君が為
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鶴見中尉の国への叛逆の可能性が、濃厚になってきた。私は一度、秘密裏に中央へ手紙を出した。その刺青を背負っていると思われる囚人の情報が必要不可欠であったからだ。この囚人の情報が必要であるという報告は大佐にはしていない。無用な勘ぐりを受けてしまうし、まだ事が確定的ではない。無駄な心労をあのお方にさせるわけにはいかないのだ。
尾形上等兵に言われた通り、私は出来る範囲内、怪しまれない程度に舎を抜け出し、谷垣一等の捜索をしていた。もし相打ちとなっていた場合、この深い雪が遺体を隠してしまっているだろう。それでも何かないかと雪に杖代わりの棒を刺しながら雪山を散策する。だがやはり無理があった。彼らが姿を消してから既に数日が経過、更にはあれだけの人員を動員しての捜索。それでも見つからないとなれば発見は不可能に等しい。谷垣さんが生き残っている可能性も低い。だがそれでも数パーセントの可能性も尾形さんは消しておきたいのだろう。私も彼を見習わなければならない。勝手な憶測に踊らされ、楽な道を選んではならない。
兵舎に帰ってくる道中、第七師団が不審者を確保したという噂を小耳に挟んだ。もしやと思い、帰路を急ぐ。
兵舎に着いた。いつもと変わらぬ雰囲気だが、若干兵の数が少ない。鶴見中尉の部屋へと行くが、だれもいない。二階へと上がると数人の兵が固まって部屋の中にいた。そしてとある部屋のドアの前に一人。
「お疲れ様です。市街地で不審な人物を第七師団が確保したとの噂話を耳にしました。こちらの部屋に留置しているのでしょうか?」
「お疲れ様です。**補佐官殿。はい。近頃の兵の失踪事件に関係している可能性があり、口を割らないのでここに拘束しております。」
「僕にも合わせて頂けますか?」
「それは致しかねます。失礼ではありますが、これは我が師団の失態。鶴見中尉は、同じ軍の同志と言えど恥をこれ以上晒すわけにはならない、とのお考えです。」
会わせたくないのか……。中にいるのが、彼 だから?
「ですが僕はこちらの師団に困りごとが発生した際は、それを解決することに尽力せよ、との命を受けています。こういっては何ですが、僕はこれでも尋問をすることに慣れてもおります。そこをどうかどいてください。」
「ですが……っ、」
困ったように目を伏せ言葉に詰まる様子を見るともう一押しといったところか。そしてなによりそうまでして私に会わせたくない訳は、中の人物が我が隊の関係者、もしくは刺青人皮について知っている人物、囚人か……。
「もしもし!聞こえておりますか!?僕は陸軍第一師団参謀長大佐補佐の****です!」
「ちょっ!やめてくださっ!!」
「どうか、しましたかね……。**くん」
「鶴見中尉殿……。こちらの部屋に入れて頂きたいのですが」
「**くんの頼みでもそれは聞き届けられない。これ以上我が団の失態を晒すわけには参りません。どうか聞き届けて頂きたい。」
「……そうですね。大変なわがままを言っていしまいました。非礼を詫びさせてください。少しでも鶴見中尉殿の力になりたく、気持ちが逸ってしまいました。」
そう言って頭を下げると鶴見中尉の笑みは深くなった
「いえ、そう思っていただけるのは嬉しい限りだよ**くん。今日はもう自室で休んだほうがいいでしょう。さ、美味しい団子も今日は買ってきています。あとで食堂へ向かわれると良いでしょう。」
「鶴見中尉殿のススメをいただけるとは、身に余る光栄です。……ではお言葉に甘え僕は、休ませていただきます。失礼いたします。」
笑顔でその場を去る。あの場であれ以上鶴見中尉相手に押し問答をするのは得策ではない。幸い僕の自室は同じ階数。このまま自室に戻り、機を狙って屋根裏を伝い、あの部屋を確認するしかないだろう。あの部屋に待ち受けているのが、私の予期する人物ではないといいのだが。
尾形上等兵に言われた通り、私は出来る範囲内、怪しまれない程度に舎を抜け出し、谷垣一等の捜索をしていた。もし相打ちとなっていた場合、この深い雪が遺体を隠してしまっているだろう。それでも何かないかと雪に杖代わりの棒を刺しながら雪山を散策する。だがやはり無理があった。彼らが姿を消してから既に数日が経過、更にはあれだけの人員を動員しての捜索。それでも見つからないとなれば発見は不可能に等しい。谷垣さんが生き残っている可能性も低い。だがそれでも数パーセントの可能性も尾形さんは消しておきたいのだろう。私も彼を見習わなければならない。勝手な憶測に踊らされ、楽な道を選んではならない。
兵舎に帰ってくる道中、第七師団が不審者を確保したという噂を小耳に挟んだ。もしやと思い、帰路を急ぐ。
兵舎に着いた。いつもと変わらぬ雰囲気だが、若干兵の数が少ない。鶴見中尉の部屋へと行くが、だれもいない。二階へと上がると数人の兵が固まって部屋の中にいた。そしてとある部屋のドアの前に一人。
「お疲れ様です。市街地で不審な人物を第七師団が確保したとの噂話を耳にしました。こちらの部屋に留置しているのでしょうか?」
「お疲れ様です。**補佐官殿。はい。近頃の兵の失踪事件に関係している可能性があり、口を割らないのでここに拘束しております。」
「僕にも合わせて頂けますか?」
「それは致しかねます。失礼ではありますが、これは我が師団の失態。鶴見中尉は、同じ軍の同志と言えど恥をこれ以上晒すわけにはならない、とのお考えです。」
会わせたくないのか……。中にいるのが、
「ですが僕はこちらの師団に困りごとが発生した際は、それを解決することに尽力せよ、との命を受けています。こういっては何ですが、僕はこれでも尋問をすることに慣れてもおります。そこをどうかどいてください。」
「ですが……っ、」
困ったように目を伏せ言葉に詰まる様子を見るともう一押しといったところか。そしてなによりそうまでして私に会わせたくない訳は、中の人物が我が隊の関係者、もしくは刺青人皮について知っている人物、囚人か……。
「もしもし!聞こえておりますか!?僕は陸軍第一師団参謀長大佐補佐の****です!」
「ちょっ!やめてくださっ!!」
「どうか、しましたかね……。**くん」
「鶴見中尉殿……。こちらの部屋に入れて頂きたいのですが」
「**くんの頼みでもそれは聞き届けられない。これ以上我が団の失態を晒すわけには参りません。どうか聞き届けて頂きたい。」
「……そうですね。大変なわがままを言っていしまいました。非礼を詫びさせてください。少しでも鶴見中尉殿の力になりたく、気持ちが逸ってしまいました。」
そう言って頭を下げると鶴見中尉の笑みは深くなった
「いえ、そう思っていただけるのは嬉しい限りだよ**くん。今日はもう自室で休んだほうがいいでしょう。さ、美味しい団子も今日は買ってきています。あとで食堂へ向かわれると良いでしょう。」
「鶴見中尉殿のススメをいただけるとは、身に余る光栄です。……ではお言葉に甘え僕は、休ませていただきます。失礼いたします。」
笑顔でその場を去る。あの場であれ以上鶴見中尉相手に押し問答をするのは得策ではない。幸い僕の自室は同じ階数。このまま自室に戻り、機を狙って屋根裏を伝い、あの部屋を確認するしかないだろう。あの部屋に待ち受けているのが、私の予期する人物ではないといいのだが。