お題DEキリ番夢小説
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あたしの朝は早い。
朝練開始時刻の一時間前には部室の鍵を開け、部室を掃除したりドリンクを作ったりと、まるで主婦業のような仕事をするのだ。
朝7時。レギュラー専用の部室のすぐ横に、跡部が建ててくれたあたし専用の部屋がある。そこでジャージに着替えてから部室に移動する。
「さてと。」
鍵を開け、部室にある全ての窓と扉を開けて換気をする。そして、軽く掃除をしてからドリンクを作るというのがあたしの日課だ。
「まだちょっと寒いなー。」
独り言を言いながらロッカールームの窓を開けると、ジロちゃんが寝ながら歩いて来るのが見えた。
「ジロちゃんおはよう。」
「ん…。」
部室に入ってくると、すぐにソファに倒れ込んだ。
何故ねぼすけのジロちゃんがこんなに早く来るのかというと、ジロちゃんの目覚ましは起きたい時間の二時間前にセットされているからだ。
寝坊魔で遅刻魔のジロちゃんは、やっぱり朝練に来ないことが多かったのであたしが提案した。
それからはこうして早く来ては、部室で練習が始まるまで寝ている。掃除の邪魔になることはあるけど、来ないよりマシだ。
「さ、掃除掃除。」
掃除機(向日電気で購入)を取り出し、サッと掃除機をかける。
部費で落とせるので、奮発して高いものを買った。とても吸引力が高いのに、音は静かという優れものだ。家に持って帰ってしまいたいと、何度思ったことか。
「さくら~ふぶ~きの~♪」
サライを歌いながら掃除機をかけ、それから雑巾で棚やらテーブルやらロッカーを拭く。
特に、宍戸のロッカーは念入りに…vV
「人のロッカー拭きながら何ニヤニヤしてんだよι」
「Σうぉ?!お、おはよう!」
「どっから声出してんだよι」
あたしと同じくらい朝に強い男、宍戸がやって来た。
時刻は7時半。宍戸とチョタは、いつも早めに来て自主練をしているのだ。あたしが宍戸を好きだと知っているチョタは、気を利かせて色々してくれる。
例えば柔軟体操の時。チョタが宍戸の背中を押していると、「トイレ行きたくなったので、伝説のハジケリストさん代わりにお願いします!」と言ってあたしに宍戸の背中を触る機会を与えてくれる。
そんな感じで練習が始まるまでのこの30分間は、朝日を浴びる爽やかな宍戸を独り占めできる最高の時間なのだ。
だが、いつもいるはずのチョタが今日は見当たらない。
「あれ?チョタは?」
「熱出しちまって休みだと。」
「そうなんだ…。」
こないだも忍足が風邪で休み、昨日はがっくんがセキをしていた。
風邪、流行ってるんだろうか…。
「重症なの?」
「あぁ。あいつんちに迎えに行ったら母ちゃんが出てきてよ、起き上がれねーって言ってたぜ?」
「あら…。立てないなんて、よほどツライんだね。」
拭き掃除をしつつ、宍戸の着替えを盗み見ながら会話をしていると、ジロちゃんがむくりと起き上がった。
「鳳勃たね~の~?」
寝呆けた表情で、あくびをしながら聞いてきた。
「うん。だから学校休むんだって。」
「朝勃ちしなかったのがショックで~?」
「Σなっ?!違ぇよ!お前変なとこだけ聞いてんじゃねぇよ!」
アサダチ…??
素直な漢字に当てはめてみると“朝立ち”だ。夕立の反対で朝に雨がザーッと降ることだろうか。
いやしかし、なんでそれがなくてチョタがショックを受けるのか。
「朝勃ちなかったら、オレもショックだC~…トイレ…。」
ジロちゃんは立ち上がると、のそのそと部室を出ていってしまった。
アサダチがないと、ジロちゃんもショックと言う。アサダチ…夕立の反対語ではないとしたら、“朝のダチ(友達)”か?いやいや、朝限定のダチなんて聞いたことがない。
アサダチ…アサダチ…
「宍戸。」
「俺に聞くな。」
「まだ何も言ってないじゃん!」
あたしと目を合わせず、気まずそうにロッカーを閉める宍戸。
まさか、アサダチっていうのは何かの病名なんじゃ…!リュウマチに響きが似ているし…あぁ!そうだ!きっとそうなんだ!だとしたらチョタの一大事だ!
