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観月の提案で、今日から合宿が行われることになった。
毎日が合宿のようなものなのに。
「さぁ、着きましたよ。」
「わお!綺麗だーね!さすが観月だーね!」
お姫様が暮らしてそうなお城みたいなのがそこにあった。あたしたちが一週間過ごす合宿先。ラブホテルのような合宿先。一体どこで見つけたのだろうか。
「なんだこりゃ…。まぁ観月の趣味なんだろうけどよ…。」
赤澤は諦めたように溜め息を吐いた。
「なんか…ラブホテルみたいだね。」
「あ、淳も思った?裕太は?」
裕太を見たら真っ赤になって俯いていた。
「ラブホテルとはなんですか!ちゃんとコートもあります!」
観月の口からラブホテルと聞くとラブホテルが卑猥に聞こえないから不思議だ。
「弟君ってうぶなんだね!」
「弟って言うな!」
裕太がノムタクのこめかみをぐりぐりした。
つーかノムタクいたんだ…。
「さぁ、入りますよ。」
エントランスを抜けるとこじんまりとした受付があっり、観月が部屋の鍵を受け取った。
部屋割は
柳沢・淳
赤澤・金田
裕太・ノムタク
観月
あたし
に決まった。
「また観月一人?」
「んふ、あなたとご一緒でもよろしいですよ?」
「絶対イヤ。」
「なっ…!」
固まる観月から鍵を取り上げ、各自部屋へ入った。
「………。」
部屋中がいちご模様だ。
なんだここは。『いちごの間』か。備え付けの寝巻に至ってはフリフリのネグリジェだ。もちろんいちご柄。眩暈がする…。
「観月…!!」
あたしは拳を握りしめ、観月の部屋へ向かった。
『ドンドン!』
「観月?!あたし!」
「どうかしました?」
「うわ…!何その格好?!」
紫色のシルク地にでかい薔薇をふんだんにあしらったシャツを身に纏った観月が部屋から姿を現した。
「やれやれ、あなたにはこの洋服の良さが分からないのですか?そうそう、お部屋は気に入っていただけましたか?」
"やれやれ"はお前だ。見てるこっちが恥ずかしくなる。
だめだ…。こいつだめだ。
観月のシャツを見てたら目がチカチカしてきた…。
「素敵なお部屋をありがとう…。」
「喜んでいただけてうれしいですよ。今から30分後にフロントに集合ですから、遅れないで下さいね。」
「はい…。」
ああ、赤澤でも見て元気出そう。
いつもなら見てて暑苦しい赤澤だけど、今は恋しい。
『コンコン』
「伝説のハジケリストでーす。」
「どうぞ!」
金田が元気に迎えてくれた。
「おじゃましまーす。」
なんかこの部屋、全体的に暗くない…?
「Σなにこれ?!」
牢獄みたいになっている。窓には鉄格子が付いていて、ライトは豆電球のみ。
さしずめ、『牢獄の間』だ。
「おう!伝説のハジケリストじゃねぇか!どうした?」
「どうしたもこうしたも部屋おかしいから!」
「観月の趣味だろ。」
この部屋でくつろげてるこいつらがすごい。
「ねぇ、観月の服っていつもああなの?!」
「観月に会ったのか?俺達も最初は引いたけど、もう慣れたもんだよな?」
「はい!」
そんなことに慣れてるなんてかわいそうだ。
「あ、あたしもう行くわ。あとでね!」
赤澤と金田に同情しつつ『牢獄の間』を後にした。
(他のメンバーはどうなんだろうか…。)
『コンコン』
「伝説のハジケリストです。」
「入っていいよ!」
あたしが次に訪れたのは裕太とノムタクの部屋。
「お邪魔しまーす。」
…あーあ。やっちゃったよ。
壁一面に猛獣の絵。照明はなんていうか…松明みたいなのが立てられている。
「裕太は?」
「あっちで横になってるよ。」
ノムタクの指差す方に目を向けた。
「何あれ!楽しそうなんだけど!」
裕太がハンモックにぶら下がり、微妙に揺れていた。
「あたしにも乗らせて!」
「えっ?!別にいいですけど…。気を付けてくださいね。」
生まれて初めてのハンモック。
「大丈夫?!落ちない?!」
「俺が乗っても落ちないから大丈夫ですよι」
あたしの体重も知らないくせによくもぬけぬけと。
『ギィッ』
「あ、乗れた!!あー…これはいいわ…。ねぇ、ちょっと揺らしてみて!」
「いきますよ!」
すっかりハンモックにハマり、裕太と交互に遊びまくった。
気付けば集合時間になっていた。
「んふ。みなさんお部屋を気に入っていただけたようで何よりです。」
寝言は寝てから言って欲しい。
観月は今日の流れを説明し始めた。
「ねぇ、あんた達の部屋はどんなんだった?」
「小物がいっぱいあっただーね。」
「小物??」
「赤いロウソクとかムチとか。あ、仮面もあったよ。」
「へぇ…( ̄_ ̄)」
観月はこいつらに何をさせたいんだろうか。だんだん観月を見る目が変わってきた。
「そこ!私語は慎みなさい!ではウォーミングアップを始めます。」
みんなが柔軟をしている間、あたしはずっと考えていた。
この合宿のことを…。
「ねぇ、この合宿の本当の目的分かる?」
部長である赤澤に近付き聞いてみた。
「選手の強化だろ?」
選手の強化…。
「ああ!なるほど!観月はわざとこんな悪趣味な館に連れて来て、一週間過ごすことでメンタル面を強化しようとしてるんだ。」
「えっ…」
「さっきまで素で引いてたけどさ。そっかぁ。」
少し観月を見直した。なんだかんだで一番聖ルドルフに熱入ってるからね。
「よし!あたしもがんばらなくちゃ!」
あたしは気持ちを新たにして観月の元へ走った。
「観月!ごめん!あたし間違ってた。」
「何の話しですか?」
「とにかく、これからも観月に付いてくから!」
観月に敬意を持ってそう言ったあたしはまた持ち場に戻った。
不気味に笑う観月に気付かずに。
「んふ。これから一週間、僕色に染まってもらいますよ…。」
観月に「これからも付いていく」宣言をした事を、その日のうちに後悔することとなった。
終わり
[後書き]
不完全燃焼ですみません!
オチも無理矢理…。
ま、次頑張ります!(オイ。)
オマケ
↓↓↓
「なんだかんだ言って観月ってあたし達のことすごく考えてるよね。」
「まぁな。どうしたんだ?改まって。」
休憩中の赤澤を捕まえて心境を語った。
「もう!知ってたくせに!この悪趣味な建物も部屋も、メンタル強化のためにわざとなんでしょ?」
「だから、ただの趣味だって言ってんだろーが。」
…え??
「自分が寝泊まりする場所だから自分の趣味に合わせたんだろ。」
「赤澤部長!ラリーお願いします!」
「おう!」
さっきまでの観月への気持ちが、赤澤と共にあたしの元から去っていった。
合宿は残りあと6日。
終