーなー。俺が掃ってやるよ♪」
「バカ!!」
「∑いてっ!」
あたしの胸に手を伸ばした赤也の頭を、少し強めにひっぱたいた。
「んだよ。人がせっかく掃ってやろうってのによ。お前だって俺の乳叩いたじゃん。」
「乳叩いてねーから。粉掃っただけだから。」
「あ、こんなとこにも粉が!掃ってくんない?」
赤也は嬉しそうに笑いながら、自分の股間を指した。
「あはは!ほんとバカなんだけど!(笑)」
「バカっつーな!」
赤也は立ち上がると、あたしの手から黒板消しを奪い取った。
「交代!お前クリーナーやれよ。」
「何で?」
「また落ちられてキャッチしたら、さすがの俺でも内臓破裂するかもしんねーし。」
「なんだと?!」
「お?やんのか?」
「やってやらぁ!脱ぎやがれ!」
こーゆーいつもの、何気ないやり取りが好きだったりする。
「ヘッ!こっちにはコレがあんだよ!」
そう言って小学生のように黒板消しを掲げる赤也が可愛いかったりもする。
「ぶはっ!(笑)黒板消しが武器かよ!」
「黒板消に笑うやつは黒板消しに笑うんだよ!ん…?なんか違うな。」
「結局笑うんじゃん!」
「うっせー!///」
「まぁいいや。あたしちょっとトイレ行って来るね。」
ついでにハンカチを濡らしてワイシャツについたチョークの粉を取ってやろうと、そんな事を考えながら
トイレへ向かった。
ハンカチを濡らしていると、ポケットの中で携帯のバイブが鳴った。
From:切原 赤也
Sub:無題
終わったから部活行くわ!お疲れ♪
ーENDー
せっかくハンカチ湿らせたのに、と思いつつ教室に戻ると、赤也の姿も赤也のテニスバッグもなかった。
椅子も元通りだった。
あたしも帰ろうと、自分の席から鞄を取った。ふと顔を上げると、綺麗なはずの黒板に、汚い字で何か書かれていることに気付いた。
近寄って見てみると
“伝説のハジケリストの胸は##NAME2##カップ!”
と書かれていた。
「バカだ…(笑)」
これを書いてる時の、赤也のいたずらっぽい笑顔がすぐ想像できた。
あたしはそれを写メに撮り、黒板を消すと家路についた。
終
[後書き]
何から謝ればいいやら…。指が勝手にパチパチとボタンを押してしまいました(爆)でも、書いていて非常に楽しかったんです(>_<)大人でも子どもでもない、思春期な赤也を書きたかったんですが…(弱)
憂樹ちゃん、せっかくリクしてくれたのにすみませんでしたm(__)m
伝説のハジケリスト様、ここまでお付き合い頂きましてありがとうございましたm(__)m