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今日はサエさんの誕生日なんだけども…。
「あー、やっぱこんなの普通すぎてだめだ!」
「大丈夫なのね。サエは何でも喜んでくれるのね。」
昨日、あたしはサエさんの誕生日ということでプレゼントを買いに行った。
いろんな店をまわったが、何が欲しいか全く見当もつかなかった。
時計も微妙だし、消耗品もなんか嫌だし…。
「だってコレ、無難すぎないか??」
迷いに迷って決めたのは、スポーツタオル。一番用途率が高いと思ったから。
「きっといつも使ってくれるのね。」
「いっちゃん…。」
優しいいっちゃんに励まされてなんだかやる気が出てきた。
「よし!渡して来ます!」
「頑張るのね!」
あたしはサエさんにプレゼントを渡すべく、昇降口へ向かった。
「うわっ…。」
サエさんの下駄箱にはおびただしい数のプレゼントが。どれもかわいらしい包みでなんだか凹んだ。
「やぁ。伝説のハジケリストじゃないか。どうしたの?」
「あ、サエさん!あの、これ…「佐伯くぅ~んvV」
プレゼントを渡そうとした時、これまたかわいらしい女子のみなさんがサエさんに声を掛けてきた。
「これ、お誕生日のプレゼント…受け取って?」
斜めに首をかしげ、上目使いに必要以上の瞬き。
とてもかわいい。
「わざわざありがとう。」
「佐伯君!私のプレゼントも受け取って~vV」
「佐伯先輩!私のも~!」
サエさんの周りに次々とフローラルめいた女子達が群がった。
とうとうサエさんが見えなくなった。
もういいや。
こんなにたくさんの子猫ちゃん達にプレゼントもらうんだったらあたしのなんていらないよね…。タオルだし。
あたしはなんだか悲しくなってその場を離れた。
(このタオル…自分で使ってやる。)
あたしはサエさんにあげるはずのプレゼントを鞄にしまい、もう暗くなった海辺の道路を歩いていた。
海の香りがより一層切なさを高めた。
「…サエさんのハゲ。」
「ひどいな。まだハゲてないけど?」
「えっ?!Σ(゚Д゚;)」
振り向くと、笑顔のサエさんが立っていた。
「いつからいたの?!」
「さっきからずっとだよ?気付いてなかった?」
気配が全く無かったけど…。
たくさんのプレゼントでふさがってるはずのサエさんの両手はポケットの中だ。
「あれ?プレゼントは?」
「もらってないよ。」
ポケットから両手を出して広げて見せた。
「なんで?さっき子猫ちゃん達に包囲されてたじゃん。」
「(子猫ちゃん…?)せっかくだけど、受け取らなかったんだ。」
わけが分からず顔をしかめて考えていると、サエさんの美顔が近づいてきた。
「俺が欲しいのはこれだけだから…。」
『…ちゅ。』
「Σ?!」
サエさんの唇があたしのほっぺに触れた。
「ごちそうさま。」
「お、お、お粗末さま…。」
何が何だか分からない。
「暗いから送ってくよ。」
そう言ったサエさんは、溶けてしまうほどの甘い微笑を見せた。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
サエさんとの帰り道、あたしは頭の中を整理していた。
(とりあえず用意したプレゼントを渡さなければ。)
半ば混乱した頭で鞄を探って包みを取り出した。
「サエさん、言うの遅れたけど誕生日おめでとう。はい、これ。」
「二つもかい?嬉しいな。」
「え?!もらってくれるの?!」
「もちろん。」
あぁ…。サエさん優しいわ…。
「開けてもいいかな?」
「どうぞ。期待しないでね。」
サエさんが包みを開けている間、恐くて下を向いていた。
「…これ、本当に俺がもらっていいのかい?」
だってサエさんへのプレゼントだし…。
「?こんなんでよければもらって下さい。」
「でも…。本当にいいのかい?」
「もちろん!サエさんの欲しい物分からなくて…そんなベタなので悪いけど。」
「そんなことないよ。ありがとう。大切に使うよ。」
サエさんは先ほどとはまた違う、最高の笑顔を返してくれた。
「ただいまー。」
帰って来て鞄の中を見て死ぬかと思った。
「あれ?!あたしの下着がない!!」
先週、友達の家に泊まったときに下着を忘れてしまったのを今日返してもらったのだ。
「Σあー!!!」
下着の代わりに、サエさんにあげようと思ってたプレゼントの袋があった。
「うそ…。間違えた…。」
(下着がプレゼントってことは"オッケー"ってことだよな?意外と積極的だなぁ。伝説のハジケリストは。)
サエさんにピンクな誤解と妄想をプレゼントしてしまったことを、明日どう弁解しよう…。
終わり
[後書き]
なんか誕生日ラッシュですね。サエさん、誕生日おめでトーマス!