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あ、どうも。不二裕太です。
今日、観月さんの誕生日ということでパーティーを開こうと思います。その時に俺と淳さんと柳沢さんは手品をやることになっているので、今、その打ち合わせをするため淳さんと柳沢さんに会いに3年生の教室の前に来ています。
「こんにちは!」
「おぅ!待ってただーね!」
「じゃあ食事がてら話し合おうか。」
3人揃ったところで、俺達は食堂に向かった。
「結構です。」
「なんでよ!女に恥をかかせるつもり?!」
観月さんのクラスの前を通ると、マネージャーである伝説のハジケリストさんと観月さんの声がした。
「それはこちらのセリフです。女性から御馳走になるなんて男としては恥ですよ。」
「誕生日くらいいいでしょー!それに見た目的に問題無いから!」
「なっ…!とにかく離しなさい!死んでしまう!」
声の方に目を向けると、伝説のハジケリストさんが観月さんのネクタイを引っ張っていた。
「お前達何してるだーね!」
「あらお揃いで。これからご飯?」
伝説のハジケリストさんは観月さんのネクタイを掴んだまま歩いてきた。
観月さんにこんな事ができるのは、この学園でただ1人だけだろう。
「観月うらやましいな。僕にもやってよ。」
「あれ?淳ってSじゃなかったっけ?」
「クスクス…。どっちもだよ。」
この2人は別次元だ、と昔赤澤部長に教わった記憶がある。
「よお!お前らお揃いで何やってんだ?」
すると調度、赤澤部長が歩いて来た。それを見た伝説のハジケリストさんは観月さんを開放し、赤澤部長の元へ駆け寄った。
「聞いてよ!観月誕生日じゃん?だからランチおごってあげるって言ってんのに、拒否るんだぜこの脳ミソ野郎が。」
そう言って親指で観月さんを指せるのも、学園内で伝説のハジケリストさんだけだろう。
「おいおい。何で拒否するんだよ。別にいいじゃねぇか。」
「よくありませんよ。まったく…。赤澤は伝説のハジケリストさんに甘いですね。」
「違います~。赤澤は普通です~。観月が厳し過ぎるだけです~。お前ロクな死に方しませんよ~だ。」
「女性が"お前"なんて使わないで下さい!」
突っ込むべきトコはそこだけなんだろうかと、この場にいる全員が思ったはずだ。
「ねぇ、時間無くなるからとりあえず食堂行かない?」
「淳の言う通りだーね!腹へっただーね!」
そして俺達は今度こそ食堂に入った。
「……。」
「いつまでむくれてるんですか?」
結局観月さんは昼飯を自分で買ってしまい、伝説のハジケリストさんは怒って黙ってしまった。
誕生日といえど、女の子からおごってもらうのはなんか気が引けるのは分かる。
「伝説のハジケリスト、うずらの卵あげるよ。」
「ありがとう♪」
「伝説のハジケリスト!にんじんあげるだーね!」
「好き嫌いしないで食べなさい!」
「伝説のハジケリスト!プチトマトやるよ。」
「いただきます♪」
「あ、伝説のハジケリストさんたくあん食べますか?」
「食べます♪」
みんな伝説のハジケリストさんの事が好きだ。恋とかそーゆーの抜きにして、伝説のハジケリストさんといると、無条件に心が優しくなる。そしてなんでもしてあげたくなる。
「おやおや皆さん、よほど伝説のハジケリストさんを太らせたいみたいですね。」
「クスクス…。観月ヤキモチ?」
「そんなわけないでしょう。僕は伝説のハジケリストさんの身体を心配しているだけです。伝説のハジケリストさん、お一つどうです?脂肪燃焼に…」
観月さんはペペロンチーノに乗った鷹の爪を伝説のハジケリストさんに差し出した。
「あんたとことん失礼ね!どーせ歩く体脂肪ですー。メス豚ですー。もう観月なんて知りませーん。」
伝説のハジケリストさんは頬を膨らませ、ふいっと顔をそらした。
「んふ、冗談ですよ。」
「なにさ。おごらせてくれない上にブタとか言いやがってさ…。」
伝説のハジケリストさんが本格的に拗ね出した。
「まったく…。豚なんて言ってないでしょう?」
「観月あたしの事嫌いでしょ。」
口を尖らせている伝説のハジケリストさんはやっぱりかわいくて、淳さんが「いじめたくなっちゃうよね。」なんて呟いた。
俺にはそんな趣味はないが、何となく分かる気がする。
「大体、君は被害妄想が激しいんですよ。」
「……。」
すっかりご機嫌斜めになってしまった伝説のハジケリストさんは、黙々ときつねうどんを食べ続けた。
静かになったその場に、俺の隣から観月さんの小さな溜息が聞こえた。
「デザートが欲しいですね。」
「……。」
「先ほどは失礼しました。僕の誕生日にデザートを御馳走していただけませんか?」
伝説のハジケリストさんの肩が微かに動いた。
「女に奢られるの嫌なんじゃなかったの?」
「せっかくですからね。ご好意に甘えるとしましょう。」
「しょうがないな~♪じゃあ選びに行こう!」
「やれやれ。そんなに急がなくてもデザートは逃げませんよ?」
伝説のハジケリストさんはすっかり機嫌を治し、嬉しそうに観月さんの腕を引っ張って行った。他人に体を触られるのが嫌いな観月さんだが、伝説のハジケリストさんには抵抗しない。
「観月が一番伝説のハジケリストに甘いだーね。」
「甘いというか…弱いよね。」
柳沢さんと淳さんがお茶をすすりながら言った。淳さんのハチマキに、柳沢さんが食べていたカレーうどんの汁が付いていた。
「こんな事なら最初から伝説のハジケリストに奢ってもらえばよかったんだーね。」
「観月はプレゼントに伝説のハジケリストから"物"が欲しかったんだろ。」
赤澤部長がいちごオレのパックを解体し、最後の一滴まですすり切った。
「食事は残らないっスもんね。」
「もう観月はいいだーね!早く打ち合わせ始めるだーね!」
「そうだね…。あ、こんなのどうかな。」
俺達は残りの時間で手品の打ち合わせをした。
「大きい箱を用意して、ハトを入れる。観月が触ると中からハトの代わりに伝説のハジケリストが出てくるってのはどう?」
「そんな高度な事、俺達にできますか?」
「淳の手にかかればどってことないだーね。」
観月さんの弱点であると同時に源動力である伝説のハジケリストさん。
「ハトじゃなくてブタにしてみたらどうだ?」
「まだ死にたくないだーね…。」
彼女の存在は、観月さんより恐ろしいかもしれない。
「赤澤…今あたしのことブタって言った?」
「げっ!いつの間に…」
「赤澤、成仏なさい。」
そして、伝説のハジケリストさんに弱くて甘いということは、観月さんってMなのか?って思ってきた今日この頃だ。
終わり
[後書き]
淳と亮が「てじなーにゃ」とか言ってたらいい。
観月誕生日おめでとう☆