「ねぇ!チョタはアサダチなの?!そうなの?!」
「Σばっ…でけぇ声で言うんじゃねぇ!///」
この慌てようは、やっぱりそうなんだ。宍戸は嘘を付けるタイプではないから、分かりやすくてしょうがない。
しかし、アサダチという病気がどんなものなのかが分からない。
肝心なことが、あたしには分からない。
「宍戸、教えて欲しいことが」
「断る。」
間髪入れずに断ると帽子をかぶり、ラケットを持った。
「なんでよ!まだ何も言ってないじゃん!」
「どうせその…聞くんだろ?///」
そう言って気まずそうに視線を逸らした。それを見て、アサダチは大病であると、あたしのカンがそう告げた。
「誰にも言わないから、教えてよ…。」
宍戸は困った顔をし、俯いた。
「なんで?なんで教えてくれないの?」
「お前には…関係ねぇことなんだよ。」
“関係ない”
そう言われて、あたしは鼻の奥がツーンとした。
「そっか。結局あたしは信頼されてなかったんだ。」
「お、おい…」
「もういいよ!宍戸のバカ!」
居ても立っても入られず、雑巾を握り締めたままその場を立ち去ろうとした。が、宍戸に腕を掴まれた。
「落ち着けよ!そういうコトじゃねぇ!」
「じゃあどういうコトよ?!」
熱いものが、あたしの奥からこみ上げてくるのが分かる。
「だから…その…///」
「腕、痛い。」
宍戸は申し訳なさそうにゆっくり手を放すと、ため息を吐いた。
「あのよ、俺からは説明できねぇから…忍足に聞いてくれねぇか?」
「なんで忍足?」
「あいつならお前が知りたがってるコト、上手く教えてくれると思う。だから…」
『~♪~~♪』
話の途中であたしの携帯が鳴った。
「ちょっとゴメン。」
「あぁ。」
ジャージのポケットから携帯を出し、ディスプレイを見る。
「忍足だ。」
「ちょうどいいじゃねぇか。」
宍戸は安心したように言うと、帽子を被りなおして外へと行ってしまった。
宍戸の後姿を見送った後、すぐに通話ボタンを押した。
「はい。」
『あぁ、俺やけど…。』
忍足の声はいい具合にしゃがれていて、とてもしんどそうな感じがするのが気になった。
「どうしたの?」
『アカンわ…高熱出てもうた…今日学校行かれへん…。』
「え?!大丈夫?!」
『正直しんどいわ…ほなそういうことで…』
「え、ちょっ、忍足?!」
堂本剛発言の後、すぐに電話が切れてしまった。チョタだけではなく忍足までもがダウンしてしまうなんて、これもアサダチが関連しているのだろうか…。
「はっ!アサダチのこと聞けなかった!」
いや、聞いたところであの様子じゃ答えられないだろう。いつもならセクハラを織り交ぜたトークをする忍足が何も言わなかった。よほど重症に違いない。
皆が来るまでまだ時間はあるので、何としてでも宍戸から聞き出そうと、そう決意して部室を飛び出した。
忍足も心配だが、何しろチョタが気になる。可愛い後輩の一大事、もしかしたら今後の人生を大きく揺るがすことになっているかもしれない。
ロッカーの雑巾掛けが途中だったが、そんなことはどうでも良かった。
「宍戸!」
壁打ちをしていた宍戸は、手と足を止めることなく返事をした。
「忍足、また熱で休むって。」
「チッ。軟弱な野郎だぜ!」
「すごくつらそうで、すぐ電話切っちゃった。」
「………。」
あたしの方を見ようとせず、ひたすら壁打ちを続ける宍戸。まるで何かを振り払うかのように、一心不乱にラケットを振り回している。
時折見える腹チラを見ながら、あたしは続けた。
「だからね、アサダチが何なのか聞けなかった。それで、あたしなりに考えてみたんだけど…」
まず、最初にジロちゃんの言った言葉を思い出す。ジロちゃんは『アサダチがないとショック』だと言っていた。つまりそれは、誰にでもあるものだということだ。自覚はないけれど、きっとあたしにもあるはずなんだ。
そして、アサダチのなかったチョタが熱を出した。つまり、アサダチとは体温もしくは抵抗力かなんかと関係しているのではないか。
あたしがそう真剣に考えを述べているにも関わらず、まだ壁打ちを続けている。
「ねぇ、どうなの?」
「………。」
聞こえてるはずなのに、聞こえないフリを決め込む宍戸に対し少しイラッとしてきたので、壁と宍戸の間に入り込もうと意を決して駆け出した。
「えいっ!」
「Σおい!何やって…!」
ボコッ!!
「うっ…」
ボールが当たりそうになったら宍戸がかばってくれるだろう、なんたって宍戸はあたしの王子様だ。という期待も虚しく、壁に当たって返ってきたボールはあたしの尻にヒットした。
「何やってんだよ!危ねぇだろ?!どこだ!どこに当たった?!」
宍戸は激しく取り乱し、あたしの両肩を掴んで怒鳴った。
「だ…大丈夫。こうでもしなきゃ、話聞いてくれないでしょ?」
「伝説のハジケリスト…。」
あたしの真剣な思いが伝わったらしく、宍戸はようやくあたしの目を見てくれた。なので最後の一押しとばかりに、宍戸の目をじっと見た。
「はぁ…ι分かったよ。誤解させてるままじゃよくねぇしな。つーか俺がそういう風に考えてるからいけねぇんだよな。」
「じゃあ教えてくれるの?!」
「一度しか言わねぇからな!///」
これでやっと、アサダチの正体を突き止めることができる。そうすれば“アサダチがなくなる”という状況を未然に防げるはずだ。
宍戸は周りを見回し、周囲に誰もいないのを確認してから小声で話し始めた。
「まず、長太郎も忍足もただの風邪だ。」
「アサダチは関係無いってこと?」
「そうだ。」
そう聞いて少し安心したせいもあり、尻に受けたダメージとそのダメージに対する悦びがここへきてようやく効いてきた。だが、宍戸が真剣に話してくれているのに尻をさすっている場合ではないので我慢する。
「じゃあアサダチって…」
「それはその…アレだ。」
帽子を被り直し、少し間を空けてからもっと小さい声で言った。
「男なら誰でも…その…朝起きるとだな…アレが………だぁぁぁ!言えるかこんな事!///」
「Σ( ̄□ ̄;」
小声で話していた宍戸が、突如大声を上げた。そして被り直したばかりの帽子を地面に叩きつけた。
「ちょっ、しっかりしてよ!真面目に話して!」
「わ、わりぃ、つい…。」
地面に落ちた帽子を拾って渡すと、宍戸はそれを再び被って深呼吸をした。
「で?朝起きると?」
「だからよ…、朝起きると………
ドキドキ
ドキドキ
「勃ってるんだよ///」
は?立ってる?朝起きると?
「誰が立ってるの?」
「誰がっつーか…その…アレだよ///」
「アレってどれよ。」
宍戸は顔をこれでもかというくらいに真っ赤にし、視線を泳がせた。
「もう、男らしくないなぁ!ハッキリ言ってよね!」
「わ、分かってる!///」
宍戸は大きく息を吸い込み、腹をくくった極道のような鋭い視線をあたしに向けてきた。
「いいか?一度しか言わねぇからよく聞いとけよ?」
それはさっきも言ってたよ、と言いたかったけれど、せっかくその気になっているので士気を削ぐまいと黙った。
朝の爽やかな空気の中、それとは対照に緊迫した空気があたし達を包み込む。
少しの沈黙の後、宍戸がその重い口を開いた。
「っ、朝勃ちっていうのは男がなるもので朝起きると股間が勃ってるんだよ!分かったか!!///」
一息にそう言うと、水道の方へとテレポートダッシュしてしまった。
アサダチとは、朝勃ちだったんだ。
その意味を理解して、宍戸になんて酷い事をしてしまったのだろうと反省した。が、あの激照れしながらも一生懸命答えてくれようとしていた宍戸の姿がとても胸キュンもので、もっと見てみたいと、そう思った。
「宍戸。」
「なんだよ!もう俺は何も言わねぇぞ!///」
宍戸を追って水道に行くと、顔を洗っていた。まだ耳まで真っ赤だ。
「教えてくれてありがとう。でもさ、最後にこれだけは聞いておきたいんだけど。」
「な、なんだよ。」
タオルを宍戸に渡し、本当に持った疑問と宍戸の反応を楽しむためのイタズラ心をぶつけた。
「なんで朝起きて勃ってるの?そもそもどういう仕組みで?」
「知らねぇよ!///もう何も言わねぇっつってんだろ!///」
「宍戸も毎朝そうなってるの?今日も?」
「いい加減にしろ!///女がそんなこと聞いてんじゃねぇ!!!///」
そう叫ぶと、逃げるようにして走り去ってしまった。
完全マゾなあたしの中に、少しのサド心が芽生えてしまった。どうして朝勃ちの話になったのかとか、そういうのも忘れてしまうほどに宍戸の反応が楽しくて可愛くて仕方ない。
朝練で会うたび朝勃ちしたか、マネージャーとしての健康管理チェックを名目にして聞いてやろうと、そんな考えが浮かんだ。
自分サドの素質があるのかしらと思ったが、宍戸の打球が当たった尻を嬉しそうにさする自分がいたのでその思いは断ち切られた。
終わり
[後書き]
もうどうしましょうって感じですね!せっかく隊長がリクして下さったのに、何ですかコレは!
リク内容→『宍戸のこと好きで好きでしょうがないヒロインで、朝練で朝勃ちの話』
ってこのリク内容もなんとも言えませんよ隊長!(笑)
書きながら隊長と宍戸のやり取りを想像して笑っていた私はドリーマー失格ですな。笑っちゃってる時点で失格です。(面白いのは本人ばかり)
隊長からのリクということで張り切っちゃいましたが、張り切った上で微妙な話になってしまいました。申し訳ござらん!書き直し、暴言、尻の穴に爆竹を詰めるなどのお仕置き受けますので遠慮せずにどうぞ(>_<)
伝説のハジケリスト様、ここまでお付き合い頂きありがとうございます!伝説のハジケリスト様はマゾですか?サドですか?私はどっちでもいけます。つまり変態です。